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アリス、醒めない悪夢を(最終話)

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足元がふらつく
もう、ほんとに、この世界は一体なんなんだ

家に帰りたい

こんなことになるなら……

あんなヘンタイあにきのセクハラの一つや二つ我慢していれば良かった

…………もう……イヤだ……


アリスは靴も履かずに三月ウサギの家から飛び出したため、枯れ木や砂利を踏みつけ足先はボロボロになっていた

息つく間もなく色々なことがあったので、足元もおぼつかない

今は宛もなくただ真っ直ぐと薄暗い森をふらふらと歩いていた

今が何時かも分からない

俺は……どこに向かっているんだ……?

「…………?」

遠く離れた木の隙間から、一筋の光が差す
 

……………………出口か!?

アリスは希望の光にすがるように、重い体を急がせた



「……なんだ……ここは……」

森を抜けた先には、とても綺麗な庭が広がっていた

目の前に続く道には、赤いバラが敷き詰められた低木が囲んでいて、真っ直ぐと一直線に延びている

その道を目で追っていくと、まるで物語にでも出てきそうな荘厳な城が建っていた

「……は……えっ……」

余りの壮大さに気圧され、その場に立ち竦んでいると、背後に迫っていた人影にも気づくことが出来なかった

「貴様、何をしている」

「わぁッッ!!?」

急に背後から呼び掛けられ、飛んでいた意識が呼び寄せられる

バッと後ろを振り向くと、そこには見覚えのある顔が、見覚えのない格好をして仁王立ちしていた

「あに……き?」

そこに立っていたのは、確かに血の繋がった兄だった

しかし、いつもの雰囲気とは全く異なっていて、まるで王様のような風貌をしている

「兄貴?俺に貴様のような同胞はおらぬが?」

見下した目で、上から下までアリスを一望すると、クスッと一笑した


「なんだ貴様、男娼か」

「なっ!ち、違ッ…うッ!?」

カッと頭に血が昇り、その兄と瓜二つな男に掴みかかろうとすると、突然キュルキュルと腹が呻いた

「あッッうぅ!!」

余りの腹痛に、その場に座り込んで両手で脇腹を必死に抑えた
中に出された液が、腹痛を呼び起こしたのだ

「違う?何処が違うんだ?そんな腹いっぱいに男の種を植えておいて」

目の前の男はアリスの前に膝を着き、そして顎を引き上げる

あ……近くで見れば見るほど……あにき……似てる……

「しかし気に入ったぞ、貴様の顔容」

そう言って男はニヤリと笑い、辺りを見回した

「おい、誰かおらぬか」

男がそう呼び掛けると、何処からともなくメイド服の女が現れた


「お呼びでございますか、王様」

「あぁ、コイツを洗ってやってくれ、ちゃんと尻穴の中もな」

「畏まりました」


王様と呼ばれた男はそれだけ言って、何処かへ行ってしまった

ポカンと腹を下していることも忘れ、そのやりとりを傍観していたアリスは、メイドに呼び掛けられ、自分の今の立場に気づく

「ほら、立ちなさい、浴場に行きますよ」

「なっ!いや!いいよ!!自分で洗え……ウゥッ!!」

背中を丸めてうずくまっているアリスに、ハァと溜め息をついたメイドは、アリスをいとも簡単に肩に担いだ

えぇッ……結構力持ちだな……

そんなことを思ったアリスは、これから自分がどんな目にあうかも考えないで、ただただメイドに担がれるがまま、城門をくぐっていくのだった



---



…………今なら死んでもいい、誰か俺を殺してくれ

完全なトラウマを植え付けられて、アリスは用意されていた着替えを重々しく身に纏っていく

「たかだか腸内洗浄くらいで、何をそんなに落ち込んでいるのです?」

「うわぁぁああっ!!?!それを言うなぁあ!!」

そう言われて、先ほどメイドにされたことが頭をめぐり、一気に顔が熱くなる

メイドは呆れたようにまた溜め息をつき、アリスの遅い着替えを手伝おうと手を伸ばす

「あっ!やめろ!触るなッ!」

ペシンッとメイドの手を叩き、身を警戒させる

「それでは早く着替えて下さい、王様が首を長くしてお待ちです」

え……なに、俺アイツのところに行かなきゃいけないの……

一気に温まった体が冷える

だって今までの流れで、もう何が起こるか大体想像ついていたから

「それに着替えたらここを出て、最上階の一番奥の寝室に行ってください、角にあるのですぐに分かります」

では、とメイドは一礼して広い脱衣室から出ていった

「………………。」

やっと着替え終わったアリスは、どうしたものかと頭を悩ませる

このまま本当にその部屋に行ったら、絶対にヤられるだろ…俺

目眩がした
別人と言っても自分の兄とクリソツなヤツに、犯されるなんて死んでも御免だ

「このまま逃げるか……?」

そう思い立って、アリスは重い腰を上げた

グキュルル……

「それにしても……腹減った……」

ここにきてからあの変な薬以外何も口にしていない。
寧ろ搾り取られるだけ搾り取られて、体は満身創痍だった

えっと……確か出口は向かいの左側……

そう考えながら浴室のドアを開けると、ドアの前に立っていた男とぶつかりそうになる

「えっ……ぅわっ!」

ドアの前に立っていたのは、他でもない兄の皮を被った王の姿だった

「余りに来るのが遅いのでな、待ちわびたぞ」

そう言って王はアリスの手をひき、最上階の寝室へと向かう

ヤバい……このままだと……!!

