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32話 空を飛ぶ
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朝市の買い物から宿に帰ってくると、同時にカエデも帰ってきた。
「ただいまご主人様!ねぇ聞いて聞いて!」
カエデが大興奮しながら帰ってきた、何を言いたいのか何となく予測出来るが、一応聞いてみるか。
「おかえり、どうしたんだ?」
「シェミィが人助けしたって聞いたの!私達が知らない所で!」
「ちょうど俺達も朝市で会った人から聞いた所だ、シェミィ偉いぞ」
シェミィの頭を撫でると気持ちよさそうにした。
「今日の晩御飯、シェミィの肉増やしてやるからな!ご褒美だ」
「にゃ~う!」
シェミィの尻尾がブンブン振られている、嬉しいみたいだな。
「あと、カエデとシェミィの為にこれを手に入れたんだよ、尻尾手入れ用のオイルだ!これで尻尾がサラサラツヤツヤになるぞ」
「おお!ご主人様、今日早速お願いしてもいい?」
「勿論だ、シェミィもしてやるからな」
「にゃーう」
シェミィの尻尾が振られているって事はして欲しいでいいんだよな?シェミィもそういう美意識とかあるんだろうか?
まぁ、して欲しそうにしてるからキレイキレイしてやんよ!
「それも大事かもしれないけど、テイム練習や変身の慣らしはしなくていいのかしら?」
「あっ、早くしないと昼になるか……カエデ、テイムに関する書物はあったか?」
「あったよ!これが詳しく書いてるって書物庫の管理人さんから聞いたから、大丈夫だと思う」
「よしよし、これから討伐系クエスト受注してから特訓に行こう!」
「おー!」
「ふふ、コウガ様の変身楽しみだわ」
ギルドに行き、クエストに目を通すと野ウサギ大量発生という討伐クエストに目が止まった。
野ウサギは魔物ではなく動物で、攻撃も特にしてこない大人しい動物なのだが、たまに大量発生して馬車の通行を妨げたりするらしい。
場所は、テラー大森林から出てきた際に見えた平原の南方面辺りで発生してるという。
ギルドのマップを見るにあの広大な平原はダイ平原と言うらしい、なるほど大平原ね……安直な気がするが気にしないでおく。
野ウサギならテイム練習出来るし、大量発生だから討伐の際に範囲攻撃の練習にもなる。
「決めた、このクエストにするか」
「野ウサギね、討伐した後にウサギ肉を回収すれば報酬以上に利益がありそうね」
「討伐前に野ウサギでテイム練習しても良いかもね!」
「そう、それも考えてこれにした。俺達のやりたい事に丁度いいクエストは多分他に無いと思う」
「そうね、そうしましょうか」
「早く受注して行こ!」
「あぁ、行こうか」
野ウサギ大量発生のクエストを受けて、ギルドで周辺のマップを貰ってから門を出た。
平原の南の方で移動に時間掛かるのと、大量発生っていう事により討伐に時間が掛かった場合は暗くなる前にサンビークに帰れるか分からない。
大量発生の位置から近い村にお世話になる事も考えておかなくちゃいけないな、最悪野宿でもいい。
「ねぇコウガ様、こうして歩いている間にでもドラゴン族の慣らしをしても良いと思うのだけれど、どうかしら?」
「歩きながら出来るのか?」
「そうね、多分1番難しいのが翼の操り方だと思うのよ。翼の動かし方なら歩きながらコツを掴めるかもしれないわ、そうなれば私とコウガ様で飛んで、カエデはシェミィに乗って移動時間短縮……現実的だと思うわ」
確かにそれが可能ならそれがいい、シェミィに2人乗ることも不可能ではないだろうが……あの背中に2人は狭いしシェミィに負担もかかる、俺が飛べた方が良いだろう。
「分かった、なら俺は翼の操り方をマスターして飛ぶ練習だな」
「頑張ってご主人様!今の内に私もシェミィに乗りながらテイム本読んどくよ。もし魔物が来たら知らせて欲しい、私達で討伐するからね!」
「助かる、疲れたら俺達が交代するから頼んだ」
「了解!」
ドラゴン族に変身すると翼と尻尾が生えてくる、服が破れない親切設計なのは本当に助かる……
「まずは翼を動かしてみましょうか、畳んだ状態からこうして広げるの」
メイランが手本を見せてくれる、畳まれた翼がバサッと広がった。
俺もやってみようと思ったが思うように動かせない。
「コウガ様は人族、翼を動かす感覚なんて感じたこと無い筈だから、慣れないと難しいと思うわ。だから私がコウガ様の翼を動かすから、背中の翼が動く感覚を覚えて欲しいの」
「その翼の感覚で、何処の筋肉を動かしたら翼が動かせるのかを知るわけだな?」
「そう、後はその筋肉を意識して動かすコツを掴めば、そっからは翼で飛ぶ事も難しくないわ」
「分かった、頼む」
メイランが俺の翼を掴む、人の身体で感じた事ないような感覚を感じた、これが翼の感覚……
「どう?コウガ様」
