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人助けをしましょう
作戦を開始しました
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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
ホーホー。
こっちの世界でも、梟っているのね。
今は夜も夜。
そろそろ夜明けが近い、夜が一番深い時間に私たちはリュイエの町門を抜け出て、ナタンの手先が集まっている焚火の近くに潜んでいる。
結局、あのままローズさんとローズさんの呼びかけに集まった町のおじさんやお兄さん、お姉さんもいたけど、皆で作戦の遂行に必要なことを話し合い、チーム分けをし、即時解散した。
だって、作戦は夜中に始まるから、ちゃんと寝とかないとね!
私たちも馬車に戻りぐっすりと眠りました。
そして、町の外のゴロツキどもを懲らしめるのは、リュシアンとアルベール、私とリオネル。
元冒険者という町の有志の方々も参加しています。
ルネはナタンのいるゴダール男爵邸の作戦に参加してもらうので、セヴランと一緒に馬車で移動してもらっている。
私たちは、外を制圧したら冒険者ギルドへ行き、ギルドマスターたちの解放作戦へ移る。
「なんか・・・。お酒ばっかり飲んでいるけど、あいつら緊張感がないね」
「見張りをしている意識もないのでしょう。こちらとしては、相手が馬鹿で助かりますけどね。う~ん、でも強い奴はいませんね。リュシアンとリオネルが戻ってきたら、さっさっと片付けてしまいましょう」
「りょーかい!」
リュシアンとリオネルは、その俊足を活かして町の外に散ったナタンの仲間を倒して回っている。
倒した奴等は縄で縛り上げて、閉め出されていた町の人たちに回収を頼んでおく。
私が範囲魔法でやっつけても良かったけど・・・リオネルの無駄なやる気を発散させるために、先に暴れさせておいたのだ。
「リオネルにも困ったわね。まだ小さいのに、戦闘狂って・・・」
「白虎族ですからね。大人になればもう少し理性的になりますが、カリスマ持ちですから、暴れん坊の気性は治りませんよ」
・・・そうですか、戦闘狂なのは修正不可ですか・・・。
そんな危ない戦闘集団なのに、大人しく自分たちのテリトリーから出ないで生活しているって・・・謎の一族ね、白虎族って。
他にもいろいろとくだらない話をしている間に、笑顔満面のリオネルと、肩で息をしている疲労困憊なリュシアンが戻ってきた。
「お疲れ~。どうだった?」
「ぜぇーっ。ぜぇーっ。適当に、相手して、逃げる奴は、放っておけ、と言ったのに・・・。こんのバカは!全員、ボコボコにしやがって!余計な仕事が、増えたじゃねぇかっ!」
リュシアンは息が切れながらも説明してくれたし、時折り拳骨をリオネルの頭に落とすことも忘れなかった。
「お・・・お疲れさま。外に閉め出された町の人たちとも合流できた?」
コクンと頷くリオネル。
「倒した奴等と一緒に移動している。あー、疲れたけど、こっちも片付けようぜ。早くしないと夜が明けちまう」
私とアルベールは、顔を見合わせて強く頷き合う。
「じゃ、やりましょうか!」
町の人も武器を強く握って雄々しく立ち上がる。
リュシアンは、グイッと革袋から水を飲むと、やれやれと剣を抜く。
そして・・・。
「あ、まだ・・・」
止める間も無く、リオネルは跳ねるように悪党の輪に駆け込んでいった。
「もう!行くわよ!」
私たちもリオネルに遅れまいと、走り出す。
ぴょこ。
ナタンが居座るゴダール男爵邸の離れに押し込められていた、男爵夫人のブリジット様と年老いた使用人たちは、身を寄せ合っていた広間に突然姿を現した、丸っこい、小さな、幼い子供が作ったような土人形に目を丸くして驚いた。
ぴょこ。
もう一体、壁から生えて、そのままトコトコとブリジット様の方へと歩いてくる。
サッとブリジット様を守るように身を挺して庇う老執事の前に二体の土人形が並ぶと、体の中から丸められた紙を取り出し、ブリジット様へと差し出す。
「手紙・・・ですか?」
「奥様。私が」
ブリジット様の代わりに差し出された手紙を開き読み始める老執事の顔は、段々と喜色に満ちていき、読み終わる頃には笑顔で主人であるブリジット様へ手紙を渡していた。
そこには、今回のヴィーたちの作戦が書かれていて、ご子息のエミール君を保護していることも綴られていた。
ぴょこ。ぴょこ。ぴょこぴょこぴょこ。
「うわわわ!なんだ!こいつら」
天井からいきなり顔を出した五体の土人形に、ギルド職員として様々な経験をしてきた男も、思わず叫んでしまった。
ぽて。ぽて。ぽてぽてぽて。
天井からそのまま落ちてきた土人形は、床に打ち付けて歪んだ体を互いに直し合って、くるりとギルドマスターたちへと向きを変える。
「なんだ、こいつらは。ゴーレムか?随分、かわいいサイズだが・・・」
他のギルド職員が止めるのも聞かずに、ギルマスは土人形たちへ自分から近づき、片膝を付いてマジマジと観察する。
土人形はその熱視線に照れながらも、体に隠していた手紙を取り出すと、サッとギルマスに差し出した。
「うん?これは・・・」
疑いも無く手紙を手に取ると、くるくると巻かれていた紙を開き読み始めるギルマス。
そして、ニヤリと口元を歪めてみせた。
年末年始にかけて体調を崩してしまい、更新が滞りました。
申し訳ありません。
まだ、体調が戻りきらないのですが、今日から少しずつ更新していきたいと思います。
またお付き合いくださると嬉しいです。
皆さまも、お体ご自愛ください。
今年もよろしくお願いします。
ホーホー。
こっちの世界でも、梟っているのね。
今は夜も夜。
そろそろ夜明けが近い、夜が一番深い時間に私たちはリュイエの町門を抜け出て、ナタンの手先が集まっている焚火の近くに潜んでいる。
結局、あのままローズさんとローズさんの呼びかけに集まった町のおじさんやお兄さん、お姉さんもいたけど、皆で作戦の遂行に必要なことを話し合い、チーム分けをし、即時解散した。
だって、作戦は夜中に始まるから、ちゃんと寝とかないとね!