「やっ!やめッ!俺…疲れてるんだ……」

必死になって口から出たのは、そんな大したことのないものだった

しかし王はピタリと足を止め、アリスの方を振り返る

「ほう、それで?この俺がお前を易々と帰すとでも思っておるのか?」


ダ、ダヨナー…………

「だが、俺を興じさせたら腹いっぱいに飯を食わせてやろう」

グギュルルルルルル……

「…………。」

今のアリスにその誘惑は、性行為よりも重大なことだった

「…あの……一生懸命頑張りマス……」



王様に手を引かれ、階段を登り寝室へと連れられてきた
そして今はだだっ広いキングサイズのベッドの上にアリスは正座している

さっきは飯の誘惑に負けたけど……やっぱこんなの…!

「ちゃんと尻の中はキレイにして貰ったか?」

王がそう煽ると、再び先ほどのトラウマが頭を過り、顔が一気に赤くなる

「う、うるさい……」

王様が不敵に目を細め、うっすらと笑みを浮かべながらこちらを覗き込んできて、アリスはふいっと顔を背ける

「まぁよい。しかし貴様、さっきからその口の聞き方はなんだ?俺を誰だと存じておる?」

グイッと胸ぐらを掴まれ、王の方へと引き寄せられるが、アリスも負けじと反抗する

「知らねーよお前なんか。ただのブラコンの変態じゃねーか」

やっぱり兄と面影を重ねてしまい、どうしても別人と捉えられない

寧ろ本当にただ単にあにきがふざけて、変なコスプレをして俺を騙そうとしているんじゃないかと疑う

しかしその甘い考えも、儚く崩れてしまうことになってしまう

「ほう、そうか。この俺を知らないとは……じゃあ身を持って分からせるか?」

王はパチンと指を鳴らすと、少したって先程とはまた違うメイドが寝室へと入ってきた

しかしその華奢なメイドの手には、似つかわしくないモノが握られていた

「お呼びでございますか、王様」

「あぁ、コイツの首を刎ねよ……いや、待て、首を刎ねたらすぐに死ぬからな…まずは手足でいい」


!?
な、何をいってんだ!?コイツ!!?

「畏まりました」

!!!!

メイドがゆらりと近付く

や、ヤバい……このままだと……!!!

「ご、ごめんなさい!!!分かった!!もう分かったから!!調子乗ってすいませんでした!!」

ひたすら媚びるしかなかった
アリスは正座のまま頭を下げ、憐れにも土下座の形を取る

本当に惨めだな、と自分でも呆れる

「そうか、物分かりの早いのは良いことだ。もう下がって良いぞ」

「畏まりました、では失礼します」

メイドはそう言って、大きな斧を持って出ていった

「………………。」

なんなんだよほんと!!
また面倒な狂ったヤツに捕まってしまうなんて!!

アリスはじわぁ、と涙を浮かばせ唇を噛み締めた

「おい、いつまでそうしておる。面を上げよ」

「………………。」

ゆっくりと頭を上げ、アリスは目の前の男のベルトに手をかける

「フ、やっとやる気になったか」

無心に……無心になれ俺……

別人だと思えばいいんだ……

コイツはあにきとは違う……
………………。

アリスは目を伏せたまま、男の一物にしゃぶりついた

えっ……

何か異様な感覚を覚える

今日だけで何度も口に突っ込まれてきた感触が明らかに違うのが分かった

その質量と、質感に、目を閉じていながらも額に汗を浮かばせる

うわっデカっ!!

