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360師匠?

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拓は、国王、王族、勇者に挨拶を行うと、今日の目的を果たそうと会場へ出陣。
今までは逃げていたので分かっていなかったが、客観的に会場を見るとここは狩場だった。
初めは男性陣、女性陣で固まり様子を伺っていたが、お互いに見つけた獲物に徐々に接近。
見方によっては、大婚活パーティだ。
拓も頑張って女性陣と話すが・・・怖い。
笑顔なのに、肉食獣の匂いがプンプンする。

一歩離れると今度は貴族達が話しかけて来る。
休憩所やワイバーン等の素材についての礼を言われ、ワイバーンの素材を何に使ったのかと色々と話してくれる。
更にエチゴ屋が行ったヘビモスの販売の話が続く。

「拓殿はヘビモスの素材入手に関わっているのですか?」
「関わっていません。話を聞いた時、正直私も驚きました。
 今度、2回目の販売が行われますが、皆さんは行かれるのですか?」

地方から王都に来た貴族は参加し、1回目の販売に行った貴族であっても2回目の販売にも顔を出す予定らしい。
貴族達との話を終えると、何時もなら逃げ出す所だが今回はダンスの相手を探す目的がある。
再び女性陣との会話・・・
1時間もすると疲れてしまい、ハックとルーカスを見かけたので少し話相手になってもらおうと2人の所へ移動。

「拓様、この度はおめでとうございます。」
「流石は拓様です。おめでとうございます。」
「ありががとう。ああいう場は緊張するね。後、普通に話してもらえると嬉しいかな。」
「それは良いですが、大丈夫なのかな?」

ルーカスが戸惑ってしまうが、拓が問題ないと言い包める。
パーティ会場とはいえ、拓としては2人にまで様なんて付けられたら肩が凝ってしまう。

2人が授賞式で受け取った魔道具を見せて欲しいと言うので、今している腕輪を見せる。

「そうだ、ハックに渡すものが有るんだけど、今でも良いかな?」
「問題ないですが、何でしょうか?」

拓はアイテムボックスから腕輪を取り出した。

「魔力を貯める魔道具の腕輪。魔力は空だから自分で貯めてね。」
「・・・あの、これは先ほど国王様から受け取った褒美では無いですか?」

本来なら子供は参加できないが、ハックは父親が子爵に高格する為に特別参列を認められていた。
父親の時だけでなく、自分が尊敬する拓の魔道具の授与も何一つ見落とさない位の気持ちで見ていて、受け取った魔道具もはっきりと覚えていた。

「良く分かったね。ハックにと思ってお願いしたんだ。
 腕輪に貯めた魔力で浸して治療を行なえる様に成れば良いと思って。」

拓は気楽に魔道具を渡し、ハックも礼を言って素直に受け取り自分の腕にはめる。
しかし、それを見ていた周囲の貴族達は騒めいていた。

「やはり拓殿はハック殿の師匠なのでしょうか?」

ブルネリ公爵がやって来て拓に問う。

「いえ、そういう意味では兄弟弟子みたいな感じでしょうか。
 今、2人揃って神殿で教わっていますので。」
「そうですか。今2人の立場でそれだけの魔道具を渡すとなると師匠と弟子の関係としてみなされる行為ですね。」
「そうなのですか。私が師匠になってしまっては支障が起きてしまいますね。はっはっは」
「「「・・・」」」

拓とブルネリ公爵の話に耳を傾けていた貴族達は、誰一人笑うことなく黙ってしまった。
話しかけたブルネリ公爵ですら、困って苦笑い。
ルーカスが羨ましそうにハックの腕輪を見ているので

「ルーカスは魔導士じゃないからね。代わりにワイバーンの素材で防具を作ってみる?」
「良いのですか?」
「それなりに良いものだから、素材のプレゼントとで作るのは体が出来上がってからにした方が良いと思うけど。」
「ありがとうございます。」

貴族達はハックとルーカスが拓から特別に目を掛けられていると改めて思い知った。
貴族達の中には自分の子供や目を掛けている者の指導を依頼した者も多く居たが、全員断りを入れられ一定の距離を取られている。

少ししてロダン侯爵とピスタ子爵が貴族達の注目の先に自分の息子が居るのを知り急いでやって来た。
息子達の話を聞いて拓に礼を言う。
ただ、ルーカスの場合は一方的に拓を尊敬しているので、ロダン侯爵は躊躇ってしまう。

「しかし、ルーカスにまでその様な物を頂いても本当に宜しいのですか?」
「別に問題ないですよ。ただ、提供するのは素材だけになりますが。あっ、ロックバードやプテラの素材も有った方が良いですか?」
「・・・いえ、ワイバーンの素材だけでも十分すぎる程です。ありがとうございます。」

今回、商人達が販売したワイバーン、ロックバード、プテラの素材が拓から供給された事は貴族達も知っているが
「そこまで気楽に扱っていい素材なわけ無いだろう」と内心突っ込みを入れていた。

「所で、拓さんのダンスの相手は決まったのですか?」

ルーカスの言葉に貴族達全員が拓に注目したが「・・・改めて素材を渡しに屋敷に伺いますね。」それだけ言ってその場を離れてしまった。
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