私たちも馬車に戻りぐっすりと眠りました。
そして、町の外のゴロツキどもを懲らしめるのは、リュシアンとアルベール、私とリオネル。
元冒険者という町の有志の方々も参加しています。
ルネはナタンのいるゴダール男爵邸の作戦に参加してもらうので、セヴランと一緒に馬車で移動してもらっている。
私たちは、外を制圧したら冒険者ギルドへ行き、ギルドマスターたちの解放作戦へ移る。
「なんか・・・。お酒ばっかり飲んでいるけど、あいつら緊張感がないね」
「見張りをしている意識もないのでしょう。こちらとしては、相手が馬鹿で助かりますけどね。う~ん、でも強い奴はいませんね。リュシアンとリオネルが戻ってきたら、さっさっと片付けてしまいましょう」
「りょーかい!」
リュシアンとリオネルは、その俊足を活かして町の外に散ったナタンの仲間を倒して回っている。
倒した奴等は縄で縛り上げて、閉め出されていた町の人たちに回収を頼んでおく。
私が範囲魔法でやっつけても良かったけど・・・リオネルの無駄なやる気を発散させるために、先に暴れさせておいたのだ。
「リオネルにも困ったわね。まだ小さいのに、戦闘狂って・・・」
「白虎族ですからね。大人になればもう少し理性的になりますが、カリスマ持ちですから、暴れん坊の気性は治りませんよ」
・・・そうですか、戦闘狂なのは修正不可ですか・・・。
そんな危ない戦闘集団なのに、大人しく自分たちのテリトリーから出ないで生活しているって・・・謎の一族ね、白虎族って。
他にもいろいろとくだらない話をしている間に、笑顔満面のリオネルと、肩で息をしている疲労困憊なリュシアンが戻ってきた。
「お疲れ~。どうだった?」
「ぜぇーっ。ぜぇーっ。適当に、相手して、逃げる奴は、放っておけ、と言ったのに・・・。こんのバカは!全員、ボコボコにしやがって!余計な仕事が、増えたじゃねぇかっ!」
リュシアンは息が切れながらも説明してくれたし、時折り拳骨をリオネルの頭に落とすことも忘れなかった。
「お・・・お疲れさま。外に閉め出された町の人たちとも合流できた?」
コクンと頷くリオネル。
「倒した奴等と一緒に移動している。あー、疲れたけど、こっちも片付けようぜ。早くしないと夜が明けちまう」
私とアルベールは、顔を見合わせて強く頷き合う。
「じゃ、やりましょうか!」
町の人も武器を強く握って雄々しく立ち上がる。
リュシアンは、グイッと革袋から水を飲むと、やれやれと剣を抜く。
そして・・・。
「あ、まだ・・・」
止める間も無く、リオネルは跳ねるように悪党の輪に駆け込んでいった。
「もう!行くわよ!」
私たちもリオネルに遅れまいと、走り出す。
ぴょこ。
ナタンが居座るゴダール男爵邸の離れに押し込められていた、男爵夫人のブリジット様と年老いた使用人たちは、身を寄せ合っていた広間に突然姿を現した、丸っこい、小さな、幼い子供が作ったような土人形に目を丸くして驚いた。
ぴょこ。
もう一体、壁から生えて、そのままトコトコとブリジット様の方へと歩いてくる。
サッとブリジット様を守るように身を挺して庇う老執事の前に二体の土人形が並ぶと、体の中から丸められた紙を取り出し、ブリジット様へと差し出す。
「手紙・・・ですか?」
「奥様。私が」
ブリジット様の代わりに差し出された手紙を開き読み始める老執事の顔は、段々と喜色に満ちていき、読み終わる頃には笑顔で主人であるブリジット様へ手紙を渡していた。
そこには、今回のヴィーたちの作戦が書かれていて、ご子息のエミール君を保護していることも綴られていた。
ぴょこ。ぴょこ。ぴょこぴょこぴょこ。
「うわわわ!なんだ!こいつら」
天井からいきなり顔を出した五体の土人形に、ギルド職員として様々な経験をしてきた男も、思わず叫んでしまった。
ぽて。ぽて。ぽてぽてぽて。
天井からそのまま落ちてきた土人形は、床に打ち付けて歪んだ体を互いに直し合って、くるりとギルドマスターたちへと向きを変える。
「なんだ、こいつらは。ゴーレムか?随分、かわいいサイズだが・・・」
他のギルド職員が止めるのも聞かずに、ギルマスは土人形たちへ自分から近づき、片膝を付いてマジマジと観察する。
土人形はその熱視線に照れながらも、体に隠していた手紙を取り出すと、サッとギルマスに差し出した。
「うん?これは・・・」
疑いも無く手紙を手に取ると、くるくると巻かれていた紙を開き読み始めるギルマス。
そして、ニヤリと口元を歪めてみせた。
年末年始にかけて体調を崩してしまい、更新が滞りました。
申し訳ありません。
まだ、体調が戻りきらないのですが、今日から少しずつ更新していきたいと思います。
またお付き合いくださると嬉しいです。
皆さまも、お体ご自愛ください。
応援ありがとうございます!
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