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第三章
113ー加護
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「我の名はオヴィオネウシス。其処の赤子が成長するまでこの地を気に掛けておいてやろうぞ。何かあれば我を呼ぶがいい」
「そう。私がいるから大丈夫だけど。感謝するわ。覚えておくわね」
「さて、ルル、レオン此方に」
何かしら? オヴィオさんに呼ばれたわ。
「其方、我をオヴィオと呼ぶか」
「え? だって長いじゃない」
「グハッ! ほんに面白い人間よのお」
オヴィオさんが大きな手を動かして、爪の先で私とレオン様の頭をチョンチョンと触れました。
ん? 身体が一瞬光ったかしら?
「我の加護を授けた。我の気配がする故、他の龍種は寄って来ないだろう。もしも邪の者が近寄るならば跳ね返すであろう」
ピアがオヴィオさんの顔先まで飛び、甘える様に頬擦りします。
「ピ、ピ…… 」
「ああ、其方もな」
モモちゃん何て?
「母上に元気でと伝えて欲しいと」
「我を呼ぶがいい。いつでも母の元に連れ戻ろう。其方を落とした事、悪く思ってやるな。仕方のない事だったのだ」
「ピピ!」
「大きくなるのだぞ」
「ピッ!」
オヴィオさんはピアの頭にもチョンと触った。一瞬、ピアの体がフワッと白く光った。
「本来ならば母がすべき事なのだが。我等龍種は、生まれて直ぐに膨大な力を暴走させぬ様に制限が掛かっておるのだ。我が解除しておいた。皆を助ける力位にはなろうよ」
「ピ……ピー!」
「赤子は可愛い。龍種は滅多に生まれぬ故、殊更に可愛い。残念ではあるが、またそのうち会えるであろうよ」
「そうだ、オヴィオさん! お土産持ってきたの! 食べて!」
「なんとっ! グワッハッハッハ! 其方は本に面白いな!」
ビュオーと強風が吹きます。だから笑わないでよ。
「ルル、お土産て何だ?」
「レオン様、イワカムに言ってスィーツ沢山作ってもらったのよ!」
無限収納からドサッ! と出します。バウム1本丸々を何本も、ホールのチーズケーキ、山盛りのアップルさつまいもパイ、他にも沢山。イワカムが徹夜で作ってくれたものです。
「ピー!」
「オヴィオさん食べて! 甘くて美味しいわよ!」
「ピピー!」
ピアも手をパタパタさせて飛び周ります。
「人間の食べる物など……我は龍ぞ」
「関係ないわよ。オヴィオさんにはかなり小さいけど、沢山作ってもらったから」
「ピー!」
ピアがバウム丸々1本を両手に抱えてオヴィオさんの口元までフワフワと飛んで持って行きます。
「我は人間の食べる物など……ハグッ……」
食べたわね、食べたわよね。
「ピー……?」
「う…… 」
う……?
「美味いではないか! なんだ甘いぞ!」
オヴィオさんはガッツリ食べましたよ。イワカムのスィーツは美味しいのよ!
「ルルよ、馳走になった」
「またいつでも食べに来てちょうだい。オヴィオさんなら皆んなで歓迎するわ。私のお父様、お母様にも会って欲しいわ」
「そうかそうか。ではまた来るとしよう。怪我が癒えたらピアの母も連れて来よう」
「ピー!」
「ルル、レオン、我等の赤子を頼んだぞ」
「ええ」
「ああ」
オヴィオさんは大きな翼を広げてフワッと浮き上がり、真上を何度も旋回した。
「ピッピピー!」
ピアが手を振ってます。
――グギュウゥ……グガオォォーーー!!
一鳴きしてオヴィオさんは飛び去って行った。
「本当に……ルル様、少しは自重しましょう」
「ユリウス、なんでよ?」
「龍種に呼び名を付ける等、その上お土産等いつの間に用意していたのですか。とんでもない事です」
「いいじゃない。オヴィオさんも笑ってたわ」
「それよりさ、どうやって此処から降りんの?」
「「………… 」」
オヴィオさん! 呼ぶだけ呼んで放置なの!? 放りっぱなの!?
