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 不義の子、更には王族の血が流れているとして、隠匿しなければいけない存在。
 しかし、一人で産み育てていたリリアック・セフィーリオが事故で儚くなってしまったのだ。
 リリアック・セフィーリオはルイスの事を思ってなのだろう。自分に何かあればセフィーリオ公爵家に連絡がいくようにしてあった。だからこそ、姉の死と子どもの存在と事情を知った父はルイスを引き取ったのだけれど……。

 ――王弟殿下の子どもだという事は公言出来ない。

 内密にしていく為にも、家族に話す事もせず、ただ引き取ったと紹介するだけだったのだ。
 そして私は公爵家を乗っ取ろうとしている輩がと……。

「いやぁああ! 無理!無理!無理!!」

 思わず叫び声をあげて、私はベッドの上を転がりまわる。
 だって、ゲームのミアは平民が公爵家を乗っ取ろうとしている! お父様の隠し子だ! と思い込み、ルイスを虐めるのだ。

「推しを虐めるとか無理すぎる……!」

 むしろ、何でそんな思い込みで虐めたんだ! ミア・セフィーリオ!
 いや、今は私だけどさ。うん。
 無意味な虐めは良くない。

「さっきまで、ここに居てくれたんだよなぁ……」

 私がルイスの名前を呼んでいたからと、ずっと傍に居てくれたんだよなぁ……尊すぎる。
 というか、そんな優しい子を虐めるなんて、鬼だ悪魔だ! 鬼畜すぎる! 血も涙もないぞ!

「ルイスが義弟……」

 優しくて思いやりのあるルイスが、義弟となった現実に胸が熱くなるというか、嬉しさで張り裂けそうだ。

「さっきまで、この部屋に居てくれ……あっ!」

 そうだ! ルイスは私の部屋に居てくれたのだ!

「ルイスの香り……っ!」

 現実で存在しているルイスの存在を確かめるように、私は思いっきり息を吸う。

「……げぇっほ! げほげほ!!」

 むしろ、お母様が部屋に入って来た事で香水の匂いが充満しており、私は見事にむせ返った。

「あぁあ……勿体ない……」

 ルイスの存在をしっかり確かめたかった私は、枕に顔を埋めた。
 気づくのが遅すぎだろう! 私!
 ていうか、お母様、香水つけすぎ!!

「…………」

 私は、先ほどまでルイスが座っていた椅子の方へ視線を向けると、そのまま頭をそちらの方へ持っていった。
 ベッドで真横に寝ても、大きなサイズだし子どもの身体だから、はみ出る事はない。
 ルイスの痕跡に少しでも近づけるように。ルイスの温かさが残っていないか確かめるように。

「……髪の毛でも落ちてないかなぁ……」

 ルイスの一部がないのか探していれば、私はそのまま眠りに落ちていった。
 結局、髪の毛なんて見つからなかったのだけれども。
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