魔王、女子高生に転生する。


かつて、数多の軍勢を率い、『最強』の名を欲しいままにしていた異世界の魔王は、ひょんなことから日本のある女子高生に転生することになった。

「ぬ…?なんだ、このひらひらした服は?」

全てが真新しい世界で、“破壊神”としての異名を持っていた彼女は、か弱い魂を持つ“神楽坂美琴”と、ある「怪物」を倒すべく作戦会議を練る。

その「怪物」とは魔王が住んでいた異世界、ラーマヤーナを滅ぼした「星食い」と言われるウイルスであり、星そのものを貪り尽くす『世界の理』と言われた災厄だった。

ウイルスは少しずつ世界を汚染し、「死」が「生」を呑み込もうとしていた。

災厄は世界の“端”から来ていた。

世界には元々9つの「魂」が存在していた。

その魂は無限に広がる宇宙に旅立ち、それぞれがいくつもの星々や土地の上で、確かな生を刻んでいた。

「人間」は、“赤”の魂と呼ばれる種族の末裔だった。

同じく赤の魂を持つラーマヤーナの魔王、“シヴァ”は、人間の住む地球という星にもウイルスが蔓延し、危機に瀕していることを美琴に告げる。

ウイルスは普段は姿を見せないが、魂を持つ生物の内部に潜み、それらを化け物に変える。

魂を貪り尽くすまで活動を終えることはなく、ウイルスに取り込まれたものはただの“肉塊”となり、理性も持たないモンスターになることを彼女に伝えた。

ウイルスを根絶する方法はなく、一度蔓延し始めると、もう止める手段はないとされていた。

ただ、「一つの方法」を除いて。

その方法とは、ウイルスを一つの場所に留める、ということだった。

そのためにはウイルスを広げないための「壁」が必要であり、人間たちの持つ「未来」が必要だった。

そう、シヴァは自らの住んでいた世界を捨て、ウイルスを根絶するべく地球にやって来たのだ。

地球という星の中でウイルスを拡散させ、ウイルスが求める「赤」の魂を差し出す。

そうすることで、ウイルスを一時的に地球の内部に止め、一定の時間を稼げるとした。

そしてその時間を使い、ウイルスの核である「夢の苗床」に、——侵入しようと。
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