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一玖架市太=堕落 2

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下腹部に着くほど反り返った市太の陰茎を、恐る恐る架は舌で触れる。
塩っぱい様な少しだけ苦い様な味に、架は眉間に皺を寄せた。


  市太の性器がこんな形で、市太のにおいの中にこんな部分があったなんて、ずっと一緒にいたのに知らなかった。知らなくていいことだと思ってた。

  だけど俺は本当は女じゃなく男が好きで・・・。もし市太が俺を好きだと言ってくれてたら、一玖とじゃなく市太とセックスしてたかもしれない。


架はそう考えてしまう自分を、酷く汚らわしい生き物だ、と思う。
後ろの穴に一玖を咥えながら、口の中へ市太を咥え込む。

「架・・・」

自分の名を呼ぶ市太の声が頭上から降って来て、架は はたと我に返り、市太を見上げる。

荒い息を飲み込み、架の後頭部の髪を掴んだ市太はぐっと腰を突き出す。

「んぐ・・・っ」

緩く弓なりに上を向く市太の亀頭が架の上顎を擦り、口蓋垂を押し上げるように喉の方まで入って来て、苦しさに架は思わず嗚咽が出る。


「架の、こんな姿っ・・・見たくなかった」

それなのに、異常なまでの興奮が抑えられず市太は架の頭を両手で抑え腰を振る。

「んぅ・・・っ、んっ、う・・・」

咥内を犯す幼馴染みに、男に抱かれ喘ぐ醜態を晒して失望させてしまったかと思うと、架は情けなくてボロボロと涙が出た。


  俺は、おかしな体質のせいで今までずっと市太にしか頼れなくて、初めて市太以外の人間と接触できて、乗り換えるように一玖に依存して。
  市太に対する感情とは違う感情が一玖に芽生えて・・・。自分勝手で薄情で最低だ。
  そのうえ見られたくない場面を市太に見られて。

  いっそ俺に幻滅した市太が離れてくれればいい。これ以上俺なんかに縛り付けて、市太の人生を台無しにしたくない。




「ズルイな、市太さんは」

苦しそうに眉を顰め、必死に市太の屹立を口淫する架の泣き顔を見ていた一玖が呟く。
市太が深く挿入する度に、自分を飲み込んでいる架の中は切ないほどに きゅうきゅうと締め付けてくる。


  架、一生懸命ですごく可愛い。悔しいけど、架をこんな風に泣かせることは俺にはできない。
  きっと誰よりも近くにいて、誰よりも架が大事な相手は市太さんなんだ。
  もし俺が架の幼馴染みだったなら、こんな泣き顔をさせることができたのかな・・・。


目の前で他の男のものを咥える架に、嫉妬心よりも先に その泣き顔に魅入ってしまう一玖。

「俺、架の全部が欲しい。市太さんよりも俺が必要だって思わせてみせるから」

一玖は めいっぱい架の中に自身を沈めてグリグリと腰を押し付ける。


「ん゙ん゙・・・っ、ん──っ、んぅぅ・・・」

ガクガクと架の下半身が震える。

蠢く架の後ろの内壁に締め付けられ、一玖は

「・・・っ」

架の中で何度目かの吐精をする。


架の喉の奥がぎゅうっと狭くなり、吸い付くような収縮に

「く・・・っ、かけ・・・る」

市太は堪らず白濁を吐き出し架の口から自身を引き抜いた。




ベッドに体を預けきった架の口元に、流し込みきれなかった市太の白濁が垂れ、はあはあと荒い息遣いがだんだんと小さくなり規則的な寝息へと変わって行く。

「架、さすがに疲れちゃったかな。だいぶ無理させたしな・・・」

架の後ろから抜いた自分のものを拭き、締まりきっていない架の窄まりから自分の白濁を慎重に掻き出す一玖。


市太は、まだ萎えきらないままの自身を下着に納めボトムスを上げ、片手で一玖の首元に掴みかかる。

「お前が架をこんな風にしたのか!?」

「『こんなふう』って?」

「こんな・・・、」

  厭らしくて艶めかしくて、平気で男を咥え込むような淫乱に・・・

そう思うだけで、市太は絶望感にも似た言い様の無い気持ちに囚われてしまう。


「そうさせたのが俺だったなら優越感しかなかったんですけどね。残念だけど、架に素質があったみたいですよ」

「素質・・・?」

「じゃなきゃ命令されてもないのに、市太さんにフェラまでする必要が無いです。俺だってまださせたことなかったのに」

一玖は首に掛かる市太の手を振り払い、汚れた架の体を拭く。
疲れて寝落ちてしまった架を優しく労わるような一玖の手つきを、市太は無言で見詰める。


  一玖が架を大事に思っているのがわかる。架も一玖が好きだと言っていた。セックスだってお互いの合意の上なら、何を言う必要も無い。
  俺だって何度も違う女の子とその場限りで楽しんで来た。
  なのに架にはこんな事をして欲しくなかった、なんて虫が良すぎる。

  今までずっと架の一番近くにいて、俺はこいつの何を見てきたんだろう。架をただ自分の中の理想で固めて、そうじゃなかったことに勝手に落胆して・・・俺は何様のつもりだ。



やつれた架の寝顔を一瞬見て、ベッドの端から放り出された彼の手をそっとシーツの上に乗せ、市太は部屋を出た。





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