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少女との出会い
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次の日の昼頃、家の扉を叩く音がした。
「なによー、うるさいわね。また誰かがこの森に入ったのかしら?」
渋々ドアを開けると、そこには昨日の少女が立っていた。
「あんたね、何でいるのよ?もう来ちゃダメって言ったでしょ?」
「魔女様にお礼がどーしてもしたくて来ちゃいました。それと、私はあんたではなく。ソフィア、ソフィア・ヴァイオレットと申します。ソフィア、とお呼びください」
「よく私の家が分かったわね、昨日は暗かったのに。....ってヴァイオレット?もしかしてあんたの父親ラルフ・ヴァイオレットだったりする?」
「ええ、父の名前がよく分かりましたわね。そんなことより、私はソフィアです!ソ!フィ!ア!わかりまして?」
「わかった、ソフィアね。うん、覚えたけど....」
ラルフ・ヴァイオレットって言ったら帝国皇帝の名前じゃない。つまりこの子は皇帝の娘!?
「ところで、魔女様のお名前はなんていいますの?」
「え?名前?無いわよ私に名前なんて。あえて言うなら魔女とか棘の魔女って呼ばれる事はあるけど?」
「なら私がつけてあげます!なにか好きなものとかありまして?」
「いいよ、名前なんて。どうせ呼ぶ人いないし」
現に私の知り合いは、買い物や売り物をするためだけに王都に数人いるくらいだし。私の正体は隠してるけど。
「友達もいないんですの?なら私が友達になって上げます!これなら名前も必要でしょ!」
「いいわよ、友達なんて」
「いえ、友達はもう決定事項です!で?好きなものわなんですの!」
「好きなもの?薔薇とか綺麗な花が好きよ」
「やっぱり!薔薇好きなんですのね!私も薔薇大好きですの!じゃあ今日から貴方はラヴィ!ラヴィ・ローズ!棘の魔女にぴったりじゃありません!」
「何で会ったばかりなのに私が薔薇好きって知ってんのよ?それに、ラヴィはわかるとしてローズってなによ?」
「ラヴィの家の庭に薔薇が沢山咲いてるのを見まして、もしやと思いましたの。ローズは遠い異国の言葉で薔薇と言うらしいですわよ」
「へー、意外と物知りなのね。しかも、もうラヴィ呼び出し.....。まぁいいわ、せっかくつけてくれたんだもの、今日から名乗らせてもらうわ」
自身ありげなソフィアの顔を見てるとこれ以上文句を言う気にはならなかった。
「あ、そうだ!忘れるところでしたわ。こちらを受け取ってくださいな」
「何よこれ?箱?」
「お礼をしに来たと言ったじゃありませんか!開けてくださいませ」
ソフィアから渡された箱を開けたけど何も入ってない。
「空じゃない」
「え!?中身を入れるの忘れてましたの!?
私としたことが中身を入れるのを忘れていましたわ。.....でしたら少しかがんでいただけます?」
「何するのよ?」
「いいから、かがんでくださいませ!」
私がかがむと、ソフィアが付けていたガラスと宝石で作られた青い薔薇の髪飾りを私に付けた。
「受け取れないよこんな高そうなもの。それにこれ、ソフィアのじゃないの?」
「いいんですわ。元々これの色違いをラヴィに差し上げるつもりでしたし。それにとってもお似合いですわよ」
「って言われてもなぁ.....。ちょっと待ってて」
私は寝室にあるものを取りに行った。
「少しじっとしててねー。ソフィアの服って穴開いても大丈夫?」
「え、えぇ大丈夫ですわ」
寝室から取ってきた蝶のブローチをソフィアに付けた。
「まぁ!可愛い!これを私に?」
「私の手作りだけどね、髪飾りと釣り合わないと思うけど貰って」
「そんなことございませんわ!絶対大事にします!」
とても嬉しそうなソフィアを見て、私も嬉しかった。
「そう思えばソフィアって、また1人でここに来たの?一応皇女様でしょ?」
「あら、私が皇女だってよく分かりましたわね。そんなこと一言も言ってはないのですけど?」
しまった、つい口が滑ってしまった。
「うふふ、安心してください、お父様にラヴィの事は内緒にしておりますの。それと私は1人で来ておりません、メイドと2人で来ましたの」
「言ってなくてよかった。メイド?そんな人、見当たらないけど?」
