上 下
49 / 69

48

しおりを挟む


面白そうな令嬢が来店して何やら因縁?をつけられました。

あまりの場違いなドレス姿と

鉄板悪役令嬢の様な台詞に

こめかみ、

口元の筋肉を強制停止させていると

反応しない私にシビレを切らし又何やら言ってきます。

「お前!

お前に言っているのです。

私が態々この様なみすぼらしいお店にまで来て進言しているのです。

この先も貧民の餌を作り続けたいと思うならさっさと国に帰りなさい!」

……う~ん。

この令嬢と

令嬢の後ろで剣に手を添え

此方に何とも嫌な視線を送ってくる護衛は

城に居たおバカさん達と同じ人種なのでは?


おバカさん達は一掃されたと

聞いていたのですが、


親は一掃されても

その子供や私兵にまでは手を伸ばしていないという事なのかな?

そんな事を考えていて

今だに声を発しない私に

令嬢はますます怒りだし

護衛は剣を抜きました。


護衛が剣を抜いた瞬間、


「おいおいこいつ等何なんだ?」

突然火の王の声が聞こえたと思ったら

火の王だけでなく

六人の王の姿が私の周りを取り囲みます。


「アレ?どうしました?」

私の普通の返答に

「どうしたじゃない。」

「敵意受けてる」

地の王と闇の王の突っ込み頂きました~。

「敵意を受けてるのに楽しそうですねぇ?」

??

楽しい?

ああそう言われれば


「確かに少し面白いなぁと思ったかな?」

光の王に答えていたのに

令嬢達は自分達が馬鹿にされたのだと勘違いし

更に怒り出しました。

「私の事を馬鹿にしたわね!
この年増!」

そう言いながら手を振り上げたのと同時に前後から叫び声が聞こえました。

「レオナルド様!」


「真由実さん!」

前者は知らない若い男性。

後者は厨房から出て来たレオナルドさん。

2人が出て来たと同時にお互いを見つめてハッとする。


「レオナルド様。
伯爵令嬢は?」

見知らぬ男性がレオナルドに聞く。


レオナルドは男性の問いには答えず真由実を見つめて無事を確かめる。

レオナルドの視線の先の真由実を見た見知らぬ男性は

真由実の周りに居る精霊王達が見える様で突然青ざめ

片膝をつき頭を下げだした。


「高位の精霊様方と真由実様とお見受け致します。

私、レオナルド様の従者をしております

オンハルトと申します。

どうぞ宜しくお願い致します。」

そういえば普通の人には

精霊王の事は見えないし

声も聞こえなかったんだっけ?

この人には見えるんだ。

レオナルドさんには見えてない様だから

上手く誤魔化してもらわないと

流石に六人も居たら不味いのでは?

平静を装い

心の中で盛大に焦っていると

光の王がオンハルトと言う男性に念話の様なもので説明してくれるそうです。

「高位の精霊様?方?

…それより真由実さん!
大丈夫でしたか?

伯爵令嬢に手を上げられそうになっていましたが。」



「あっ、そうでした」

先程居た令嬢は伯爵令嬢だったそうで

今はこの場に居ません。

私は悪意を示したので結界が反応して敷地外に転移しています。

勿論護衛の中年男性もです。

護衛の方は剣を抜いた時点でこの場から消えていたのですが

令嬢は気が付く事なく私に手を上げ様としたのです。

手を上げて消えるのと同時にオンハルトと言う男性と

レオナルドさんが顔を出したのです。

「悪意や敵意がある人間は入れない筈なのに…」

ブツブツと言うレオナルドさんの言う様に

本来なら私に対して悪意や敵意があれば敷地内に入る事が出来無い筈なのに

今回令嬢と護衛は入って来れました。

そう言われればそうだなと思っていたら闇の王の呟きが

「真由実の認識。」

???

私の認識?

光の王が苦笑いをしながら補足してくれた内容によると

最初令嬢は、私の事をハッキリと認識してない状態で

自分より下の人間だと見下していたので悪意や敵意では

ただ命令する為に来た為
敷地に入れたと。

入って
ただ見下していた相手が

自分の事を無視し
さらには馬鹿にされたので

敵意を持ち出したのだと。


実行に移して初めて敵意、悪意と認識されやっと結界が反応したという事らしいです。

「ほぉぅ。
そうだったんだ~。」

私が見えない相手と会話して納得しているので

レオナルドさんは困惑している様でしたが

オンハルトさんという従者さんが説明して納得した様に頷いています。

「う~ん…

真由実さん個人の事を認識しないと反応しない場合もあるのは危険ですから

もっと設定を広範囲に組み換えしておかなければ…」

そんな事を言い出すレオナルドさんに闇の王が反応します。

「もう結界、張った。」



闇の王がかけた結界とは

闇魔術の呪術の内の一つで

この敷地に関する人や物事に対して

少しでもマイナス要素があれば

敷地内の存在を認識出来無い様に反応したり

そもそも良くない事を考えてる時点で

中に入れない様にし

中に入った後でも

私を含めて危害を加え様とした時点で追い出されるという


何ともご都合主義なチート結界であり

このチートな結界を簡単かつあっという間にすませてしまった能力から

ただの高位な精霊ではなく

精霊王なのでは?

とばれてしまいました。

従者さんには全員見えているので

1人が王だとバレると
皆王だという事がバレてしまいます。

……さてさて、どう説明しましょうか?

困った状態の中

先に口を開いたのは従者さんでした。

「真由実様。
精霊様もいらっしゃるので
この場でお願いがございます。

是非に私もレオナルド様と共に
真由実様に
うどん作りの技法を伝授して頂きます様お願い致します。」





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ヴィオレットの夢

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:45,814pt お気に入り:818

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:440pt お気に入り:134

オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,474pt お気に入り:615

毒花令嬢の逆襲 ~良い子のふりはもうやめました~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:101,593pt お気に入り:3,136

処理中です...