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362免責札
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拓は食事が終わった所で護衛の兵士達に話しかける。
「もし、怪我をしている方が居ましたら治療を行いますので言ってください。」
数人が軽い怪我をしている程度で直ぐに治療は終わったが、3分の1位の人達がうつ向いたままだった。
拓が当たりを付けて聞いて見る。
「貴方も怪我をしているのではないですか?」
「怪我はしていますが、治療は大丈夫です。」
「私の治癒魔法の腕では心配ですかね。」
「そういう訳では有りません。自分が使えている方はバラキエ公爵の派閥に属しています。
ですので、拓様に治療をして頂けるような立場では有りません。」
どうやら、うつ向いている護衛達はバラキエ公爵の派閥の人達みたいだ。
「この中で、怪我をしている人は手を上げて頂けないでしょうか。」
すると、うつ向いていた殆どの護衛が手を上げる。
「色々と有って一部の場所には休憩所を作りませんでしたが、少し遠回りすれば安全に移動できる様にしたのに、どうして?」
「拓殿。それは貴族だからだ。」
拓の疑問に対し、部屋の入口の方から声がする。
振りむくと、そこにはクロイツ公爵が立っていた。
「貴族が移動する際には、周囲の魔獣の退治と、それぞれの町や村において金を使う。
必要なら、食料や薬の提供も行っている。
そのため、貴族は自分の治めている領地や派閥に属する領地を移動する義務の様なものが有る。
今回、舞踏会に出る子供は理由を付けて他の派閥の領地にある休憩所を使ったが、領主は以前とは変わらない街道を通るしかないのだ。
未だ休憩所を見た事のない貴族も多いだろう。」
拓はクロイツ公爵の説明に考えてしまったが、今自分に出来る事を行う事にした。
アイテムボックスに放り込んでいた免責札を取り出し、護衛の人達の前に差し出す。
すると、護衛だけでなく、クロイツ公爵も拓の前に膝をついて首を垂れた。
拓はその反応に怯んだが、そのまま話し始める。
「免責札を持つ私、拓が命じます。怪我人は立ち上がって下さい。」
先ほど、うつ向いていた護衛の人達の殆どが立ち上がる。
「これから私の魔法の訓練を兼ね治療を行いたいと思います。
私の治癒魔法が信用できないのであればその旨を発言する様に。
その事で、貴方方の不利益になる様な真似はしないと免責札に誓います。
そうでなければ、私の治療に参加を求めます。」
立ち上がった護衛の人達はどう対応して良いのか分からず、互いに顔を見合わせている。
「拓様、宜しいでしょうか。」
クロイツ公爵が断りを入れて、立ち上がると
「何をしている。拓様の治癒魔法はドク医局長も認めている腕前だ。
その上、あのホワイトジャックに弟子を名乗ることを許されている唯一の人物。
それでも信じられない者が居るのならハッキリと申せ。
そうでなければ、患部を出して一列に並べ。」
戸惑っている護衛達に指示を出す。
怪我をした護衛達は直ぐに動き拓の治療が始まった。誰一人、拓の治癒魔法に疑問を抱く者は出て来ない。
何時も色々と教えてくれる治癒魔導士の方が手伝ってくれ、問題なく治療は進む。
全員の治療を終えた所で、拓はクロイツ公爵に質問する。
「先ほどの拓様と言う呼び方は何でしょうか?」
「免責札を出して命令する以上、拓様は我々貴族よりも上の立場の人物とみなされます。」
「そうですか。もうアイテムボックスに収納したので普段通りに話してもらえますか。」
「やはり、拓殿は変わっている。この状況も面白かったのでもう少し続けても良かったのだが。」
クロイツ公爵は笑うと、拓に今まで通りに話し始めた。
護衛の兵士達も普通に席に着き、ガラとレオは拓の顔を見て笑いを堪えていた。
拓は治療に専念していたので気付かなかったが、部屋の入口にはブルネリ公爵、ロダン侯爵、ズゲベ侯爵と数名の貴族が訪れていた。