「ラヴィに迷惑がかかると思いまして、森の外で待機させてますわ」
「え!?森の外で?流石に可哀想じゃない?あの辺何もないのよ?」
「言われてみれば確かにちょっと可哀想な気がしてきましたわ、頼んだら待ってくれましたし何も気になりませんでした。明日から一緒に来ますね」
「ちょっと待って、明日も来るつもり?」
「ええ、駄目ですの?駄目ならお父様にラヴィの事行ってしまいそうですわ~」
「分かったわよ!来ていいから言わないで!面倒ごとに私が巻き込まれるから!」
「毎日来ますわね!」
せっかく平和に暮らしていたのに、帝国の面倒ごとに巻き込まれるなんてまっぴらごめんよ。
「しょうがない、背に腹はかえられないか。ソフィアちょっとこっち来て」
「何ですの?」
ソフィアにあげたブローチに魔法をかけた。
「何をしましたの?」
「この森を自由に移動できるように魔法をかけておいたの。これで迷わず私の家に来れるし、森から自由に出れることもできるわ」
「これで自由に行き来できますのね!」
「そもそも普通の人間は出れないようにしてるの。だからここにくる時は絶対そのブローチを持って入りなさいよ。じゃないと私が見つけるまで永遠に森の中よ」
「わかりましたわ!毎日付けますの!」
別に毎日付けなくてもいいんだけど。まぁいいや。
「だから、今日のところはもう帰りな?」
「えー、まだ帰りたくないですわ」
「メイドを待たせてるんでしょ?それに明日も来るんでしょ」
「わかりました、今日はこの辺で帰らせていただきますわ。では、明日も今日と同じ時間に来ますわ」
ソフィアを1人で返そうと思ったけどちゃんと帰れるか心配だったから出口まで送って行った。よくよく考えると私が送ったら魔法かけた意味ないじゃない!
「なによー、うるさいわね。また誰かがこの森に入ったのかしら?」
渋々ドアを開けると、そこには昨日の少女が立っていた。
「あんたね、何でいるのよ?もう来ちゃダメって言ったでしょ?」
「魔女様にお礼がどーしてもしたくて来ちゃいました。それと、私はあんたではなく。ソフィア、ソフィア・ヴァイオレットと申します。ソフィア、とお呼びください」
「よく私の家が分かったわね、昨日は暗かったのに。....ってヴァイオレット?もしかしてあんたの父親ラルフ・ヴァイオレットだったりする?」
「ええ、父の名前がよく分かりましたわね。そんなことより、私はソフィアです!ソ!フィ!ア!わかりまして?」
「わかった、ソフィアね。うん、覚えたけど....」
ラルフ・ヴァイオレットって言ったら帝国皇帝の名前じゃない。つまりこの子は皇帝の娘!?
「ところで、魔女様のお名前はなんていいますの?」
「え?名前?無いわよ私に名前なんて。あえて言うなら魔女とか棘の魔女って呼ばれる事はあるけど?」
「なら私がつけてあげます!なにか好きなものとかありまして?」
「いいよ、名前なんて。どうせ呼ぶ人いないし」
現に私の知り合いは、買い物や売り物をするためだけに王都に数人いるくらいだし。私の正体は隠してるけど。
「友達もいないんですの?なら私が友達になって上げます!これなら名前も必要でしょ!」
「いいわよ、友達なんて」
「いえ、友達はもう決定事項です!で?好きなものわなんですの!」
「好きなもの?薔薇とか綺麗な花が好きよ」
「やっぱり!薔薇好きなんですのね!私も薔薇大好きですの!じゃあ今日から貴方はラヴィ!ラヴィ・ローズ!棘の魔女にぴったりじゃありません!」
「何で会ったばかりなのに私が薔薇好きって知ってんのよ?それに、ラヴィはわかるとしてローズってなによ?」
「ラヴィの家の庭に薔薇が沢山咲いてるのを見まして、もしやと思いましたの。ローズは遠い異国の言葉で薔薇と言うらしいですわよ」
「へー、意外と物知りなのね。しかも、もうラヴィ呼び出し.....。まぁいいわ、せっかくつけてくれたんだもの、今日から名乗らせてもらうわ」
自身ありげなソフィアの顔を見てるとこれ以上文句を言う気にはならなかった。
「あ、そうだ!忘れるところでしたわ。こちらを受け取ってくださいな」
「何よこれ?箱?」
「お礼をしに来たと言ったじゃありませんか!開けてくださいませ」
ソフィアから渡された箱を開けたけど何も入ってない。
「空じゃない」
「え!?中身を入れるの忘れてましたの!?
