異界機甲士兵物語
振り返ると、雪に覆われた険しい峰々間から朝日が昇り始めていた。
背後に飛竜の姿は見えない、追手は振り切れたようだ。
「ムーラ、ご苦労様。あそこの渓谷で少し休みましょう」
”クー”
鎧を脱ぎ捨て、水量の豊かな滝壺で身体を洗う、冷たい水が気持ち良い。
剣は万が一を考えて脇の岩の上に置いておく。
その気配は突然目の前の深みに現れ、そして私の足を這い登って来た。
油断だとは思わない、本当に突然現れたのだ。
黒髪の裸の少年だった、私の下腹部に顔を付け、尻を両手で鷲掴みにしている。
一瞬何が起こっているのか判らなかった。
何の魔力の気配も無いど平民だ。
我に返った瞬間、羞恥と怒りで全身が燃え上がる様に熱くなった。
少年を蹴り飛ばして剣を手に取る。
このままでは私の純血が疑われてしまう。
こいつを抹消して、全てを無かったことにしよう。
背後に飛竜の姿は見えない、追手は振り切れたようだ。
「ムーラ、ご苦労様。あそこの渓谷で少し休みましょう」
”クー”
鎧を脱ぎ捨て、水量の豊かな滝壺で身体を洗う、冷たい水が気持ち良い。
剣は万が一を考えて脇の岩の上に置いておく。
その気配は突然目の前の深みに現れ、そして私の足を這い登って来た。
油断だとは思わない、本当に突然現れたのだ。
黒髪の裸の少年だった、私の下腹部に顔を付け、尻を両手で鷲掴みにしている。
一瞬何が起こっているのか判らなかった。
何の魔力の気配も無いど平民だ。
我に返った瞬間、羞恥と怒りで全身が燃え上がる様に熱くなった。
少年を蹴り飛ばして剣を手に取る。
このままでは私の純血が疑われてしまう。
こいつを抹消して、全てを無かったことにしよう。
あなたにおすすめの小説
不思議な夫婦〜ホントは貴方を愛してるのに〜
夫には、愛する女性がいる。 妻には、想いを寄せる男がいる。
――そう思いながら、ジェラルドとシャルロッテは三年間も夫婦を続けていた。
夜会では別行動。 夫婦の寝室で過ごすのは月に一度。 互いに嫉妬しながらも、「相手には別の愛する人がいる」と信じ込み、本当の気持ちは一度も口にできない。
けれど、真実はまるで違っていた!
二人の、じれじれ両片思い夫婦物語。
二十七日休まない夫を、いったい誰が働かせているのでしょう
王城勤めの夫ユリウスは、二十七日間休んでいない。
帰宅は日に日に遅くなり、ついには王城に泊まり込むようになった。それでも本人は「殿下が僕を必要としてくださっている」と嬉しそうに笑う。
ある夜、「今日こそ夕食には間に合う」と約束した夫は、また帰ってこなかった。
いったい誰が、夫をここまで働かせているのか。
王太子か、上司か、それとも仕事を押しつける同僚か。
夫と温かい夕食を食べる。ただそれだけの日常を取り戻すため、私は王城へ向かうことにした。
去りし令嬢の、その後の静けさ
声を荒げることも、言い返すこともなく、
彼女はただ静かに、その家を去った。
残された者が気づくのは、いつも後になってから。
——彼女が毎日していた、名もない献身の重さに。
婚約者の、夫の、家族の「当たり前」を支えていた手が消えたとき、
失われたものの輪郭が、ようやく見えてくる。
ざまぁを声高に描かない。すれ違いと、後悔と、再会の余韻で読ませる。
静かな情がじんわり効く、一話完結の短編集。
※S01「捨てられ令嬢」のアルファポリス最適化分割。
※アルファ読者向け:関係性・感情の機微・余韻を最優先。
名もなきエリーゼのために
「お前は今日限りで、エリーゼではない」
名門ヴァレンシア公爵家の至宝、完璧なる令嬢エリーゼ。
しかし、十九歳の誕生日に彼女が突きつけられたのは、あまりにも残酷な真実だった。
彼女は双子の妹の身代わりとして用意された「代理品」だというのだ。
名前も、十九年間の努力も、婚約者さえも。すべてを妹へ譲り渡せと命じられ、用済みとして地下牢へ廃棄される。
しかし、彼女の魂は折れてはいなかった。彼女は、培った知性と社交術のすべてを注ぎ込み、地獄の底から這い上がり、理不尽な運命への反撃を開始する。
これは、名前を奪われた少女が、真の自由を勝ち取るまでの物語。
【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します
「子供っぽい嫉妬はやめろ」私が命懸けで出産した日、夫のヴィンセント侯爵は初恋の人の所へ行ってしまった。理由を説明して欲しいと言うと、子供っぽい嫉妬をやめろと厳しい声で言われてしまう。しかも初恋の相手がいきなりやってきて「侯爵様は昔から私を命懸けで助けてくれるんです」と悪びれもせずに言い放った。妻よりも初恋相手を優先する夫は必要ないので私は夫を初恋相手へ返品した。すると生まれてから一度も人に頭を下げたことのないヴィンセントが、ボロボロになって私に頭を下げてきて⋯⋯。
忘れられた公爵令嬢
「ただの同級生だろう。それ以上でも、それ以下でもない」
王立高等学園の卒業を控え、第一王子アヴィと公爵令嬢フィーネは、誰もが羨む仲睦まじい婚約者同士であった。だが、魔女の襲来によって、その幸福な世界は一夜にして塗り替えられる。
翌朝、アヴィの隣には別の令嬢が座り、彼は最愛であったはずのフィーネを「無礼な娘」として冷酷に切り捨てた。家族も友人も、誰もが歪んだ現実を「正解」として受け入れるなか、一人取り残されたフィーネは、自らの正気すら疑い、深い絶望の淵に沈んでいく。
そんな彼女に唯一手を差し伸べたのは、彼女と同じく「正しい記憶」を保持したまま、孤独な戦いを続けていたアヴィの従者、ウィリアムだった。
記憶を奪われ、偽りの愛に支配された王子。 魔法の才能を持たず、一度はすべてを諦めかけた令嬢。 そして、二人を誰よりも近くで見守り、その絆を守ると誓った従者。
これは、書き換えられた世界で置き去りにされた三人が、偽りの絆を打ち破り、欠落した「真実の想い」を取り戻すまでの、逆転の救済劇。
※小説家になろう様にて先行掲載しております。