体臭

第9回ライト文芸大賞 参加中! 現在の順位:544位 / 1,730件
「その匂いだけは、ずっと嫌じゃなかった。」
――“におい”から始まる、静かであたたかい再会の物語。

図書館司書として働く28歳の綾香は、極度の嗅覚過敏を抱えながら日々を生きている。
満員電車の香水、職場の柔軟剤、すれ違う誰かの整髪料……「におい」が原因で、人との距離をうまく取れずにきた。

そんな彼女がある日、返却された古本に、ふと“懐かしい匂い”を感じる。
それは高校時代、美術室の午後に隣にいた、あの人の匂いだった。

名前も声も交わせなかった過去。
けれど「匂い」だけが記憶の中で確かに残っていた。

静かにすれ違う再会。
香りでしか距離を測れなかった彼女が、はじめて“人と寄り添う”ことを願いはじめる──。

「匂いは、思い出じゃない。
 いまも、ここにいる証なんだ。」

五感が揺れる、心の再生ストーリー。
24h.ポイント 49pt
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