欲にまみれた楽しい冒険者生活

307遊覧飛行

勇者達３人の案内をする日が来て、ＯＺと城で合流し王都を回っていると隠れて護衛が付いて来ているのが分かる。
町の探索を終えて、夕方にスラム街へ

広場に３つのテントを用意し
拓と浩司、由美と里香、ガラとレオで使用する。
夕食をゴルゴとサブと一緒に用意してくれた家で食べると、

「ちょっと行ってくるね。後は宜しく」
「楽しんで来いよ。」
「気を付けて行けよ。」

拓と勇者３人は姿を消して開いている窓から建物の外に出る。

「本日は、ＯＺ空港をご利用頂き誠にありがとうございます。
　本日の機長は私、拓。副操縦士はダイフクが務めさせて頂きます。
　フライト中は、決して棒から手を離さない様にお願いします。
　では、皆様を空の旅へとご案内させて頂きます。」

拓が気取って挨拶をし、１ｍの棒を取り出すと３人に掴ませた。

「それじゃ、行くよ。」

４人の体が浮かぶと、一気に空高く舞い上がる。
町の上空を飛んだ後は、そのまま王都の外へ。
空には星が浮かび、眼下には真っ黒な森が広がっていた。
夜の森を飛んで王都に戻ると、今度は城の屋根の上に降り立ち一休みする。

「拓さん、明日なんだけど、俺達どうしても行きたいところが有るんだ。」

浩司の話を聞いて、とりあえず了解したが

「何か有ったら俺の指示に従う事。決して無理はしない事。良いかな。」
「分かっています。」
「だとしたら、少し対応を考えないといけないな。」


次の日、テントの所には冒険者を目指す子供が集まっていた。
ガラやレオ、ゴルゴにジーク、そしてフードを被った人物が４人と他の冒険者と一緒に王都の外へと出ると
子供達に魔獣との戦いを教え始めた。
魔獣と戦っている最中にフードが外れ、その下にはスラム街の子供の顔。

直ぐにガラとレオの所に隠れて警護をしていた兵士がやって来た。

「勇者様と拓様は何処に？」
「あいつ等なら、朝早く出掛けて行ったぞ。ずっと監視されていると気が休まらないと言ってな。」
「やられた。彼等は一体どこに？」
「行き先までは聞いていないが明日の夜には帰って来る。拓が一緒だから大丈夫だろう。」

兵士は直ぐに城へ報告し、拓が戻って来るのならとそれまで子供達の指導を手伝う事にした。


「方向は有っているはずだけど、見つける事が出来るかな？」

向かっている先は、魔獣の大移動が起きた原因が有ると考えられている瘴気の吹き溜まり。
正確には、瘴気の吹き溜まりが有ると推測されている場所。
国としても原因を掴もうとしていたが、場所が森の奥となり危険なため調査が出来ずにいた。

「拓さん、国の推測通り瘴気の吹き溜まりが有る。」

浩司が指さす方に巨大な漆黒の湖の様な瘴気の吹き溜まりが存在していた。そして

「拓さん、あれだ、あれが騒動の原因だ。」

その縁に居るのは巨大な魔獣。

「あれって、ヘビモスじゃないのか？」

３０ｍは有るんじゃないだろうか。
姿を消して近づいてみると、その巨大さが良く分かる。
ヘビモスが出現したために、押し出される様に魔獣が移動を行ったのだろう。

「攻撃をしてみないか。このまま放置して村を襲ってからでは遅い。」

拓の提案に勇者３人は頷き、攻撃を開始する事に・・・
空から火、風、氷の上級魔法で攻撃をするが、鎧の様な皮を持つヘビモスには効いていない。

「皮を攻撃してもだめだ、目や、関節を狙え。」

拓が指示を出しながら、狙いやすい場所へと移動する。
ヘビモスも姿は見えないが、攻撃を仕掛けてきている方向へ強力な攻撃魔法を放ってくる。
拓はヘビモスの攻撃を避けていたが、更に空を飛ぶ魔獣まで集まり始め拓達への攻撃が始まった。

「皆はヘビモスに集中して。鳥は俺が引き受ける。」

拓はそう言うと、ロッドを取り出して鳥への攻撃を始めた。
中級魔法だが、顔や羽、開いた口の中と弱い部分に大量に打ち込むと地面に落下していく。

浩司達の攻撃も徐々にヘビモスにダメージを与え続け、ついにその巨体が倒れた。
最後に浩司がヘビモスの口めがけて巨大な炎の玉を打ち込むと、その動きを止めた。