欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

文字の大きさ
474 / 581

474撮影会

しおりを挟む
次の日は未だ暗闇の中、OZ、エチゴ、アル、更にクリーム、ゴルゴ、サブまでがクロイツ公爵の屋敷を尋ねた。
王都の外で撮影を行うので警備という名目だが、全員が興味本位でしかない。
実際、拓から依頼をしたわけではなく、全員が警護の押し売りで報酬は拓の用意する昼飯だけだ。
クロイツ公爵に警護として来てもらったと話をすると、

「これだけのメンバーが揃うなら、安全だな。」

問題なく受け入れてくれた。
今回は執事の方で細かい対応をし、衣装等も用意してくれている。
カメラマンには執事から今日の撮影をする詳細資料を渡されていて、撮影場所へ移動するまで拓と詳細について話していた。
撮影場所は森の中に有る小さな泉。
当然私兵も同行しているので かなりの人数なのだが、目的地に着くと何故かサリナ姫に勇者3人、更にはヨギ魔導士まで・・・
当然護衛の兵まで付いている。

「皆さんは、ここで何をしているのですか?」
「拓さんが噂になっている写真を撮ると聞いたもので、是非見学させて頂こうと思いまして。」

クロイツ公爵の方を見ると、話は通っているみたいで頷いていた。
サリナ姫の前で写真の話をしたのが失敗だっただろうか。仕方ないので、大勢の観客の前で撮影会を開催する事にした。
暗闇の中、拓は泉に氷の城を作り出す。と言っても1m位の小さなものだが。
別に巨大なテラスを作りクロイツ公爵夫人に乗ってもらう。

朝日が昇って来ると、カメラマンの出番。
小さな氷の城に近付き、朝日に輝く巨大な城、朝日を浴び歌うクロイツ公爵夫人の姿を撮る。
クロイツ公爵が馬に乗って現れ、見つめ合う2人。
しかし霧が城に覆われると、城は消えてしまった。
あの城と女性は幻だったのか?
クロイツ公爵は泉の前で一人佇んでいると、水の女神が現れた。
クロイツ公爵は女神に跪く。

「女性は、竜神によって氷の城に閉じ込められています。
 彼女は龍脈を操る力を持つ巫女。
 龍神にとって彼女は力の源。決して手放すことは無いでしょう。
 其方に戦う意思が有るのなら、一度だけ助ける機会を与えましょう。」

水の女神が輝くと霧と共に氷の城が現れ、テラスまでの氷の階段が作られた。
そして、女神の居た所には剣が有る。

クロイツ公爵は剣を掴むと氷の階段を上り、女性と共に城から逃げだす。
その時、城が崩れ氷の龍が現れた。
クロイツ公爵は剣を構えると剣が輝く。
龍が放つ氷の刃を剣を振るって叩き落とす。

激しい攻防の中、クロイツ公爵の服は裂け露出した肌に血が滲む。

「このままでは竜神には勝てません。龍脈の力を集めます。どうか力を制御してください。」

女性は龍脈の力をクロイツ公爵へと集める。
クロイツ公爵が剣を掲げると、頭上に光の渦が発生。
剣を向けると光が龍を襲う。
龍は氷の破片となって砕け散り、剣は水の女神へと姿を変える。
2人の頭上に降り注ぐ光の粒子。

「良くぞ龍神を倒してくれました。其方達に幸福が訪れんことを」

クロイツ公爵は城に戻ると女性に結婚を申し込み、2人は末永く幸せに暮らしたとさ。


「カメラマンさん、物語は完成しましたか?」
「ばっちりです。素晴らしい写真が撮れています。」

写真を確認すると拓の繊細な魔法の他に、遠近法を使って城や龍を巨大に見せたりして予想以上に良い感じに写真が撮れていた。
水の女神は拓が魔法で人型の水の塊を作っていたのだが、写真を通してみると実物以上に神秘的に見える。
龍神と戦うクロイツ公爵は凛々しく、光る剣筋や氷の刃、そして最後の龍脈の力の放出は素晴らしい迫力だった。
上半身半裸のクロイツ公爵が剣をかまえる姿は、拓にとって別の意味で良い感じだ。
後は、幸せな2人の姿として、ダンスや優雅にお茶会をしている写真等を拓が光と水で演出し、
最後はの泉の上に作った小さな氷の足場に立ち、抱き合う2人がお互いに見つめ合う。
既に暗くなり、周囲には光の粒が輝き、まるで星空の中の様だった。

「お疲れ様でした。想像以上の大作が撮れました。」

拓が終わりの合図を出すと、周囲から拍手が起こった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

気絶したと思ったら闇落ち神様にお持ち帰りされていた

ミクリ21 (新)
BL
闇落ち神様に攫われた主人公の話。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

ある国の皇太子と侯爵家令息の秘め事

虎ノ威きよひ
BL
皇太子×侯爵家令息。 幼い頃、仲良く遊び友情を確かめ合った二人。 成長して貴族の子女が通う学園で再会し、体の関係を持つようになった。 そんな二人のある日の秘め事。 前後編、4000字ほどで完結。 Rシーンは後編。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

処理中です...