【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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野々ちゃんはキツめの美人な顔で心配そうに自分の服を見下ろした。



「こんな格好をしたのは初めてで・・・。
今日はバレンタインデートだから凄く良いお店に連れて行ってくれるって言っていたから張り切っちゃった。
・・・どう?」



「うん、良い感じ。」



「似合ってる・・・?」



「うん。」



「可愛い・・・?」



「うん。」



「よかった・・・!」



野々ちゃんが凄く凄く可愛い顔で、安心したように笑った。



「望さんも休日出勤ですか?」



「ううん、私はちょっと差し入れに。」



死ぬ気で演技をしながらチョコケーキが入っている袋を自分の後ろに隠した。



野々ちゃんの手には小さな紙袋が見えている。



それを見て、凄く”恥ずかしい“と思った。



休みの日にこんな所まで来て、青さんにとっては”余計なこと“になった私がチョコを持ってきて、凄く凄く”恥ずかしい“と思う。



受け取ることもしてくれなかった。



追い掛けて来てくれることもなかった。



それはそうだ。



そんなの少し考えれば分かったことで。



でも、約束をしていたから。



青さんに甘々なチョコケーキを渡すと、約束をしていたから。



あの時、青さんは凄く楽しみにしていたから。



「うちの会社ってバレンタインが基本的に禁止じゃん?
それを知らなくてこいつが持ってきて。」



「ああ、お返しが面倒な青さんが禁止にしたんだよね?
それに青さんって潔癖だから、他人が手作りした物とか基本的には食べられないしね。」



「それ、手作り?」



「普通に市販の。」



「そこは気合い入れて作れよ。
付き合って初めてのバレンタインだろうが。」



「味に煩いじゃん。」



「好きな女が自分の為に作ったチョコなら不味くても”美味い“・・・とは、言わねーか。」



「一生懸命作ったご飯も文句言うしさ~。」



野々ちゃんが”可哀想“という顔で、急に私のことを見てきた。



「もう家に帰ってないみたいで。」



そう言って・・・



「でも、私の家にずっといるので大丈夫です。」



そんなことを優しい優しい笑顔で言ってきた。



「あ、せっかくだから俺がチョコ貰っておく。」



守君が私の手からチョコの袋を取ろうとしてきた。



そしたら・・・



「あ、差し入れってチョコだったんですか?」



野々ちゃんがまた”可哀想“という顔で聞いてきて・・・



「ダメだよ、守。
青さんの会社はバレンタインのチョコは基本的には禁止でしょ?」



守君を制止した後に小さな紙袋を可愛く私に見せた。



「彼氏だけには渡しても良いことになってるんです。」



「いや、でもわざわざ持ってきてくれたから流石に可哀想だし。」



「可哀想とか言ったらダメだよ、望さんがもっと可哀想な感じになっちゃうじゃん。
望さん、ただの差し入れですよね?
だから全然可哀想じゃないですよね?」



”可哀想“と言われるのが大嫌いな私に野々ちゃんがそう聞いてくる。



青さんからもう”他人“だと思われているかもしれない私に、そんなことを聞いてくる。



青さんの会社はバレンタインが禁止だと知らなかった私に。



今は野々ちゃんの彼氏になったらしい青さんと数日前まで夫婦だった私に。



”本当に愛してる“と・・・。



青さんからそう言われていた私に。



「望さんは何も可哀想な人じゃないです。
小関の”家“の秘書、加藤の”家“に生まれたとか凄いと私は思いますし。
バレンタインの差し入れを渡せなかったくらい何でもないですよね?」
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