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・松嶋先生はせんちゃんのことが…!?(ほのぼの)
フハッフハッ
しおりを挟む「きみのおにいさんは……とても、やさしくて、すてきなひと……だよね……?」
──オレやっぱり耳がバグってるのかな。
「あんなにやさしいひと、みたことないよ……。ああ。本当にみたことはないが……。フフッ」
ナナフシがずっと優兄のことをしゃべっている。
馬鹿な。そんなことあるわけがない。
あまりにもボソボソとして聞き取りにくい声だから、困ったオレの聴覚が心の中で好き勝手に副音声をつけているだけだろう。
フハッフハッとリズミカルに息を吐いているナナフシは、一応笑っているっぽい。
それなのに表情をつくるための筋肉が何一つ動いていないから不気味。
この人は本当に頭の先からつま先まで完全に棒だ。
そういえば教科書は完全に無視されたのかと思っていたとき、ナナフシは小脇に抱えていたクリアケースから新品の教科書を取り出した。
「うけとってほしい。ぼくのきもちだ。気にしないで。かわりなんて何冊でもある。きみのおにいさんには本当にすてきだ。ヨロシクとつたえてほしい。それじゃあ」
オレに教科書を手渡すと、ナナフシはふらふらと壁に肩を擦り付けるようにして職員室へ帰っていった。
(──意味わかんねええええええっ!)
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