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第七十七話 婚約をする為に
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オクタヴィノール殿下との婚約、そして、結婚。
それは、わたしがあこがれ、夢見ていたことだった。
その内の婚約が今、実現しようとしている。
うれしいことであるはずなのだけど……。
「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」でのオクタヴィノール殿下ルートの主人公オディナティーヌは、オクタヴィノール殿下と二人だけの世界に入るまで、五か月をかけている。
そして、婚約したのは、付き合いだしてから九か月後で、学校卒業後の四月だ。
二人は時間をかけて仲良くなっていったということは言えるのだけど、もう一つ大切な要素があった。
それは、ルクシブルテール王国の王室と貴族たちの説得だ。
本来であれば、二人が愛し合い、同意をすれば婚約・結婚は成立するもの。
わたしの出発点の人生では、一部には政略結婚という形式も残っていると思うのだけれど、一般的にはそうした自由恋愛で結婚するものだった。
この「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」の世界も、平民であれば、そういう自由恋愛での結婚は多い。
しかし、王室や貴族の結婚は、基本的には政略結婚になる。
わたしがオクタヴィノール殿下の婚約者候補になっていたのは、デュヴィテール王国の王室とボードリックス公爵家との政略結婚だったからだ。
ただ、政略結婚だからこそ、わたしではなくオディナティーヌがその相手でもよかったということになる。
このことについては、まだ複雑な思いをすることがある。
オクタヴィノール殿下とわたしが結婚する為には、ルクシブルテール王国の王室とボードリックス公爵家の家どうしの合意が必要になってくる。
具体的には、ルクシブルテール王国の国王陛下とわたしのお父様の両方が、婚約・結婚について合意をしなければならない。
これは大変なことだ。
というのも、オクタヴィノール殿下はルクシブルテール王国の王太子殿下であり、わたしはデュヴィテール王国に属するボードリックス公爵家の令嬢であるので、属している王国が違っている。
ルシャール殿下とわたしの場合は、同じ王国に属しているし、祖先をたどれば婚姻をしていたこともあって、政略結婚としても、それほどまとめるのは難しい話ではなかった。
わたしからオディナティーヌに婚約者候補が変わったことも、特に王室の方から苦情が出ることはなく、ルシャール殿下とオディナティーヌの婚約は、あっさりと成立してしまった。
それはそれで、
「わたしの存在はなんだったのだろう」
と思わざるをえなかったのだけれど……。
でもそれは、「婚約破棄」「公爵家追放」「処断」を避ける為だったのだから、仕方がない。
とにかく、同じ王国内の家どうしで、お互いの条件さえ合えば、婚約・結婚が成立するのはそれほど難しい話ではない。
しかし、違う王国の家どうしとなると、話は大きく違ってくる。
特に敵対する王国どうしであれば、まず成立することはない。
デュヴィテール王国とルクシブルテール王国は、数百年ほどの間、友好を保ち続けていた。
道路が整備されているので、商人の往来も自分たちの国内と同じくらいに活発だ。
そのことにより、お互いの経済が潤っている。
オクタヴィノール殿下が、このデュヴィテール王国の学校に通うことができるのも、友好関係があるからだ。
そうでなければ、いくらデュヴィテール王国のこの学校が、周辺の学校の中では最高峰に位置する学校であっても、デュヴィテール王国の王室がそれを許すことはなかっただろう。
オクタヴィノール殿下とわたしの出会いもなかったことになる。
オクタヴィノール殿下は、恋人どうしとしての付き合いまでは、ルクシブルテール王国の王室からは認めてもらっていたようだ。
その為、オクタヴィノール殿下がわたしと付き合いだしてからも、
「付き合いを止めてほしい」
という話がルクシブルテール王国の王室の方からオクタヴィノール殿下の方に来ることはなかった。
しかし、婚約・結婚となると話は違ってくる。
