99 -ツイン・レイ-
星の内部に巡るエネルギー、「エンタングルメント」を利用した新しい文明が、“ディープ・グラウンド”という水の都を中心に繁栄していた。
ディープ・グラウンドには“ウォーターエージェンシー(WA)“という巨大企業が鎮座しており、かつて世界に存在していた「人」という種族の研究を行うための生命科学研究所が、センター・ドームというビルを中心に建設されていた。
ディープ・グラウンドは、世界最大の商業都市としての側面も持っており、WAが提供する経済的な資金力を元手に、世界全土を網羅する防衛都市としての成長を遂げつつあった。
世界は“汚染”が進みつつあった。
「死獣化(デスゲイズ)」と呼ばれる原因不明の病がルカたちの体を蝕み、徐々にその影響を無視できないほどの被害が、年を追うごとに拡大していた。
ルカとは、新世界である『ミズガルズ』で生まれた新しい生命体のことである。
ルカの外見は人間とほとんど変わらないが、その“中身”は似て非なるものだった。
死獣と呼ばれるモンスターは、死獣化に罹ったルカから変異した魔物たちのことだ。
WAはこの死獣を治療できる方法を模索していたが、同時に、街の平和を脅かすこの魔物たちを駆逐するため、特殊な訓練を積んだ”兵士“たちを育成していた。
兵士たちは『ランナー』と呼ばれた。
次期ランナー候補であった訓練生、キサラギ・ロキは、街の郊外に出没した死獣を討伐するべく、同じ訓練生であるハルとともに、現地へと赴くが…
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