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12歳と薔薇色の…

夢と現実

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「どういうこと……」

 朝、マリアンヌが窓から差し込む暖かで陽気な日の光で目が覚めると、腕の中では薄金の狼がぐっすりスヤスヤと眠っていた。その状況にマリアンヌは一瞬にして色々想い出し瞬時に固まったが、女王教育のお陰か、はたまた前世と合わせた分の年の功か、すぐさま寝起きとは思えぬ速度で思考が回転しだした。
 ……そしてたっぷり熟考した結果出た結論が――

 ――もしや、昨夜のあれは己の願望が見せた夢だったのだろうか?

 と、妙に生々しかった夢を想う。生々しかったのは寝ながら自慰行為でもしたせいなのかもしれない、と妙に下半身がスッキリ軽い感覚なのを理由にしてそう結論付けた。

「うーん……」

 疲れているのだろうか。それとも、たちの絵姿を見過ぎて知らず知らずのうちにストレスが溜まっていたのか。マリアンヌが考えていたよりも、余程この世界基準のが受け入れられないのかもしれない。
 女王としてさすがにそれはマズイ。夫にならなくとも王侯貴族は殆どがである。これからやっていけるのだろうか、と夢遊病(仮)で妄想自慰行為する時期女王という部分に目を背けて違う不安が首をもたげた。

『グルゥ……』

 ふと、寝言なのかいつの間にか己の腕の中で眠っていた狼の唸る音が聞こえ、寝起きでまだぼんやりとしたままの視界を落とした。

「…………んんんっ――!?」

 途端、寝起きでぼやっとしていた視界が覚醒し、有り得ないものを見つけて静かに驚愕した。

「ゆ、ゆ、ゆゆゆ夢ではなかったの……ッ!?」

 ぐっすりと眠る狼の首周りに浮かぶ、蔦のような複雑に絡まるチョーカーみたいな紋章を見て、マリアンヌは静かに絶叫した。それは女王、ひいては次期女王が夫候補と行為をすることで刻まれる夫婦の証であった。もう候補ではなく正真正銘夫であるが。
 つまり、先程夢遊病(仮)と結論付けた妙に生々しい記憶は夢でも妄想でもなく現実だった、ということだ。

 ――マリアンヌは枕に顔を埋め暫し悶えた。
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