目を開けると自分の兄の物とは思えぬ立派な男根を拵えていた

こんな事を思うのは癪だけど、今までの奴らと比べものにならなければ、俺の一回り以上もありそうな…


あ……この人……あにきじゃないわ


その瞬間何故かアリスは吹っ切れた





「ふ、拙いものだな」

「ん、ぅむ…」

クッソ……デカすぎんだよ……

アリスは王の一物を入念に舐め回す
どうせ後から入れられると分かっているなら、痛いのは御免だったからだ

ペチャペチャといやらしい水音が、広い寝室に響き渡る

その音が直に耳に届く感覚だけで、アリスは無意識に下半身を疼かせてしまう

「もうよい」

そう言って王は、アリスの頭を掴み仰向けに倒した

「あ…」

「なんだ貴様、ナメただけで勃たせておるのか、淫乱なヤツめ」

本当だ……舐めただけで勃ってる……
ハハ……マジで変態じゃん、俺

もう自分でも笑いが出るぐらいの絶倫さに何も言えず、ただ王に身を委ねようと目を瞑る

「挿れるぞ」

そう言うと同時に、王は蕾に剛直を宛がった

「……う……あ……」

すっかり緩くなってしまったアリスのソコは、すんなりと王を受け入れてしまった

「大して慣らしておらぬのに、流石だな」

腰を引き寄せ一気に最奥まで突き入れた

「……う゛あッ!うぅ!」

しかしやはり中に入ってくるその質量は、アリスの肉壁を更に押し拡げていく

「ほぉ、淫乱にしてはよく締まる…」

王はアリスの竿に手を伸ばし、下から搾り取るように扱きあげ始めた

「あっ!や…な、して…あぁ!!」

「どうだ?中も外も刺激が強くてたまらんだろう」

バツンバツンと激しく中を掻き乱され、前も先端をグリグリとイジメられる

「はぁっ…あぁっ!…いやっ!…んぁぁっ」

すっかり中で悦びを知ってしまった身体は、奥を突かれるたびにギュウギュウと王の昂りを締め上げる

「……もっ…おれ…はぁッ!…いいか、ら……ひゃあんん!」

前も後ろも強すぎる刺激に、アリスはすぐに射精感が募っていってしまった

「や……だ、めっ!だめっきちゃう!」

ぎゅううと王の背中に腕を回し、互いの熱のぶつかりを肌で感じる

「クッ、締めすぎだ……中に出すぞ!」

「アッ!ああああアッン!!」


プシャアアアアアアッ


全身に電流が走ったように、ビクビクと体をそり返し、目の前が真っ白になる

失神してしまいそうな感覚の中で、その異様な音を耳にした

「ハッ、潮吹きとは…本当に女のようだな」

お腹の上が徐々に生温かくなっていき、すぐに濡れた感触を肌に感じた

う……うそだ…そんな……

ビッショリとシーツと自身の肌を濡らして、信じられない光景を目の当たりにする

王はニヤリと不敵に笑い、今度はうつ伏せの体勢を取らせようとアリスの腕を掴む

「ほら、ケツを後ろに向けろ、ブタめが」

「えっ…そ、んな!まだ、すんの!?」

王はうつ伏せになっているアリスの背中に覆い被さるように、冷めた声で耳打ちする

「愚か者めが、貴様だけ勝手に果てただけだろう、俺はまだ一度もイッておらん」

そう言って、アリスの腰を引き、四つん這いの体勢を取らせ、再び最奥に突き入れる

「ひぁアアッ…らめっ…イッた…ばっか…なのにぃ!」

しかし容赦なく律動を繰り返すと、アリスはまるで犬のようにハッハッと息を苦しませながら善がり始めた。それを見て王様は鼻で笑う

「フンッたわけが、一人だけヨガっていい気になりおって」

王様は更にアリスの双丘を高く持ち上げ、身体ごと押しつぶすように自身の逞しいイチモツを更に深い所へ突き入れる

「やぁぁっ!?やッ!やだ!!深いぃぃッ」

S字結腸まで突き抜けるその肉棒が、アリスの全身に汗を吹かせ、口からはアワとも言える唾液が溢れかえる

「しっ死ぬッ死んじゃっ!んぁぁっ!アッアッ」

ゴリュッゴリュッと結腸を突き抜け、ギリギリまで腰を引いたと思えば、バツンと強く打ち付ける

「あ"ぁあ”あ"ッッむっりぃぃっ壊れち"ゃう"う"」

「はぁっ…最高だ、もう中に出すぞ、しっかりと受け止めろ」

「ひッィイアァッ!!なかッ…熱ぃいイィッ」

ドクンドクンと溢れんばかりの熱を腸内に注ぎ込まれる
アリスはグリンと白目を剥き、意識を手放した



---



「も……やめろぉおおおお!!!!!」

バッと目を開いた先には、青空が広がっていた

全身がビッショリと汗を吹き出して湿った感覚にすぐに気持ち悪さを覚える

「なんだ、やっと起きたか」

「は?」

体を起こすと、本来の姿をしたあにきが隣で座っている

「えっ……夢…………?」

俺は……ずっと夢を見てたのか……?

「あ゛あ゛あぁああッッ!!なんであんな夢を!!」

ぐわああっと顔が熱くなる
あんな変態じみた夢を見るなんて……俺……最悪だ……

「なかなかお前が起きないもんだから、お兄ちゃんちょっと止められなかったわ」

「は……?」

下半身が急に寒気を感じる

そこを向くと、既に下半身だけ丸裸の状態で、大量の白濁でドロドロに汚れていて、おまけに腰が砕けそうなほど痛い


「なっ!!あんな変な夢見たの全部テメェのせいじゃねーか!!!死ね!!このクソブラコンヤロー!!!」

「だってお前ぜんぜん起きないし…え、ちょ、それやめっ!」

ガスリ、と鈍い音が青い空に溶けていく




~Fin~
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