233 / 288
・せんちゃん、はじめての仮病
チューして!
しおりを挟む「せんちゃん……ううっ、早く元気になってね、せんちゃん……。まだ若いんだからっ、早く元気になってぇ……」
「ありがとう。ホントに心配いらないからさ」
おでこの上にしんしんと降り積もった雪のような手をすくい、丁寧に包むように握った。
オレの体温と溶け合って、じんわりと熱を取り戻していく。
素肌でのふれあいは、下手な治療やお薬よりもよっぽど癒やし効果があると思う。ついでに、ぎゅって抱っこしてほしいな──優兄の腕の中でほかほかぬくぬくしながら寝たい──と、子供っぽい衝動がむずむずとこみ上げてくる。
「ねぇ! いいこと思いついたっ!」
突然、優兄は握りあった手をまるで車のサイドブレーキのごとくグイッと引いた。
「せんちゃん! 今すぐチューしよっ、べろんべろんに深いチューしようっ! いつもみたいにっ!」
「な……!? オレいつもそんなべろんべろんしてないしっ」
「いいからチューしてっ! ぼくにうつせば早く治るでしょ」
「はあ!?」
抱っこでいいと思ったのに、一気にキスまで展開するなんてびっくりすぎる。なんでそうなるんだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
321
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる