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とある暴走族のリーダー、就職する‼︎
0003:運命の出逢い
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【side ノア・フィックスド(暴走族のリーダー)】
──ここは、フィックスド辺境伯領中央街。──
──とあるお店から二人の青年が出てきたところ。──
「いやー、皆、良い就職先に決まってよかったね、ノア!(ホクホク顔なパトリック殿下)」
「……はい、そうですね。(内心戦々恐々なノア)」
みなさんこんにちは、ノア・フィックスドです。現在俺は、フィックスド領の中央街広場をパトリック殿下と一緒に歩いている。……そう。……このチビ、……いや、小柄な好青年は、絶賛行方不明中の自国の第二王子だったのだ‼︎
「パトリック殿下ー、こんにちはー!(街の住民)」
「こんにちはー、今日も良い天気だねー!(殿下)」
「パトリック殿下は今日もイケメンですね。(街の住民)」
「そうかな? ありがとうー‼︎(満更でもない殿下)」
「……。(本当に指名手配されているのか⁉︎ 悩むノア)」
行き交う人たちは皆、パトリック殿下のことを知っているみたいで、みんな好意的だ。……うん。……なんだろう。……いいけれど、いいけれども、謎の懐疑心が頭の中をよぎってしまう。
「パトリック殿下は、ここでは有名なんですね。(複雑な心境のノア)」
「まあね。……いろいろあったからさ、取引先はトルネードの中では、一番かな。(複雑な表情の殿下)」
「そうですか…………。(何かを察するノア)」
今日初めて出会って、街の中を一緒に歩いているパトリック殿下。……実家の裏山で出会ったときは、エキセントリックかつクレイジーさを醸し出していたのに、ここでは、なんとなく寂しそうに見えるのは何故なんだろう。……俺が知ることもできない波瀾万丈な人生を、歩んでこられてきたのだろうか。
「ノア、……君の就職先に着いたよ。(とある建物の前で立ち止まってノアを見る、キリッとした殿下)」
「……。(無言で頷くノア)」
「……心の準備はいいね?(パトリック殿下)」
「はい、どんとこいです!(心を決めたノア)」
「それじゃあ、入ろうか。(少し微笑む殿下)」
「はい、お願いします!(ペコリノア)」
殿下は建物のドアをガチャっと開けて入って行く。
俺は一つ深呼吸をして、パトリック殿下の後に続いた‼︎
「失礼致します‼︎(やや強張った表情のノア)」
俺はこのとき、人生で一度きりの、運命の出逢いをするだなんて、知る由もなかった──。
◇ ◇ ◇
──ここはフィックスド辺境伯領一番の郵便局。──
──局内の窓口では、美人な女性が案内をしていた。──
「いらっしゃいませー、……あっ、パトリック殿下、お久しぶりですー‼︎(テンション高めな受付嬢)」
「はい、お久しぶりだね! ……裏に局長さんはいるかな?(案内所のカウンターに肘をついてカッコつけてるパトリック殿下)」
「はい、いらっしゃいますよ! ご面会なされますか?」
「そうだね。……自分で裏に行くから、鍵を貸してもらえないかい?(ジェスチャーをする殿下)」
「お安い御用ですわ‼︎ (背後の戸棚から裏へ続く鍵を取り出して正面を向いてから)帰られる際は、局長に鍵をお渡しくださいませ。(殿下に鍵を渡すにこやかな受付嬢)」
「ありがとう。……ノア、行くよ。(鍵を入手した殿下)」
「はい!(受付嬢にお辞儀して殿下の後を追うノア)」
パトリック殿下は、案内窓口の横にある細い通路上を歩き出した。俺は、必死にパトリック殿下の背中を追いかける。そしてパトリック殿下は、細い通路の突き当たりにあるシンプルな扉の鍵穴に、先程のお姉さんから預かった鍵を差し込んで回し、ゆっくりと扉を開いたのであった。
──扉の先には…………。──
────っ⁉︎
「テテテテテテテテテイヤーーッ‼︎(物凄い勢いで葉書を捌くとある女性)」
「おっ? いいね、いいね、……最近の一般アルバイターは気合いが入っているなー‼︎(とある女性の働きぶりを見て感心してるパトリック殿下)」
「………………。(とある女性に身惚れてるノア)」
「(裏の奥から歩いてくる小太り)おやっ? パトリック殿下ではありませんか! お久しぶりです‼︎(殿下の前にトコトコやってくる小太り)」
「久しぶりです、局長さん‼︎(小太りを局長と呼ぶ殿下)」
「────っ‼︎(この人がここのボスか‼︎ ノア)」
「いやー、その節はありがとうございました。……最近、なかなか人手が足らなくてですね、……あのとき、パトリック殿下が紹介してくださった高級アルバイターのお陰で、難局を打開することができましたよ。(にこやかな局長)」
「ほえー、それはよかったですねー。彼も、まとまったお金をゲットできて嬉しそうでしたよー。(にんまり殿下)」
「それで、本日はどういったご用件で?(局長)」
「話が早いね。……新しい高級アルバイターを紹介しようと思ってさ。(ブラックな、にんまりパトリック殿下)」
「────っ‼︎ ありがとうございます‼︎ 実は、これから一週間が本年の稼ぎ時で、猫の手も借りたいくらいに忙しいんですよね‼︎」
「丁度良いじゃないですか‼︎(ノアを前に突き出して)今回のアルバイターは、『ノア・フィックスド君』だよ‼︎ ママチャリの運転オッケー、文字の読み書きオッケー、簡単な暗算もオールオッケーさ‼︎(ノアをもうプッシュする殿下)」
「────っ⁉︎(目をまん丸にする局長)」
「…………ノア・フィックスドです。よろしくお願い致します‼︎(腰が直角に曲がるくらいお辞儀をするノア)」
「…………でででででんか、……ノア・フィックスドって……。」
「ああ、ノア君は、正真正銘、フィックスド辺境伯家の正統な後継者だよ。(何かを知っている殿下)」
「…………のーあーくーんんんんーー‼︎(物凄い勢いでノアに突進して強く抱きつくウルウルまなこな局長)」
「ぐへえっ⁉︎(局長の攻撃に我を失うノア)」
「ずっと、ノア君のこと、心配してたんだよおおおおお‼︎(いきなり号泣し出す局長)」
「…………っ⁉︎(びっくり仰天なノア)」
「……ぐすん、……ノア君のお父様とお母様と私はね、とある学校の同期でね、……青春時代を一緒に過ごした仲間なんだ。(涙が止まらない局長)」
「……そうだったんすか。(つい不良言葉が出るノア)」
「…………⁉︎(えっ? そうなの⁉︎ 知らなかった殿下)」
「……いろいろあって、ノア君のお父様とお母様は、ああなってしまったんだけど、……大きくなったんだね、ノアくん。……お父様と同じような特攻服着て、……すごく似合ってるよ。(鼻をぐずぐずさせる局長)」
「えっ、……親父も着てたんですか⁉︎(驚愕ノア)」
「…………⁉︎(えっ? そうなの⁉︎ 一切知らない殿下)」
「うんうん、おじちゃん、すっごく嬉しいよ。……君の叔父にあたるフィックスド辺境伯が、君に酷いことをしてるんじゃないかってずっと心配してたんだけど、……今まで生き残ってくれて、本当にありがとう……。(ダバダバと嬉し涙を流す局長)」
「…………。(胸の奥がツンとするノア)」
……俺は、……親の顔を知らない。実親の温もりに触れた記憶なんて、一切ない。……でも、今、目の前に、……俺の親を知っていて、こんなにも思ってくれている人がいる……。それだけで、俺の心はアツくなった──。
「局長さん、……ノア君をここで雇ってくれませんか?(朗らかな表情で、局長にハンカチを手渡すパトリック殿下)」
「……ぐすん、ぱとりっくでんかあ。(パトリック殿下からハンカチを受け取ってチーンと鼻をかむ局長)」
「ノア君は、知る人ぞ知る、有名貴族の末裔ですからね。……叔父から虐げられて凍てついた心を持つノア君を癒すのは、局長だけですよ。……勿論、内勤でね。(謎の酔いしれた表情のパトリック殿下)」
「…………ぐすん、……そうだね。……ノア君に、親御さんからの遺言も預かっているし、…………とりあえず一週間、住み込みで採用しよう‼︎(左腕を振りかざす局長)」
「────っ⁉︎(一週間、住み込みだと⁉︎ 困惑ノア)」
「そうしましょう! ノア、ファイト‼︎(いい感じで帰ろうとする、パトリック殿下)」
「あっ、ちょっと待ってください! 俺、副長と話をしないといけないんで、今日は帰りたいのですが‼︎(パトリック殿下の肩をガシッと掴んで阻止するノア)」
「うんうん、モヒカン君は、僕がちゃんとやっておくから大丈夫だよ! それよりも、ノアはここで、あのスーパーアルバイターに仕事のやり方を教わった方がいい。(先ほどの、とある女性の方を指差すパトリック殿下)」
「テテテテテテテテテイヤーーッ‼︎ ッシャアーー‼︎ ンキエエエエエーー‼︎(物凄い勢いでハガキの詰まった箱を積んでいくとある女性)」
「…………。(とある女性を見て赤面するノア)」
「そうですね。彼女は、今まで入ってきてくれた一般アルバイターの中で、一番よく動いてくれますから、ノア君の教育係になってもらいましょう。(泣き止んだ局長)」
「じゃあ、それでお願い! 彼女のお給料は、僕もプラスアルファ分出すからよろしく頼むよー‼︎(きゅるるんしながら、局長に鍵を渡して帰っていくパトリック殿下)」
「…………。(殿下ーー⁉︎ 一人置いていかれたノア)」
「改めましてよろしく‼︎(ノアの肩に手を置く局長)」
「……お願いします、局長さん‼︎(覚悟を決めたノア)」
「仕事に関しては、レイさんに聞いてみてね!」
「ンキエエエエーー‼︎ もっとハガキこいやーーー‼︎(圧倒的なポテンシャルでハガキを帯に変える、とある女性)」
──ノアの就職先、決まる‼︎ ──
【おまけ】
──ここはフィックスド辺境伯家裏山中腹。──
──とある大木の麓に、パトリック殿下はいた。──
「…………やっぱりね。(険しい表情の殿下)」
──大木の麓には、何故だか焼け焦げた跡が……⁉︎ ──
「はやく、モヒカン君を見つけないと……。」
──バキッ⁉︎(何かが力強く当たる音)──
──ドサッ⁉︎(殿下が倒れる音)──
「…………へっへっへ、…………ご主人様、パトリック・サイフォンを捉えました。(殿下を俵抱えしたモヒカン髪の、とある男性)」
『…………良い。地下へ幽閉せよ。(謎の声)』
「…………御意。(にやつくモヒカンの髪型をした男性)」
──パトリック殿下の運命や如何に⁉︎ ──
──ここは、フィックスド辺境伯領中央街。──
──とあるお店から二人の青年が出てきたところ。──
「いやー、皆、良い就職先に決まってよかったね、ノア!(ホクホク顔なパトリック殿下)」
「……はい、そうですね。(内心戦々恐々なノア)」
みなさんこんにちは、ノア・フィックスドです。現在俺は、フィックスド領の中央街広場をパトリック殿下と一緒に歩いている。……そう。……このチビ、……いや、小柄な好青年は、絶賛行方不明中の自国の第二王子だったのだ‼︎
「パトリック殿下ー、こんにちはー!(街の住民)」
「こんにちはー、今日も良い天気だねー!(殿下)」
「パトリック殿下は今日もイケメンですね。(街の住民)」
「そうかな? ありがとうー‼︎(満更でもない殿下)」
「……。(本当に指名手配されているのか⁉︎ 悩むノア)」
行き交う人たちは皆、パトリック殿下のことを知っているみたいで、みんな好意的だ。……うん。……なんだろう。……いいけれど、いいけれども、謎の懐疑心が頭の中をよぎってしまう。
「パトリック殿下は、ここでは有名なんですね。(複雑な心境のノア)」
「まあね。……いろいろあったからさ、取引先はトルネードの中では、一番かな。(複雑な表情の殿下)」
「そうですか…………。(何かを察するノア)」
今日初めて出会って、街の中を一緒に歩いているパトリック殿下。……実家の裏山で出会ったときは、エキセントリックかつクレイジーさを醸し出していたのに、ここでは、なんとなく寂しそうに見えるのは何故なんだろう。……俺が知ることもできない波瀾万丈な人生を、歩んでこられてきたのだろうか。
「ノア、……君の就職先に着いたよ。(とある建物の前で立ち止まってノアを見る、キリッとした殿下)」
「……。(無言で頷くノア)」
「……心の準備はいいね?(パトリック殿下)」
「はい、どんとこいです!(心を決めたノア)」
「それじゃあ、入ろうか。(少し微笑む殿下)」
「はい、お願いします!(ペコリノア)」
殿下は建物のドアをガチャっと開けて入って行く。
俺は一つ深呼吸をして、パトリック殿下の後に続いた‼︎
「失礼致します‼︎(やや強張った表情のノア)」
俺はこのとき、人生で一度きりの、運命の出逢いをするだなんて、知る由もなかった──。
◇ ◇ ◇
──ここはフィックスド辺境伯領一番の郵便局。──
──局内の窓口では、美人な女性が案内をしていた。──
「いらっしゃいませー、……あっ、パトリック殿下、お久しぶりですー‼︎(テンション高めな受付嬢)」
「はい、お久しぶりだね! ……裏に局長さんはいるかな?(案内所のカウンターに肘をついてカッコつけてるパトリック殿下)」
「はい、いらっしゃいますよ! ご面会なされますか?」
「そうだね。……自分で裏に行くから、鍵を貸してもらえないかい?(ジェスチャーをする殿下)」
「お安い御用ですわ‼︎ (背後の戸棚から裏へ続く鍵を取り出して正面を向いてから)帰られる際は、局長に鍵をお渡しくださいませ。(殿下に鍵を渡すにこやかな受付嬢)」
「ありがとう。……ノア、行くよ。(鍵を入手した殿下)」
「はい!(受付嬢にお辞儀して殿下の後を追うノア)」
パトリック殿下は、案内窓口の横にある細い通路上を歩き出した。俺は、必死にパトリック殿下の背中を追いかける。そしてパトリック殿下は、細い通路の突き当たりにあるシンプルな扉の鍵穴に、先程のお姉さんから預かった鍵を差し込んで回し、ゆっくりと扉を開いたのであった。
──扉の先には…………。──
────っ⁉︎
「テテテテテテテテテイヤーーッ‼︎(物凄い勢いで葉書を捌くとある女性)」
「おっ? いいね、いいね、……最近の一般アルバイターは気合いが入っているなー‼︎(とある女性の働きぶりを見て感心してるパトリック殿下)」
「………………。(とある女性に身惚れてるノア)」
「(裏の奥から歩いてくる小太り)おやっ? パトリック殿下ではありませんか! お久しぶりです‼︎(殿下の前にトコトコやってくる小太り)」
「久しぶりです、局長さん‼︎(小太りを局長と呼ぶ殿下)」
「────っ‼︎(この人がここのボスか‼︎ ノア)」
「いやー、その節はありがとうございました。……最近、なかなか人手が足らなくてですね、……あのとき、パトリック殿下が紹介してくださった高級アルバイターのお陰で、難局を打開することができましたよ。(にこやかな局長)」
「ほえー、それはよかったですねー。彼も、まとまったお金をゲットできて嬉しそうでしたよー。(にんまり殿下)」
「それで、本日はどういったご用件で?(局長)」
「話が早いね。……新しい高級アルバイターを紹介しようと思ってさ。(ブラックな、にんまりパトリック殿下)」
「────っ‼︎ ありがとうございます‼︎ 実は、これから一週間が本年の稼ぎ時で、猫の手も借りたいくらいに忙しいんですよね‼︎」
「丁度良いじゃないですか‼︎(ノアを前に突き出して)今回のアルバイターは、『ノア・フィックスド君』だよ‼︎ ママチャリの運転オッケー、文字の読み書きオッケー、簡単な暗算もオールオッケーさ‼︎(ノアをもうプッシュする殿下)」
「────っ⁉︎(目をまん丸にする局長)」
「…………ノア・フィックスドです。よろしくお願い致します‼︎(腰が直角に曲がるくらいお辞儀をするノア)」
「…………でででででんか、……ノア・フィックスドって……。」
「ああ、ノア君は、正真正銘、フィックスド辺境伯家の正統な後継者だよ。(何かを知っている殿下)」
「…………のーあーくーんんんんーー‼︎(物凄い勢いでノアに突進して強く抱きつくウルウルまなこな局長)」
「ぐへえっ⁉︎(局長の攻撃に我を失うノア)」
「ずっと、ノア君のこと、心配してたんだよおおおおお‼︎(いきなり号泣し出す局長)」
「…………っ⁉︎(びっくり仰天なノア)」
「……ぐすん、……ノア君のお父様とお母様と私はね、とある学校の同期でね、……青春時代を一緒に過ごした仲間なんだ。(涙が止まらない局長)」
「……そうだったんすか。(つい不良言葉が出るノア)」
