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しおりを挟む寝室を出て角を曲がると、広いリビングが開けた。
「わぁ……」
そこには、ゆったりとしたソファが3つも置いてある。
中央には、ガラス天板のテーブル。
ふんだんにあしらわれた観葉植物に、華やかな熱帯魚の踊るアクアリウム。
広い窓から差す明るい光が、それらを素敵に輝かせていた。
そして……。
「いい匂い」
リビングの奥にはダイニングキッチンが広がり、そこから香ばしい匂いが漂ってきている。
途端に、ぐぅと鳴る、露希のお腹だ。
ふらふらと匂いにつられてキッチンへ行くと、そこには背の高い男が、エプロンを着て立っていた。
「起きたのか」
「あ、えと。あの……」
お腹すいた、と思わず口走った露希を、誠は愉快に笑う。
「昨夜から、そればかりだな。椅子に掛けて。今、ブランチの準備ができた」
そう、声を掛けてくれた誠の笑顔は、優しかった。
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