「大丈夫なの」
「ルビ!」
「戻るのー」
ルビが一瞬光るとシュンッと場面が変わり、目の前にラウ兄様とジュード兄様がいました。
「「ルル! レオン!」」
ラウ兄様とジュード兄様にバフッと抱き締められました。
「ラウ兄様、ジュード兄様ご心配掛けました」
「ルル! 今度ばかりはダメかと思ったぞ」
「ラウ兄様、ごめんなさい」
「ルル、突然消えるから!」
「ジュード兄様」
「本当に……私もこの様な事は二度とごめんですよ。心臓がもちません」
ユリウス、ごめんなさい。
「俺もだ。ルルには驚かされてばかりだ。変な汗が出たよ」
なによ、レオン様も一緒に呼ばれたじゃない。
「ルルーシュア様! ご無事で何よりですー!」
「マーリソン様」
「で、ルル、レオン、モモ話してくれるか?」
「ラウ兄様、お腹が空きました」
「……ルルらしいな」
お昼を食べながら、ラウ兄様とジュード兄様にオヴィオさんとの話をしました。
「ピア、母上の無事が分かってヨカッタな」
ジュード兄様。
「そうだな。ドラゴンでもピアは寂しがりだしな」
ラウ兄様。
「ピピ」
ピアがラウ兄様とジュード兄様にフワフワと寄って行きスリスリしてます。
「ハハハ、ピアはまだ赤ちゃんだからな」
「兄貴、ドラゴンだけどな」
ピアがレオン様のところに来ました。
「ピー」
「はいはい、水かよ」
「ピピ」
レオン様がピアの器に魔素水を並々と出します。
「ンギュ……ンギュ……プハー!」
「ジュード、帰りに洞窟に寄らないか?」
「ああ、早く問題は解決したしな。兄貴、いいだろ?」
「そうだな。俺も見てみたいな」
帰りに洞窟に寄る事が決まりました。
「話は聞いていたが……信じられんな……!」
洞窟にある湖を見て、ラウ兄様の感想です。
「ピー!」
「ピア、嬉しそうだな」
――ジャポン!
「えっ!? ピア!」
ピアが突然湖に飛び込みました。いや、落ちましたの方が正解かな? 湖の上を飛んでいたのに突然湖目掛けて落ちたのです。
「ピピー!」
ピアが上を向いてまあるいお腹を出してぷかぷか浮かんでます。やっぱり両手はお腹の上ね。
「ピア、驚かすなよ」
「レオン様、本当に」
「ピ、ピーピピピュー、ピピピー」
「歌ってるし」
普段大人しくモモの背中にいるルビまでフワフワ浮かんで移動しています。
「この湖の水をいつもピアが飲んでいるのか?」
「ラウ、そうだ」
「リッシュ湖の水源がこの湖か?」
「ラウ兄様、そうです」
あれ? じゃあさ……
「そう。私がいるから大丈夫だけど。感謝するわ。覚えておくわね」
「さて、ルル、レオン此方に」
何かしら? オヴィオさんに呼ばれたわ。
「其方、我をオヴィオと呼ぶか」
「え? だって長いじゃない」
「グハッ! ほんに面白い人間よのお」
オヴィオさんが大きな手を動かして、爪の先で私とレオン様の頭をチョンチョンと触れました。
ん? 身体が一瞬光ったかしら?
「我の加護を授けた。我の気配がする故、他の龍種は寄って来ないだろう。もしも邪の者が近寄るならば跳ね返すであろう」
ピアがオヴィオさんの顔先まで飛び、甘える様に頬擦りします。
「ピ、ピ…… 」
「ああ、其方もな」
モモちゃん何て?
「母上に元気でと伝えて欲しいと」
「我を呼ぶがいい。いつでも母の元に連れ戻ろう。其方を落とした事、悪く思ってやるな。仕方のない事だったのだ」
「ピピ!」
「大きくなるのだぞ」
「ピッ!」
オヴィオさんはピアの頭にもチョンと触った。一瞬、ピアの体がフワッと白く光った。
「本来ならば母がすべき事なのだが。我等龍種は、生まれて直ぐに膨大な力を暴走させぬ様に制限が掛かっておるのだ。我が解除しておいた。皆を助ける力位にはなろうよ」
「ピ……ピー!」
「赤子は可愛い。龍種は滅多に生まれぬ故、殊更に可愛い。残念ではあるが、またそのうち会えるであろうよ」
「そうだ、オヴィオさん! お土産持ってきたの! 食べて!」
「なんとっ! グワッハッハッハ! 其方は本に面白いな!」
ビュオーと強風が吹きます。だから笑わないでよ。
「ルル、お土産て何だ?」
「レオン様、イワカムに言ってスィーツ沢山作ってもらったのよ!」
無限収納からドサッ! と出します。バウム1本丸々を何本も、ホールのチーズケーキ、山盛りのアップルさつまいもパイ、他にも沢山。イワカムが徹夜で作ってくれたものです。
「ピー!」
「オヴィオさん食べて! 甘くて美味しいわよ!」
「ピピー!」
ピアも手をパタパタさせて飛び周ります。
「人間の食べる物など……我は龍ぞ」
「関係ないわよ。オヴィオさんにはかなり小さいけど、沢山作ってもらったから」
「ピー!」
ピアがバウム丸々1本を両手に抱えてオヴィオさんの口元までフワフワと飛んで持って行きます。
「我は人間の食べる物など……ハグッ……」
食べたわね、食べたわよね。
「ピー……?」
「う…… 」
う……?