「…………⁉︎(えっ? そうなの⁉︎ 知らなかった殿下)」
「……いろいろあって、ノア君のお父様とお母様は、ああなってしまったんだけど、……大きくなったんだね、ノアくん。……お父様と同じような特攻服着て、……すごく似合ってるよ。(鼻をぐずぐずさせる局長)」
「えっ、……親父も着てたんですか⁉︎(驚愕ノア)」
「…………⁉︎(えっ? そうなの⁉︎ 一切知らない殿下)」
「うんうん、おじちゃん、すっごく嬉しいよ。……君の叔父にあたるフィックスド辺境伯が、君に酷いことをしてるんじゃないかってずっと心配してたんだけど、……今まで生き残ってくれて、本当にありがとう……。(ダバダバと嬉し涙を流す局長)」
「…………。(胸の奥がツンとするノア)」
……俺は、……親の顔を知らない。実親の温もりに触れた記憶なんて、一切ない。……でも、今、目の前に、……俺の親を知っていて、こんなにも思ってくれている人がいる……。それだけで、俺の心はアツくなった──。
「局長さん、……ノア君をここで雇ってくれませんか?(朗らかな表情で、局長にハンカチを手渡すパトリック殿下)」
「……ぐすん、ぱとりっくでんかあ。(パトリック殿下からハンカチを受け取ってチーンと鼻をかむ局長)」
「ノア君は、知る人ぞ知る、有名貴族の末裔ですからね。……叔父から虐げられて凍てついた心を持つノア君を癒すのは、局長だけですよ。……勿論、内勤でね。(謎の酔いしれた表情のパトリック殿下)」
「…………ぐすん、……そうだね。……ノア君に、親御さんからの遺言も預かっているし、…………とりあえず一週間、住み込みで採用しよう‼︎(左腕を振りかざす局長)」
「────っ⁉︎(一週間、住み込みだと⁉︎ 困惑ノア)」
「そうしましょう! ノア、ファイト‼︎(いい感じで帰ろうとする、パトリック殿下)」
「あっ、ちょっと待ってください! 俺、副長と話をしないといけないんで、今日は帰りたいのですが‼︎(パトリック殿下の肩をガシッと掴んで阻止するノア)」
「うんうん、モヒカン君は、僕がちゃんとやっておくから大丈夫だよ! それよりも、ノアはここで、あのスーパーアルバイターに仕事のやり方を教わった方がいい。(先ほどの、とある女性の方を指差すパトリック殿下)」
「テテテテテテテテテイヤーーッ‼︎ ッシャアーー‼︎ ンキエエエエエーー‼︎(物凄い勢いでハガキの詰まった箱を積んでいくとある女性)」
「…………。(とある女性を見て赤面するノア)」
「そうですね。彼女は、今まで入ってきてくれた一般アルバイターの中で、一番よく動いてくれますから、ノア君の教育係になってもらいましょう。(泣き止んだ局長)」
「じゃあ、それでお願い! 彼女のお給料は、僕もプラスアルファ分出すからよろしく頼むよー‼︎(きゅるるんしながら、局長に鍵を渡して帰っていくパトリック殿下)」
「…………。(殿下ーー⁉︎ 一人置いていかれたノア)」
「改めましてよろしく‼︎(ノアの肩に手を置く局長)」
「……お願いします、局長さん‼︎(覚悟を決めたノア)」
「仕事に関しては、レイさんに聞いてみてね!」
「ンキエエエエーー‼︎ もっとハガキこいやーーー‼︎(圧倒的なポテンシャルでハガキを帯に変える、とある女性)」
──ノアの就職先、決まる‼︎ ──
【おまけ】
──ここはフィックスド辺境伯家裏山中腹。──
──とある大木の麓に、パトリック殿下はいた。──
「…………やっぱりね。(険しい表情の殿下)」
──大木の麓には、何故だか焼け焦げた跡が……⁉︎ ──
「はやく、モヒカン君を見つけないと……。」
──バキッ⁉︎(何かが力強く当たる音)──
──ドサッ⁉︎(殿下が倒れる音)──
「…………へっへっへ、…………ご主人様、パトリック・サイフォンを捉えました。(殿下を俵抱えしたモヒカン髪の、とある男性)」
『…………良い。地下へ幽閉せよ。(謎の声)』
「…………御意。(にやつくモヒカンの髪型をした男性)」
──パトリック殿下の運命や如何に⁉︎ ──
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