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連載2
感謝と謝罪5
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アシュリナは私をぎゅっと抱き締め返しながら、小さく感謝の言葉を告げた。
「私の生まれ変わりが、あなたでよかったわ」
「……そろそろ時間よ。二人とも」
ずっと黙って私とアシュリナのやり取りを見ていたセーラが、不意に口を開いた。
「もうすぐ、夢が終わって、ディアナは現実に戻るわ。これで本当におしまい。次に私達が会えるのは、ディアナが死んで魂の一部になった時よ。二人とも、後悔のない時間は過ごせたかしら」
「……これで、終わり? もう、私はアシュリナとは会えないの?」
「話せないだけよ。ディアナ。話せないけれど……私はずっとそばにいるわ。今までも、これからもずっと」
泣きそうになる私を宥めるように、アシュリナは私に優しくそう言うと、私の手を握りしめた。
「最後にもう一度言わせて。ディアナ。今まで本当にありがとう。これからは、聖女としての使命にも、私の記憶にも囚われないで、自分の為だけに生きて。どうか自分が幸せになる為だけに生きて」
「アシュリナ……」
アシュリナは一筋の涙を流しながら微笑むと、祈るように私の手を両手で握って、私の額に自分の額を合わせた。
「ーー大好きよ。ディアナ」
「っ私も、私もアシュリナのことーー」
大好きだと言いきる前に、急激に視界が霞み、意識が現実へと向かっていくのが分かった。
けれど、手のひらに伝わる温かさはそのままだったから、言葉の代わりにその手をぎゅっと強く握り締める。
告げられなかった言葉は、ちゃんとアシュリナに伝わったのだろうか。……いや、きっと伝わったはずだ。
だってアシュリナは私で、私の想いは何も口にしなくてもアシュリナに伝わっているはずだから。
「……兄、様?」
夢から醒めてもなお、手のひらの温もりが消えなかったから、おそるおそる目を開くと、眠っている兄様の姿が目に入った。
兄様は、私が横になっているベッドに上体だけもたれかかるようにして、私の手を握り締めたまま眠っていた。
部屋の様子に覚えがあるから、ここは恐らくルシトリアの王宮に与えられた私の寝室なのだろう。
「……っディアナ! 目が覚めたのか!?」
私のつぶやきに反応して即座に目を覚ました兄様は、がばりと飛び起きるなり、直ぐさま私の様子を確認しだした。……どうやら兄様は、寝ぼけとは無縁みたいだ。
「私の生まれ変わりが、あなたでよかったわ」
「……そろそろ時間よ。二人とも」
ずっと黙って私とアシュリナのやり取りを見ていたセーラが、不意に口を開いた。
「もうすぐ、夢が終わって、ディアナは現実に戻るわ。これで本当におしまい。次に私達が会えるのは、ディアナが死んで魂の一部になった時よ。二人とも、後悔のない時間は過ごせたかしら」
「……これで、終わり? もう、私はアシュリナとは会えないの?」
「話せないだけよ。ディアナ。話せないけれど……私はずっとそばにいるわ。今までも、これからもずっと」
泣きそうになる私を宥めるように、アシュリナは私に優しくそう言うと、私の手を握りしめた。
「最後にもう一度言わせて。ディアナ。今まで本当にありがとう。これからは、聖女としての使命にも、私の記憶にも囚われないで、自分の為だけに生きて。どうか自分が幸せになる為だけに生きて」
「アシュリナ……」
アシュリナは一筋の涙を流しながら微笑むと、祈るように私の手を両手で握って、私の額に自分の額を合わせた。
「ーー大好きよ。ディアナ」
「っ私も、私もアシュリナのことーー」
大好きだと言いきる前に、急激に視界が霞み、意識が現実へと向かっていくのが分かった。
けれど、手のひらに伝わる温かさはそのままだったから、言葉の代わりにその手をぎゅっと強く握り締める。
告げられなかった言葉は、ちゃんとアシュリナに伝わったのだろうか。……いや、きっと伝わったはずだ。
だってアシュリナは私で、私の想いは何も口にしなくてもアシュリナに伝わっているはずだから。
「……兄、様?」
夢から醒めてもなお、手のひらの温もりが消えなかったから、おそるおそる目を開くと、眠っている兄様の姿が目に入った。
兄様は、私が横になっているベッドに上体だけもたれかかるようにして、私の手を握り締めたまま眠っていた。
部屋の様子に覚えがあるから、ここは恐らくルシトリアの王宮に与えられた私の寝室なのだろう。
「……っディアナ! 目が覚めたのか!?」
私のつぶやきに反応して即座に目を覚ました兄様は、がばりと飛び起きるなり、直ぐさま私の様子を確認しだした。……どうやら兄様は、寝ぼけとは無縁みたいだ。
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