フィックスド辺境伯家の秘密(元夫の隠し子は、私が立派に育ててみせます‼︎)

星 佑紀

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とある暴走族のリーダー、就職する‼︎

0017:領民のためのデモ

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【side ノア・フィックスド辺境伯(デモの活動家)】

 ──ここは、フィックスド辺境伯領のとある街中に建てられた『首都代理市役所』の目の前にある小さな広場。──


「ノア、……クーデター組織のことは、一旦、置いておいて、まずは、デモに全力を注ぐよ‼︎(大真面目殿下)」

「はい。……あの、質問してもいいですか?」

「うん? どうしたの? おやつは各自で用意してね。(きょとんな殿下)」

「いえ、殿下がお持ちの、そのプラカードの女性は何なのでしょう?(周囲の若者達が聞けなかった事を問うノア)」

「これ? これはね、僕の伴侶というか、恋人というか、命をかけて守りたいと思っているお方だよ。(照れ殿下)」

「そうですか。そのお方って、殿下の弟君リゲル殿下の婚約者じゃ……。(触れてはならないことに触れるノア)」

「違うよ‼︎ このお方は僕だけを愛し、いつまでも、僕と一緒にいてくれる女神様なんだからね‼︎(激おこ殿下)」

「そそそうですか……。(困惑ノア)」

「今は、暗黒の勢力に人質に囚われて、苦しみの日々を送られていらっしゃるんだ。マリア様をお迎えするためにも、このを廃止に追い込まないといけない‼︎」

「そうですね。謎の理不尽な税には、全力で抗議しましょう‼︎(税の撤廃には、大賛成なノア)」

「「「ラジャーーー‼︎(同意する仲間達)」」」

 ……みなさん、こんにちは。パトリック殿下や旧友のみんなとともに、絶賛デモ活動中のノアです。場所は、今年勝手に建てられた首都代理市役所。……通称と、領民からは呼ばれています。この市役所の存在意義は、首都で使用するための税金の徴収で、徴収された税金がここの領民に還元されることは、一切ありません。だから俺達は、フィックスド領での税金徴収の取りやめを求めて、デモ活動を行うことに至ったのでした。

「そういえば、パトリック殿下は、ラーズベルト公爵とご懇意にされていますよね? ラーズベルト公爵に進言してみるのも、一つの手ではないのでしょうか。(思い出すノア)」

 そうなのです。約四年前のフィックスド辺境伯本家継承儀式後に、さりげなく遅れてやってきたパトリック殿下と、この国の宰相であるラーズベルト公爵が談笑されていらっしゃるところを目撃していましたからね。

「甘いな、ノア。この税金の法律が作られる以前に連絡を取り合っていたけど、ラーズベルト公爵曰く、『国王陛下が勝手に作った法律なので、どうする事も出来ないのです。(ぴえん)』だとさ。ぴえんじゃないんだよ‼︎(激おこ殿下)」

「…………。(タジタジなノア)」

 ……よくはわからないけど、色々あったのかな? 
 とりあえず、今出来ることはデモだけなのかもしれない。

 キキイイイイイ!(自転車のブレーキ音)

「うおおおっ⁉︎ 市役所から、デモ活動者をしょっ引けと要請を受けて来たけれど、パトリック殿下じゃないですかい‼︎(制服を着崩す交番警察官)」

「あれ、こまわり君じゃん!(警察官を見て驚く殿下)」

「ご無沙汰ですね、パトリック殿下‼︎ そしてそしてなんと、ヤンキー辺境伯様もご一緒にいらっしゃるだなんて奇遇っすわ‼︎ とりあえずみなさん、お勤めご苦労様です‼︎(自転車から降りて、デモ活動者全員に敬礼する警察官)」

「こまわり君もお疲れ様ー!(きゅるるん殿下)」

「ロベルトさんも大変ですね。お疲れ様です。(ノア)」

「いえいえ。フィックスド領民の安全のために、日夜、パトロールするのが、私たちの仕事ですから! 不審者の対応はお任せあれ‼︎(とてもフランクな警察官)」

 この警察官ロベルトさんは、見た目がとてもチャラく、身体も薄っぺらくて、一見、ひ弱に見えてしまうが、かなりの腕の持ち主である。よくパトリック殿下と一緒に、謎の暴漢達を取り押さえているところを、数回目撃しているくらい、喧嘩全般が大好き……いや、大得意らしい。

「こまわり君、……僕達をしょっぴこうと思っているかもしれないけれど、駄目だからね! これは、フィックスド領民だけの問題じゃないんだよ‼︎(真剣殿下)」

「そうっすね。……俺も、この件に関しては、大いに同意なんで、デモが終わるまで、俺もみなさんに混ざって抗議するっす!(なかなかなことを言ってる警察官)」

「えっ……?(目と耳を疑うノア)」

「そうだよね! たしか、警察官のお給料も、首都なんとか税額分が天引きされてるんだっけ?(ウロ覚え殿下)」

「御名答‼︎ 建前は首都にやってくる地方民の為に、首都のインフラを整えるとかおかしな事をのたまっていますけど、俺、一度も首都に行った事ないですからね! 明らかにおかしいでしょ‼︎(一応国の番犬に所属する警察官ロベルト)」

「よく言ったよ、こわまり君‼︎ さあ、みんなで、国に抗議するぞー‼︎(正義に震える殿下)」

「ラジャーーー‼︎(仲間達と、一人の警察官)」

 ちょっと意味がわからないけど、何故だか一人、デモ活動者が増えてしまった。しかもデモを取り締まる側の交番警察官が。逆にこの増税を喜んでいる国民はいるのだろうか?

「あ、あの、ロベルトさん、……警察のお仕事は大丈夫なのかな?(一応聞いてみるノア)」

「ああ、大丈夫っす‼︎ 上司に何か言われたら、デモ活動者の交通整理をしていたって、報告するんで、楽勝っすよ‼︎(適当な警察官)」

「ああ、……そう?(いろいろ不安なノア)」

「よーし、みんな、もっと声を張り上げよう‼︎(殿下)」

「ラジャーーー‼︎(デモ活動者全員)」

 うん。どうにかなるかな。なればいいな。
 ここで、デモをしたって、何も変わらないかもしれないけれど、抗議をしないと、これ以上の重税を課される可能性もあるからね。俺達の未来のために、頑張るぞー‼︎


 ──ノア達の奮闘は、まだまだ続く!──
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