後宮の独奏者は嘘の半音を聴く ~陛下、私の弦は誰にも届きません~
玲国の水郷で生まれ育った楽器職人の娘・白凜音(はく りんね)、十七歳。
彼女には特殊な耳がある――声の半音下がりに嘘を聴き、隠された旋律から人の本心を読み、楽器に込められた持ち主の感情を聴く。
だが、その感受性は祝福であると同時に呪い。彼女は他者の音と決して共鳴できない、永遠の独奏者だった。
朝廷からの推挙状を受け、凜音は閉鎖されていた後宮楽工房の首席楽士として召し上げられる。過敏な耳が音の洪水に倒れたその夜
、辿り着いた「無音の間」で、彼女は楽神「韻」の分け御霊・響(きょう)と出会う。
凜音には果たすべき使命があった――百年も誰一人として奏でられなかった、失われた古曲「鎮魂曲」の復元。それは、毒殺された前
皇后と、凜音の母が果たせなかった夢でもあった。
水鏡の儀で凜音の独奏を聴いた冷徹な皇帝・玲煌帝蒼龍は、囁いた。
「お前の音は、母の音に似ている」
妃にはならない。けれど、いつか――誰かと音を合わせる日まで。
しっとりした和の情緒と古曲復元の高揚、そして「共演できない」二人の静かな恋。
彼女には特殊な耳がある――声の半音下がりに嘘を聴き、隠された旋律から人の本心を読み、楽器に込められた持ち主の感情を聴く。
だが、その感受性は祝福であると同時に呪い。彼女は他者の音と決して共鳴できない、永遠の独奏者だった。
朝廷からの推挙状を受け、凜音は閉鎖されていた後宮楽工房の首席楽士として召し上げられる。過敏な耳が音の洪水に倒れたその夜
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「お前の音は、母の音に似ている」
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