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第四十七話 怒り始めるルクディアさん
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「あなた、怒りなさいよ! 何で怒らないの!」
ルクディアさんはついに怒り始めた。
気持ちはわからないわけではない。
一生懸命相手を怒らせようとしているのに、その相手は、どこ吹く風。
人によっては、一番心にこたえてくる対応の仕方だ。
さすがに少し気の毒になってきた。
でもここで対応をしてしまったら、今までのわたしと何も変わらなくなってしまう。
「いい加減にしなさいよ! もう一人でいい子ぶらないでほしいわ。あなたは本来、自分がけなされたら、何倍にもして返す人だったじゃない。そんなあなたと言い争いをするのが、生きがいな面もわたしはあったのよ。それなのに、最近はずっといい子ぶっちゃっている。そして。今日は、わたしを相手にしようともしない。全くなんなのよ、あなたは。ルシャール殿下に対して、印象を良くしようとしているのならまだわかる。あなたは、わたしと違って上品ではなかったですものね。でもあなたは、ルシャール殿下の婚約者の座まで妹に譲ってしまった。わたしとしては、あなたは、婚約者の座を他の人に譲るほど、その座にふさわしくない人間とは思っていませんでした。そう思うということは、わたしとしては悔しい話です。しかし、わたしのライバルなのですから、認めるところは認めざるをえない。それなのに、あなたは予想外の行動をとってしまった。あなたは自分に自信がなさすぎではありませんか? 自信がなければつけていけばいいだけの話だとわたしは思います。いずれにしても、そういうチャンスをわざわざつぶすという情けなさ。わたしにはあなたという人が全く理解できせんわ」
ルクディアさんは熱を込めて話をしていた。
自分のことをまた棚に上げて、わたしのことを
「上品でない」
と言ったのは、少し腹が立つ。
しかし、それ以外では、ルクディアさんを少し見直した。
今までは、継母と同じように。ただわたしに嫌味を言うだけの人だと思っていた。
でも、わたしに対して、ここまで熱を込めて話をするというのは。もしかすると心配をしてくれているのかもしれない。
「ツンデレ」ということなのだろうか?
だとすれば、ルクディアさんに対する対応も変えていく必要がありそうだ。
もちろん少し考えすぎてしまっている可能性もある。
でも少なくとも、これからは少しずつ仲を良くして行けそうな気もする。
そう思い、相変わらず微笑んでいると、ルクディアさんは、
「こんなにあなたを攻撃しているのに、あなたは微笑んだまま。だんだん疲れてきましたわ」
と言ってきた。
わたしは、
「いろいろ心配してくれてありがとうございます。ありがたく思っております。でもわたしは大丈夫です。自分に自信がないわけではありません。ルシャール殿下の婚約者の座を譲ったのは、妹の方がルシャール殿下にふさわしいと思ったからですし、王室とボードリックス公爵家にとってもよりいい関係を築くことができると思ったからです。わたしはルシャール殿下の婚約者の座こそ妹に譲ります。それは、自信がないということではありません。わたしも、王太子妃になる為の努力はしてきましたから。しかし、それでも妹の方がより一層、ルシャール殿下と一緒に幸せになれそうだとわたしは思ったのです。わたしは妹と違って、やさしさが足りず、わがままを言うことが多く、傲慢な態度を取るところが多かったので、妹に譲るべきだと思ったのです。しかし、わたしもこのままではいけないと思いました。それで、これからのわたしは心の底から、やさしくて頼もしい人間になって、周囲の人たちと幸せになっていきたいと思うようになったのです」
と言った。
ルクディアさんはついに怒り始めた。
気持ちはわからないわけではない。
一生懸命相手を怒らせようとしているのに、その相手は、どこ吹く風。
人によっては、一番心にこたえてくる対応の仕方だ。
さすがに少し気の毒になってきた。
でもここで対応をしてしまったら、今までのわたしと何も変わらなくなってしまう。
「いい加減にしなさいよ! もう一人でいい子ぶらないでほしいわ。あなたは本来、自分がけなされたら、何倍にもして返す人だったじゃない。そんなあなたと言い争いをするのが、生きがいな面もわたしはあったのよ。それなのに、最近はずっといい子ぶっちゃっている。そして。今日は、わたしを相手にしようともしない。全くなんなのよ、あなたは。ルシャール殿下に対して、印象を良くしようとしているのならまだわかる。あなたは、わたしと違って上品ではなかったですものね。でもあなたは、ルシャール殿下の婚約者の座まで妹に譲ってしまった。わたしとしては、あなたは、婚約者の座を他の人に譲るほど、その座にふさわしくない人間とは思っていませんでした。そう思うということは、わたしとしては悔しい話です。しかし、わたしのライバルなのですから、認めるところは認めざるをえない。それなのに、あなたは予想外の行動をとってしまった。あなたは自分に自信がなさすぎではありませんか? 自信がなければつけていけばいいだけの話だとわたしは思います。いずれにしても、そういうチャンスをわざわざつぶすという情けなさ。わたしにはあなたという人が全く理解できせんわ」
ルクディアさんは熱を込めて話をしていた。
自分のことをまた棚に上げて、わたしのことを
「上品でない」
と言ったのは、少し腹が立つ。
しかし、それ以外では、ルクディアさんを少し見直した。
今までは、継母と同じように。ただわたしに嫌味を言うだけの人だと思っていた。
でも、わたしに対して、ここまで熱を込めて話をするというのは。もしかすると心配をしてくれているのかもしれない。
「ツンデレ」ということなのだろうか?
だとすれば、ルクディアさんに対する対応も変えていく必要がありそうだ。
もちろん少し考えすぎてしまっている可能性もある。
でも少なくとも、これからは少しずつ仲を良くして行けそうな気もする。
そう思い、相変わらず微笑んでいると、ルクディアさんは、
「こんなにあなたを攻撃しているのに、あなたは微笑んだまま。だんだん疲れてきましたわ」
と言ってきた。
わたしは、
「いろいろ心配してくれてありがとうございます。ありがたく思っております。でもわたしは大丈夫です。自分に自信がないわけではありません。ルシャール殿下の婚約者の座を譲ったのは、妹の方がルシャール殿下にふさわしいと思ったからですし、王室とボードリックス公爵家にとってもよりいい関係を築くことができると思ったからです。わたしはルシャール殿下の婚約者の座こそ妹に譲ります。それは、自信がないということではありません。わたしも、王太子妃になる為の努力はしてきましたから。しかし、それでも妹の方がより一層、ルシャール殿下と一緒に幸せになれそうだとわたしは思ったのです。わたしは妹と違って、やさしさが足りず、わがままを言うことが多く、傲慢な態度を取るところが多かったので、妹に譲るべきだと思ったのです。しかし、わたしもこのままではいけないと思いました。それで、これからのわたしは心の底から、やさしくて頼もしい人間になって、周囲の人たちと幸せになっていきたいと思うようになったのです」
と言った。
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