妃は自国の貴族令嬢の仲から選ぶというのが、昔からのルクシブルテール王国のしきたりなっている。
それは、わたしがあこがれ、夢見ていたことだった。
その内の婚約が今、実現しようとしている。
うれしいことであるはずなのだけど……。
「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」でのオクタヴィノール殿下ルートの主人公オディナティーヌは、オクタヴィノール殿下と二人だけの世界に入るまで、五か月をかけている。
そして、婚約したのは、付き合いだしてから九か月後で、学校卒業後の四月だ。
二人は時間をかけて仲良くなっていったということは言えるのだけど、もう一つ大切な要素があった。
それは、ルクシブルテール王国の王室と貴族たちの説得だ。
本来であれば、二人が愛し合い、同意をすれば婚約・結婚は成立するもの。
わたしの出発点の人生では、一部には政略結婚という形式も残っていると思うのだけれど、一般的にはそうした自由恋愛で結婚するものだった。
この「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」の世界も、平民であれば、そういう自由恋愛での結婚は多い。
しかし、王室や貴族の結婚は、基本的には政略結婚になる。
わたしがオクタヴィノール殿下の婚約者候補になっていたのは、デュヴィテール王国の王室とボードリックス公爵家との政略結婚だったからだ。
ただ、政略結婚だからこそ、わたしではなくオディナティーヌがその相手でもよかったということになる。
このことについては、まだ複雑な思いをすることがある。
オクタヴィノール殿下とわたしが結婚する為には、ルクシブルテール王国の王室とボードリックス公爵家の家どうしの合意が必要になってくる。
具体的には、ルクシブルテール王国の国王陛下とわたしのお父様の両方が、婚約・結婚について合意をしなければならない。
これは大変なことだ。
というのも、オクタヴィノール殿下はルクシブルテール王国の王太子殿下であり、わたしはデュヴィテール王国に属するボードリックス公爵家の令嬢であるので、属している王国が違っている。
ルシャール殿下とわたしの場合は、同じ王国に属しているし、祖先をたどれば婚姻をしていたこともあって、政略結婚としても、それほどまとめるのは難しい話ではなかった。
わたしからオディナティーヌに婚約者候補が変わったことも、特に王室の方から苦情が出ることはなく、ルシャール殿下とオディナティーヌの婚約は、あっさりと成立してしまった。
それはそれで、
「わたしの存在はなんだったのだろう」
と思わざるをえなかったのだけれど……。
でもそれは、「婚約破棄」「公爵家追放」「処断」を避ける為だったのだから、仕方がない。
とにかく、同じ王国内の家どうしで、お互いの条件さえ合えば、婚約・結婚が成立するのはそれほど難しい話ではない。
しかし、違う王国の家どうしとなると、話は大きく違ってくる。
特に敵対する王国どうしであれば、まず成立することはない。
デュヴィテール王国とルクシブルテール王国は、数百年ほどの間、友好を保ち続けていた。
道路が整備されているので、商人の往来も自分たちの国内と同じくらいに活発だ。
そのことにより、お互いの経済が潤っている。
オクタヴィノール殿下が、このデュヴィテール王国の学校に通うことができるのも、友好関係があるからだ。
そうでなければ、いくらデュヴィテール王国のこの学校が、周辺の学校の中では最高峰に位置する学校であっても、デュヴィテール王国の王室がそれを許すことはなかっただろう。
オクタヴィノール殿下とわたしの出会いもなかったことになる。
オクタヴィノール殿下は、恋人どうしとしての付き合いまでは、ルクシブルテール王国の王室からは認めてもらっていたようだ。
その為、オクタヴィノール殿下がわたしと付き合いだしてからも、
「付き合いを止めてほしい」
という話がルクシブルテール王国の王室の方からオクタヴィノール殿下の方に来ることはなかった。
しかし、婚約・結婚となると話は違ってくる。
妃は自国の貴族令嬢の仲から選ぶというのが、昔からのルクシブルテール王国のしきたりなっている。
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