「触られた事ない感覚だな、背中から生えてるのに背中の感覚じゃないのが不思議だ、狼人族に変身した時の尻尾もそうだったな」
次に、翼を羽ばたかせるように動かしてもらうと、ようやく背中に覚えのある感覚があった。
「この背中の感覚……これを動かせばいいのか」
その感覚を頼りに動かすと、翼が根元から羽ばたくように動き出した。
「おお!翼が羽ばたくように動いたぞ」
「さすがコウガ様!もう羽ばたかせる感覚を掴んだのね、後は翼を広げるだけなのだけれど」
「広げるってのが人としての感覚ではないから難しいな……」
「そこは頑張って感覚を掴んでもらうしかないわね……翼を広げる動作を繰り返してみるわね」
メイランが翼を動かしてもらってる間に俺は神経を背中方面に集中させて色々な部位に力を入れたりして感覚を確かめていく。
索敵スキルは意識していなくとも発動さえしていれば知らせてくれる、だから反応があるまではしっかり背中の感覚に集中させる。
「ここでもない……この感覚は何処だ……?」
色々試している内に30分経過していた、その間にも少数ながら魔物が現れているが、カエデとシェミィが討伐してくれている。
現れる魔物はボアやウルフに鷹のような姿のウォーグルだが、カエデは地上の魔物を、シェミィは風スキルでウォーグルを撃破している。
数は少ない為基本的には直ぐ討伐されて、のんびりと本を読んでいる。
「なるほど……テイムしたい対象に魔力を飛ばして命中させると通常テイムが出来ると。魔力抵抗が高いと失敗しやすくて、飛ばして命中させた魔力を依代にスキルによってテイム完了する。魔力を飛ばすんだね……私魔力少ないから魔法とかも使えない、大丈夫かなぁ」
本を読み進めると、魔力量の心配する必要がない事が分かった。
「忠順テイムは相手側の承認によりテイムされる為魔力は少量で済む、通常テイムの場合は、飛ばす魔力が必要の為に忠順テイム以上の魔力は必須。やっぱりそうだよね……ん?忠順テイムによるテイム紋により、魔力パスが繋がっているので魔力の共有が可能!?」
要するにカエデの魔力が少なくとも、シェミィから魔力を受け取る事により魔力不足を補えるから問題ない訳だ。
シェミィは風を操るくらい魔力はあるからな。
「じゃ私もテイムスキル使うのは問題ないって事か、良かった!」
カエデが安心した顔になっている、どうやらスキル使用については問題ないらしい。
ぶつぶつ口に出していたから把握出来てるんだよな……といけないいけない、俺も集中しなくては。
「うーん、もう少しだと思うんだが」
「焦らずいきましょ」
俺は背中を伸ばして伸びをすると、メイランに翼を触られていた感覚と近い部分に力が入りバサッ!と音がした。
「ん?」
音がした後ろを見ると自分の翼が広がっていた。
「お、おお?翼が広がったぞ!」
「コウガ様!やったわね、今の感覚分かったかしら?」
「あぁ、今ので分かったぞ!こうだな」
俺は翼を広げたままバサッバサッと羽ばたくように動かした、するとメイランとの絆の効果であるドラゴン族の特性が適応されて、羽ばたく動作により身体が少し浮いた。
「おお!?羽ばたく力で身体が浮いたぞ!?」
「ご主人様凄い!飛んでる!」
カエデも俺が飛んだのに気付き、拍手してくれた。
「コウガ様やったわね!私が手を引いてあげるから、前に進む感覚を覚えましょ!」
メイランも飛び上がり、俺の手をゆっくり引いて、前に進む推進力の感覚を身体に染み込ませていく。
移動しながら1時間程練習したらある程度自由に飛べるようになった。
「これが飛ぶって感覚か!凄いな!」
「でしょう?早くこれを感じて欲しかったのよ」
俺の初フライトが成功して盛り上がる俺とメイラン、そして下の方で手を振りながら大喜びしてくれてるカエデ、そしてそれからの道中は俺とメイランが低空飛行、カエデはシェミィに乗ってスピードUPする。
出発して3時間は経った頃、南平原までもう少しの地点でお昼の時間になったので、買っておいたお昼を食べながら休憩をしたのだった。
「ただいまご主人様!ねぇ聞いて聞いて!」
カエデが大興奮しながら帰ってきた、何を言いたいのか何となく予測出来るが、一応聞いてみるか。
「おかえり、どうしたんだ?」
「シェミィが人助けしたって聞いたの!私達が知らない所で!」
「ちょうど俺達も朝市で会った人から聞いた所だ、シェミィ偉いぞ」
シェミィの頭を撫でると気持ちよさそうにした。
「今日の晩御飯、シェミィの肉増やしてやるからな!ご褒美だ」
「にゃ~う!」
シェミィの尻尾がブンブン振られている、嬉しいみたいだな。
「あと、カエデとシェミィの為にこれを手に入れたんだよ、尻尾手入れ用のオイルだ!これで尻尾がサラサラツヤツヤになるぞ」
「おお!ご主人様、今日早速お願いしてもいい?」
「勿論だ、シェミィもしてやるからな」
「にゃーう」
シェミィの尻尾が振られているって事はして欲しいでいいんだよな?シェミィもそういう美意識とかあるんだろうか?
