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18.体育祭

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生徒会入りしてからオレの生活は一変した。

まず、授業に出れる日が減った。

親衛隊ができた。


今まで外から見ていた世界の中にオレ自身がいることが不思議だった。

書類の作成や処理は風紀委員の時と変わらないけど圧倒的に量は多かった。

これをこの人数でやっていたことに驚いた。


「勇人、これを頼む」

「はい・・」


渡された書類を分類したり訂正したりとまだ簡単な作業だけだが、できるだけ作業をしやすいようにまとめていくのが今のオレの仕事だ。


「そういえば、もうすぐ体育祭だな」


ふと、夏樹兄さんがこぼした言葉に、そういえば競技は何をするんだろう?

確か、海斗の話だとオレが出る競技は決まっているらしい。

でも、それが何かは聞いていない。


「はあ~・・また仕事が増えますね。その後に文化祭もありますし」

「ん~・・・はあ~体育祭かあ~昨年は借り物競争で散々な目にあったよなあ~」

「そうそう、拓也は『好きな人』を引いて親衛隊に追いかけられたんだったな・・」

「・・・・」


借り物競争で『好きな人』か・・・オレだったら高坂さんを・・

いやいやいや・・何を考えているんだ。

そんな都合のいいことなんて・・

でも、そうなったら・・今度こそ


「そういえば、勇人は何に出るんだ?」

「・・・それが、決まっているらしいんだけど聞いてないんだ」

「・・そうか、まあ、初めての体育祭だからお前も楽しめよ」


夏樹兄さんにそう言われて頭をがしがしかき回された。

普段だったらこういうのはイヤなんだけど、沈んでいるオレの気持ちを察してくれているようで嬉しかった。

それに中原は今日は欠席で彼の顔を見ないでいることがせめてもの救いだった。


「さて、もう少しがんばりましょうか」

「はい・・」


早瀬の声にみんな頷き、速度を上げる。

キーボードをたたく音や紙をめくる音にペンを走らせる音が生徒会室を支配していく。

カチカチと時計の針が進んでいく中、最後にプリンターの音がして今日の作業は終わりを告げた。


「よし、帰るぞっ」

残っている資料や書類をまとめて、生徒会室を出ると辺りは薄暗くなっていた。


「疲れた~」

「お腹空いた~」

「食堂に行くか・・」


みんなでソロゾロと食堂の方に移動していると高坂さんたちの姿が見えた。

一人だったら良かったんだけど、風紀委員の人たちも一緒で体育祭のことで話をしている様子だった。

オレが抜けたことで警備も忙しいらしいと海斗から聞いた。

誰にでも風紀委員になれるわけではないので、人材を集めるのも難しようだ。

本当ならあそこに居たのに・・・

いくらオレが幸村家の人間だからといっても諦めたくはない。

そんな未練がましい気持ちがオレの中にはまだあった。

風紀委員に戻れなくても、いつかあの人の隣に立ちたいという思いが勇人の中に芽生えつつあった。










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