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溶けてしまう*
しおりを挟む「ど、して……」
「俺ので気持ちよくなってほしい」
途中で放り出されて、ぼんやりしている私の目尻に溜まった涙をユーリが吸う。濡れた指を舐めると、乱れて意味をなさないドレスを取り払った。
性急に脱いだシャツを放り投げて、トラウザーズの前を寛げたユーリと倒れ込むように寝台に横たわる。
厚みのある胸、しなやかな筋肉がついた腕。鍛え上げられた彫像のような身体だった。着痩せするタイプらしい。
下へと視線を滑らせて、割れた腹に沿うようにしっかり勃ち上がったものに私は息をのんだ。
男性のものを目にしたのは初めてだけど、想像よりずっと大きい……。
「ユ、ユーリ……」
「怖がることはしないと約束します」
怯む私を宥めるように、ユーリが頬に優しくキスを落とす。やめるつもりはないらしい。何度か擦りつけられていた昂りが前触れもなく挿入ってきた。
「ん、あっ」
「はっ……きつ」
ものすごい圧迫感に下腹部が震える。
身体を強ばらせる私を見下ろしていたユーリが覆いかぶさってきた。
「ピア、息して」
「……っん、ふ……はっ……」
「ん、いい子」
甘やかすようなキスを受け入れていると痛みを忘れられる。だから夢中になってユーリに応えた。腰を押しつけられて、ゆっくり、でも着実に深くつながっていく。
腰の動きが止まり、ユーリの手が私の乳房を包み込んで、大きくもなく小さくもないそれに丁寧に舌を這わせる。
「……ああっ」
蕾を吸われて感じたことのない痺れにきゅんとなった瞬間、ユーリが一気に腰を進めて奥を穿った。やがて動きが完全に止まり、「はあっ……」とユーリが長く息を吐き出す。
「これで全部です」
私はつながっているところへ意識を向けた。隙間がないくらいぴったり密着して、熱く脈打つユーリのものが私の中を満たしている。
「痛くない?ゆっくり動きます」
「あ、あっ、んっ……」
腰が引かれて、再び押しつけられた私は言葉にならない媚声を上げた。
もどかしそうにゆっくり始まったそれは、次第に速まっていく。私の反応をうかがいながら、ユーリが腰を揺らす。
私の淫乱仕様の身体がいやらしいことに弱すぎるのか、器用なユーリが私の感じるところばかり責めてくるからか。きっと後者に違いないのだけれど、溶けてしまいそうだった。なんとかぐずぐずになるのを踏み止まる。
でもすぐに泣き言をこぼした。
「ユーリ、っも、だめ……」
「どう駄目?」
「ん、気持ちいいの、止まらな……私ばかり、やだぁ……」
「……ああ、クソっ。かわいすぎる」
腰を掴むユーリの手に力が入り 奥を幾度となく責められて甘い痺れがせり上がってきた。せめて声だけでも我慢しようと唇を噛み締めるけれど、すぐにユーリの指が割り入ってくる。
「声聞きたい。ここには俺とピアしかいない。だから好きなだけ」
全部見せろと言われた気がした。隠さずにすべてをさらけ出せと。
「んうっ、ふ、っ……」
ぐちゃぐちゃと指で口内をかき回されて、それにさえ感じてしまう。私は夢中になって口に含んだユーリの指を吸った。それでも抑えられない声が漏れてしまう。
浅いところばかり擦り上げていた彼が再び深く入り込んできた。経験はないけれど、この先にあるものを知っている。私は追い詰められていた。
涙が滲む目でユーリに縋る。
「……っユ、リ……ユーリ……」
熱に浮かされたみたいにユーリの名前を呼ぶ。いつも涼しい顔をしている彼が息を上げていて、そうさせているのが自分だと思うと、きゅんきゅんするのを止められなくなっていた。
「も、ユーリ、きちゃうの……っこわい……」
ぐっとユーリが眉を寄せた。
「気持ちよくなるだけだ、怖くない。俺が見ててあげるからイって。……イけ、ピア」
「……っ、ユーリも、出して!」
魔力を、とまでは言葉が続かなかった。
視界が真っ白に染まって、頭の中が光でいっぱいになる。
「俺も、もう……」
二度三度と腰を揺らしたユーリの動きが止まり、注ぎ込まれた熱いもので私のお腹の中が満たされていく。
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