まぁ、して欲しそうにしてるからキレイキレイしてやんよ!
「それも大事かもしれないけど、テイム練習や変身の慣らしはしなくていいのかしら?」
「あっ、早くしないと昼になるか……カエデ、テイムに関する書物はあったか?」
「あったよ!これが詳しく書いてるって書物庫の管理人さんから聞いたから、大丈夫だと思う」
「よしよし、これから討伐系クエスト受注してから特訓に行こう!」
「おー!」
「ふふ、コウガ様の変身楽しみだわ」
ギルドに行き、クエストに目を通すと野ウサギ大量発生という討伐クエストに目が止まった。
野ウサギは魔物ではなく動物で、攻撃も特にしてこない大人しい動物なのだが、たまに大量発生して馬車の通行を妨げたりするらしい。
場所は、テラー大森林から出てきた際に見えた平原の南方面辺りで発生してるという。
ギルドのマップを見るにあの広大な平原はダイ平原と言うらしい、なるほど大平原ね……安直な気がするが気にしないでおく。
野ウサギならテイム練習出来るし、大量発生だから討伐の際に範囲攻撃の練習にもなる。
「決めた、このクエストにするか」
「野ウサギね、討伐した後にウサギ肉を回収すれば報酬以上に利益がありそうね」
「討伐前に野ウサギでテイム練習しても良いかもね!」
「そう、それも考えてこれにした。俺達のやりたい事に丁度いいクエストは多分他に無いと思う」
「そうね、そうしましょうか」
「早く受注して行こ!」
「あぁ、行こうか」
野ウサギ大量発生のクエストを受けて、ギルドで周辺のマップを貰ってから門を出た。
平原の南の方で移動に時間掛かるのと、大量発生っていう事により討伐に時間が掛かった場合は暗くなる前にサンビークに帰れるか分からない。
大量発生の位置から近い村にお世話になる事も考えておかなくちゃいけないな、最悪野宿でもいい。
「ねぇコウガ様、こうして歩いている間にでもドラゴン族の慣らしをしても良いと思うのだけれど、どうかしら?」
「歩きながら出来るのか?」
「そうね、多分1番難しいのが翼の操り方だと思うのよ。翼の動かし方なら歩きながらコツを掴めるかもしれないわ、そうなれば私とコウガ様で飛んで、カエデはシェミィに乗って移動時間短縮……現実的だと思うわ」
確かにそれが可能ならそれがいい、シェミィに2人乗ることも不可能ではないだろうが……あの背中に2人は狭いしシェミィに負担もかかる、俺が飛べた方が良いだろう。
「分かった、なら俺は翼の操り方をマスターして飛ぶ練習だな」
「頑張ってご主人様!今の内に私もシェミィに乗りながらテイム本読んどくよ。もし魔物が来たら知らせて欲しい、私達で討伐するからね!」
「助かる、疲れたら俺達が交代するから頼んだ」
「了解!」
ドラゴン族に変身すると翼と尻尾が生えてくる、服が破れない親切設計なのは本当に助かる……
「まずは翼を動かしてみましょうか、畳んだ状態からこうして広げるの」
メイランが手本を見せてくれる、畳まれた翼がバサッと広がった。
俺もやってみようと思ったが思うように動かせない。
「コウガ様は人族、翼を動かす感覚なんて感じたこと無い筈だから、慣れないと難しいと思うわ。だから私がコウガ様の翼を動かすから、背中の翼が動く感覚を覚えて欲しいの」
「その翼の感覚で、何処の筋肉を動かしたら翼が動かせるのかを知るわけだな?」
「そう、後はその筋肉を意識して動かすコツを掴めば、そっからは翼で飛ぶ事も難しくないわ」
「分かった、頼む」
メイランが俺の翼を掴む、人の身体で感じた事ないような感覚を感じた、これが翼の感覚……
「どう?コウガ様」
「触られた事ない感覚だな、背中から生えてるのに背中の感覚じゃないのが不思議だ、狼人族に変身した時の尻尾もそうだったな」
次に、翼を羽ばたかせるように動かしてもらうと、ようやく背中に覚えのある感覚があった。
「この背中の感覚……これを動かせばいいのか」
