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フランモネで仕事をする

200. 商人と冒険者

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 建物から追い出された俺とシズクとカルガードはお互いをみてなんとも言えない顔をした。警備の人? もこんなことで毎回駆り出されて対応しているのかと思うと申し訳もなく思ったり…

「えーと…リョー?」
「リョータだ。カルガードって言ったっけ? まあそんなわけで販売ルート教えるわけにもいかないんだ」
「ああ悪かった。こっちの販売ルートのやつが契約違反したのかと思ったんだ」

 あーそれでこんなところまで追いかけてきたのか。確かにそんな理由なら必死になるのもわからなくもないかもしれない。約束してた相手が自分にじゃなくて違うところにも同じことをしてたら気になるのは当然だ。

「こっちもいきなり逃げて悪かった。面倒ごとに巻き込まれるかと思ってつい逃げてしまったんだ」

 カルガードはふっと顔を緩め笑った。俺も釣られつい笑みが生まれる。

「うっし、これも何かの縁だ。リョータの砂糖も俺が買い取ってやるぞ?」
「買取り?」
「ああ、ここらじゃ砂糖は俺の商会の名前がないと売れないんだぜ」

 なるほどそれで売れなかったんだ。砂糖ってなんだかんだでお菓子にだけじゃなくて色んな料理に使うのに変だと思ったんだよね。まあ確かに高いからそう売れるものじゃないんだろうけども。

「んー…ちょっと資金が欲しくて売ろうとしてただけだから別にいいよ」
「そうか? ってかもう資金とやらはいいのか?」
「さっきも言ったけど冒険者もやってるからそっちで稼いできたところなんだ」
「なるほどな~ でも冒険者か…あまり儲からないだろう?」
「そうかな?」
「だってここらでは獣人ばっかだからさ、そもそも護衛依頼とかないだろうし、自分たちで周りの魔物も片付けちまうから周辺に魔物があまりいない、それに雑用はもとから大した稼ぎにならないしな」

 へ~ どおりで魔物が少ないわけだ。

「おいおいリョータあんま真に受けるなよ」
「違うのか?」
「確かに商人より稼ぎは悪いかもだけどよ、どうせ同じ魔物を狩るのなら冒険者になっておいた方が素材代だけじゃなくて仕事としても金がはいるだろう?」
「まあそうだな」
「合わせりゃ生活するのに困らないくらいは稼げるんだからいいんだよ。それに今回見たいのもたまにあるだろうし?」

 シズクの話も分からないでもない。見方が変わると結構違うもんなんだな。

「まあ仕事は自由だ。自分で決めた道を進めば後悔だけはしないだろね」
「そういうこったな」

 …あれ? なんでこんな話に??

「まあいいこれも縁だからさ何か売ってくれよ」
「んーそうだな~ じゃあこれとかどうだ?」

 俺はインベントリからガラスのコップを取り出し目の前に差し出した。

「凄いな…向こう側が見えるぜ?」

 そっと手を伸ばしたカルガードが手に持つと、パリーーーーンと音を立ててガラスのコップが割れた。

「……」
「……」
「…あほだ。獣人は加減を知らん奴が多いからな」

 加減を知らんって…初めて触れるものは慎重に触るもんだろうがっ

「えっと…これっていくらで売っているものだんんだ?」
「金貨3枚」
「きっ …俺用事思い出したら帰らないと」

 がしっとカルガードの肩を掴み俺は笑顔で口を開いた。

「商人は信用が大事だと思うんだ」
「そ、そうだね…ちゃんと壊れたのは弁償するが…ちょっと安くしてくれない?」

 まあ俺も悪かったし意地悪するのもこのくらいでやめてやるか。
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