「美味いではないか! なんだ甘いぞ!」
オヴィオさんはガッツリ食べましたよ。イワカムのスィーツは美味しいのよ!
「ルルよ、馳走になった」
「またいつでも食べに来てちょうだい。オヴィオさんなら皆んなで歓迎するわ。私のお父様、お母様にも会って欲しいわ」
「そうかそうか。ではまた来るとしよう。怪我が癒えたらピアの母も連れて来よう」
「ピー!」
「ルル、レオン、我等の赤子を頼んだぞ」
「ええ」
「ああ」
オヴィオさんは大きな翼を広げてフワッと浮き上がり、真上を何度も旋回した。
「ピッピピー!」
ピアが手を振ってます。
――グギュウゥ……グガオォォーーー!!
一鳴きしてオヴィオさんは飛び去って行った。
「本当に……ルル様、少しは自重しましょう」
「ユリウス、なんでよ?」
「龍種に呼び名を付ける等、その上お土産等いつの間に用意していたのですか。とんでもない事です」
「いいじゃない。オヴィオさんも笑ってたわ」
「それよりさ、どうやって此処から降りんの?」
「「………… 」」
オヴィオさん! 呼ぶだけ呼んで放置なの!? 放りっぱなの!?
「大丈夫なの」
「ルビ!」
「戻るのー」
ルビが一瞬光るとシュンッと場面が変わり、目の前にラウ兄様とジュード兄様がいました。
「「ルル! レオン!」」
ラウ兄様とジュード兄様にバフッと抱き締められました。
「ラウ兄様、ジュード兄様ご心配掛けました」
「ルル! 今度ばかりはダメかと思ったぞ」
「ラウ兄様、ごめんなさい」
「ルル、突然消えるから!」
「ジュード兄様」
「本当に……私もこの様な事は二度とごめんですよ。心臓がもちません」
ユリウス、ごめんなさい。
「俺もだ。ルルには驚かされてばかりだ。変な汗が出たよ」
なによ、レオン様も一緒に呼ばれたじゃない。
「ルルーシュア様! ご無事で何よりですー!」
「マーリソン様」
「で、ルル、レオン、モモ話してくれるか?」
「ラウ兄様、お腹が空きました」
「……ルルらしいな」
お昼を食べながら、ラウ兄様とジュード兄様にオヴィオさんとの話をしました。
「ピア、母上の無事が分かってヨカッタな」
ジュード兄様。
「そうだな。ドラゴンでもピアは寂しがりだしな」
ラウ兄様。
「ピピ」
ピアがラウ兄様とジュード兄様にフワフワと寄って行きスリスリしてます。
「ハハハ、ピアはまだ赤ちゃんだからな」
「兄貴、ドラゴンだけどな」
ピアがレオン様のところに来ました。
「ピー」
「はいはい、水かよ」
「ピピ」
レオン様がピアの器に魔素水を並々と出します。
「ンギュ……ンギュ……プハー!」
「ジュード、帰りに洞窟に寄らないか?」
「ああ、早く問題は解決したしな。兄貴、いいだろ?」
「そうだな。俺も見てみたいな」
帰りに洞窟に寄る事が決まりました。
「話は聞いていたが……信じられんな……!」
洞窟にある湖を見て、ラウ兄様の感想です。
「ピー!」
「ピア、嬉しそうだな」
――ジャポン!
「えっ!? ピア!」
ピアが突然湖に飛び込みました。いや、落ちましたの方が正解かな? 湖の上を飛んでいたのに突然湖目掛けて落ちたのです。
「ピピー!」
ピアが上を向いてまあるいお腹を出してぷかぷか浮かんでます。やっぱり両手はお腹の上ね。
「ピア、驚かすなよ」
「レオン様、本当に」
「ピ、ピーピピピュー、ピピピー」
「歌ってるし」
普段大人しくモモの背中にいるルビまでフワフワ浮かんで移動しています。
「この湖の水をいつもピアが飲んでいるのか?」
「ラウ、そうだ」
「リッシュ湖の水源がこの湖か?」
「ラウ兄様、そうです」
あれ? じゃあさ……
応援ありがとうございます!
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