何故かハックとルーカスまで居るのが気になったが、聞くのは止めた。
「もし、怪我をしている方が居ましたら治療を行いますので言ってください。」
数人が軽い怪我をしている程度で直ぐに治療は終わったが、3分の1位の人達がうつ向いたままだった。
拓が当たりを付けて聞いて見る。
「貴方も怪我をしているのではないですか?」
「怪我はしていますが、治療は大丈夫です。」
「私の治癒魔法の腕では心配ですかね。」
「そういう訳では有りません。自分が使えている方はバラキエ公爵の派閥に属しています。
ですので、拓様に治療をして頂けるような立場では有りません。」
どうやら、うつ向いている護衛達はバラキエ公爵の派閥の人達みたいだ。
「この中で、怪我をしている人は手を上げて頂けないでしょうか。」
すると、うつ向いていた殆どの護衛が手を上げる。
「色々と有って一部の場所には休憩所を作りませんでしたが、少し遠回りすれば安全に移動できる様にしたのに、どうして?」
「拓殿。それは貴族だからだ。」
拓の疑問に対し、部屋の入口の方から声がする。
振りむくと、そこにはクロイツ公爵が立っていた。
「貴族が移動する際には、周囲の魔獣の退治と、それぞれの町や村において金を使う。
必要なら、食料や薬の提供も行っている。
そのため、貴族は自分の治めている領地や派閥に属する領地を移動する義務の様なものが有る。
今回、舞踏会に出る子供は理由を付けて他の派閥の領地にある休憩所を使ったが、領主は以前とは変わらない街道を通るしかないのだ。
未だ休憩所を見た事のない貴族も多いだろう。」
拓はクロイツ公爵の説明に考えてしまったが、今自分に出来る事を行う事にした。
アイテムボックスに放り込んでいた免責札を取り出し、護衛の人達の前に差し出す。
すると、護衛だけでなく、クロイツ公爵も拓の前に膝をついて首を垂れた。
拓はその反応に怯んだが、そのまま話し始める。
「免責札を持つ私、拓が命じます。怪我人は立ち上がって下さい。」
先ほど、うつ向いていた護衛の人達の殆どが立ち上がる。
「これから私の魔法の訓練を兼ね治療を行いたいと思います。
私の治癒魔法が信用できないのであればその旨を発言する様に。
その事で、貴方方の不利益になる様な真似はしないと免責札に誓います。
そうでなければ、私の治療に参加を求めます。」
立ち上がった護衛の人達はどう対応して良いのか分からず、互いに顔を見合わせている。
「拓様、宜しいでしょうか。」
クロイツ公爵が断りを入れて、立ち上がると
「何をしている。拓様の治癒魔法はドク医局長も認めている腕前だ。
その上、あのホワイトジャックに弟子を名乗ることを許されている唯一の人物。
それでも信じられない者が居るのならハッキリと申せ。
そうでなければ、患部を出して一列に並べ。」
戸惑っている護衛達に指示を出す。
怪我をした護衛達は直ぐに動き拓の治療が始まった。誰一人、拓の治癒魔法に疑問を抱く者は出て来ない。
何時も色々と教えてくれる治癒魔導士の方が手伝ってくれ、問題なく治療は進む。
全員の治療を終えた所で、拓はクロイツ公爵に質問する。
「先ほどの拓様と言う呼び方は何でしょうか?」
「免責札を出して命令する以上、拓様は我々貴族よりも上の立場の人物とみなされます。」
「そうですか。もうアイテムボックスに収納したので普段通りに話してもらえますか。」
「やはり、拓殿は変わっている。この状況も面白かったのでもう少し続けても良かったのだが。」
クロイツ公爵は笑うと、拓に今まで通りに話し始めた。
護衛の兵士達も普通に席に着き、ガラとレオは拓の顔を見て笑いを堪えていた。
拓は治療に専念していたので気付かなかったが、部屋の入口にはブルネリ公爵、ロダン侯爵、ズゲベ侯爵と数名の貴族が訪れていた。
何故かハックとルーカスまで居るのが気になったが、聞くのは止めた。
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