私としたことが中身を入れるのを忘れていましたわ。.....でしたら少しかがんでいただけます?」
「何するのよ?」
「いいから、かがんでくださいませ!」
私がかがむと、ソフィアが付けていたガラスと宝石で作られた青い薔薇の髪飾りを私に付けた。
「受け取れないよこんな高そうなもの。それにこれ、ソフィアのじゃないの?」
「いいんですわ。元々これの色違いをラヴィに差し上げるつもりでしたし。それにとってもお似合いですわよ」
「って言われてもなぁ.....。ちょっと待ってて」
私は寝室にあるものを取りに行った。
「少しじっとしててねー。ソフィアの服って穴開いても大丈夫?」
「え、えぇ大丈夫ですわ」
寝室から取ってきた蝶のブローチをソフィアに付けた。
「まぁ!可愛い!これを私に?」
「私の手作りだけどね、髪飾りと釣り合わないと思うけど貰って」
「そんなことございませんわ!絶対大事にします!」
とても嬉しそうなソフィアを見て、私も嬉しかった。
「そう思えばソフィアって、また1人でここに来たの?一応皇女様でしょ?」
「あら、私が皇女だってよく分かりましたわね。そんなこと一言も言ってはないのですけど?」
しまった、つい口が滑ってしまった。
「うふふ、安心してください、お父様にラヴィの事は内緒にしておりますの。それと私は1人で来ておりません、メイドと2人で来ましたの」
「言ってなくてよかった。メイド?そんな人、見当たらないけど?」
「ラヴィに迷惑がかかると思いまして、森の外で待機させてますわ」
「え!?森の外で?流石に可哀想じゃない?あの辺何もないのよ?」
「言われてみれば確かにちょっと可哀想な気がしてきましたわ、頼んだら待ってくれましたし何も気になりませんでした。明日から一緒に来ますね」
「ちょっと待って、明日も来るつもり?」
「ええ、駄目ですの?駄目ならお父様にラヴィの事行ってしまいそうですわ~」
「分かったわよ!来ていいから言わないで!面倒ごとに私が巻き込まれるから!」
「毎日来ますわね!」
せっかく平和に暮らしていたのに、帝国の面倒ごとに巻き込まれるなんてまっぴらごめんよ。
「しょうがない、背に腹はかえられないか。ソフィアちょっとこっち来て」
「何ですの?」
ソフィアにあげたブローチに魔法をかけた。
「何をしましたの?」
「この森を自由に移動できるように魔法をかけておいたの。これで迷わず私の家に来れるし、森から自由に出れることもできるわ」
「これで自由に行き来できますのね!」
「そもそも普通の人間は出れないようにしてるの。だからここにくる時は絶対そのブローチを持って入りなさいよ。じゃないと私が見つけるまで永遠に森の中よ」
「わかりましたわ!毎日付けますの!」
別に毎日付けなくてもいいんだけど。まぁいいや。
「だから、今日のところはもう帰りな?」
「えー、まだ帰りたくないですわ」
「メイドを待たせてるんでしょ?それに明日も来るんでしょ」
「わかりました、今日はこの辺で帰らせていただきますわ。では、明日も今日と同じ時間に来ますわ」
ソフィアを1人で返そうと思ったけどちゃんと帰れるか心配だったから出口まで送って行った。よくよく考えると私が送ったら魔法かけた意味ないじゃない!
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