その感覚を頼りに動かすと、翼が根元から羽ばたくように動き出した。
「おお!翼が羽ばたくように動いたぞ」
「さすがコウガ様!もう羽ばたかせる感覚を掴んだのね、後は翼を広げるだけなのだけれど」
「広げるってのが人としての感覚ではないから難しいな……」
「そこは頑張って感覚を掴んでもらうしかないわね……翼を広げる動作を繰り返してみるわね」
メイランが翼を動かしてもらってる間に俺は神経を背中方面に集中させて色々な部位に力を入れたりして感覚を確かめていく。
索敵スキルは意識していなくとも発動さえしていれば知らせてくれる、だから反応があるまではしっかり背中の感覚に集中させる。
「ここでもない……この感覚は何処だ……?」
色々試している内に30分経過していた、その間にも少数ながら魔物が現れているが、カエデとシェミィが討伐してくれている。
現れる魔物はボアやウルフに鷹のような姿のウォーグルだが、カエデは地上の魔物を、シェミィは風スキルでウォーグルを撃破している。
数は少ない為基本的には直ぐ討伐されて、のんびりと本を読んでいる。
「なるほど……テイムしたい対象に魔力を飛ばして命中させると通常テイムが出来ると。魔力抵抗が高いと失敗しやすくて、飛ばして命中させた魔力を依代にスキルによってテイム完了する。魔力を飛ばすんだね……私魔力少ないから魔法とかも使えない、大丈夫かなぁ」
本を読み進めると、魔力量の心配する必要がない事が分かった。
「忠順テイムは相手側の承認によりテイムされる為魔力は少量で済む、通常テイムの場合は、飛ばす魔力が必要の為に忠順テイム以上の魔力は必須。やっぱりそうだよね……ん?忠順テイムによるテイム紋により、魔力パスが繋がっているので魔力の共有が可能!?」
要するにカエデの魔力が少なくとも、シェミィから魔力を受け取る事により魔力不足を補えるから問題ない訳だ。
シェミィは風を操るくらい魔力はあるからな。
「じゃ私もテイムスキル使うのは問題ないって事か、良かった!」
カエデが安心した顔になっている、どうやらスキル使用については問題ないらしい。
ぶつぶつ口に出していたから把握出来てるんだよな……といけないいけない、俺も集中しなくては。
「うーん、もう少しだと思うんだが」
「焦らずいきましょ」
俺は背中を伸ばして伸びをすると、メイランに翼を触られていた感覚と近い部分に力が入りバサッ!と音がした。
「ん?」
音がした後ろを見ると自分の翼が広がっていた。
「お、おお?翼が広がったぞ!」
「コウガ様!やったわね、今の感覚分かったかしら?」
「あぁ、今ので分かったぞ!こうだな」
俺は翼を広げたままバサッバサッと羽ばたくように動かした、するとメイランとの絆の効果であるドラゴン族の特性が適応されて、羽ばたく動作により身体が少し浮いた。
「おお!?羽ばたく力で身体が浮いたぞ!?」
「ご主人様凄い!飛んでる!」
カエデも俺が飛んだのに気付き、拍手してくれた。
「コウガ様やったわね!私が手を引いてあげるから、前に進む感覚を覚えましょ!」
メイランも飛び上がり、俺の手をゆっくり引いて、前に進む推進力の感覚を身体に染み込ませていく。
移動しながら1時間程練習したらある程度自由に飛べるようになった。
「これが飛ぶって感覚か!凄いな!」
「でしょう?早くこれを感じて欲しかったのよ」
俺の初フライトが成功して盛り上がる俺とメイラン、そして下の方で手を振りながら大喜びしてくれてるカエデ、そしてそれからの道中は俺とメイランが低空飛行、カエデはシェミィに乗ってスピードUPする。
出発して3時間は経った頃、南平原までもう少しの地点でお昼の時間になったので、買っておいたお昼を食べながら休憩をしたのだった。
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