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92.たくさんお菓子を作ったよ
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セーレが迎えに来てくれたので、手を繋いで地下まで降りる。残念がってたけど、パパはお仕事だからバイバイした。泣きそうだったけど、パパ大丈夫かな。僕がいないと寂しいのかも。
「材料を測りましょう。今日は焼き菓子ですよ」
セーレが教えてくれる粉を、言われた量だけ別の器に入れる。それを繰り返したら、次は粉を混ぜていく。それから玩具みたいな道具で細かくした。卵を割るんだけど、すっごく大きい。僕が抱えてる縫いぐるみくらいで、全部は多過ぎるんだって。
割った卵の中身は青くて、でも混ぜたら黄色くなった。それを半分だけ粉に入れる。あとは両手でこねこねした。べとべとする粉が少しずつ固まって、それを平らにする。この辺は難しいからセーレに頼んだ。平らになった卵色のを、生地と呼ぶんだよ。お洋服みたい。
生地にいろんな型を押す。隣とくっつかないようにして、ぐっと重さを掛けた。蹄の形や丸、それからお花の型もあった。あとは知らない形だね。後で教えてもらおう。周りをセーレが捲ると、綺麗な形が残る。焼いたら終わりなんだ。
簡単だけど、きっと僕だけじゃ出来ない。セーレが用意してくれないと、粉も分からないし、卵だって全部入れたかも。焼いている間に時間があるから、僕は違うお菓子も挑戦した。
残った卵に牛さんのお乳入れて、混ぜてからガラスの器に注ぐの。いっぱい溢れちゃったけど、セーレが拭いてくれたら綺麗になった。これは別の方法で温めるんだよ。僕が前に食べたプリンになるの。
「さすがカリス様だ。上手に出来たよ」
ちょうど焼き菓子が出来て、僕はセーレと一緒にジャムを乗せた。半分はジャムで色をつけて、半分はそのままにする。甘いジャムを僕は好きだけど、アガレスはあまり好きじゃないの。皆が美味しく食べるには、たくさんの種類を作る方がいいよね。
「プリンはまだ?」
「蒸した後で冷やしますから、夜のデザートにしましょう」
「わかった! パパと楽しみにしてる」
綺麗に包んだお菓子を入れた籠を持って、僕はセーレと階段を登る。抱っこしてくれると言ったんだけど、今日は頑張るんだ。途中でセーレが籠を預かってくれた。疲れちゃった僕だけど、階段は全部登れたんだよ。
「カリス様がこんなに頑張り屋さんだと、陛下はご存じなのかしら」
「僕はまだ出来ないことばかりだから、いっぱいお勉強してパパのお手伝いするの」
「おや。陛下は愛されてますね」
「違うよ、僕が愛されてるの」
パパは僕に大好きだ、愛してるって言う。すごく嬉しい。僕のこと大切にしてくれて、褒めてくれるんだもん。でもね、もしパパが僕を褒めてくれなくても、僕はパパを好きだよ。あんなに優しい目で僕を見る人、いないから。
部屋の前で、セーレが差し出した籠を受け取る。大人みたいに、コンコンとノックして。アガレスが開けた扉をくぐる。すぐに立ち上がったパパが僕を抱き寄せた。ちょっと汗掻いてるから離れて。
「歩いてきたのか」
「うん! ちゃんと一人で歩いたよ」
ねっ? と振り返った僕にセーレも頷いた。僕がどれだけ頑張ったのか、パパやアガレスに話してくれる。その間にマルバスがお茶を用意した。
「さあ、セーレも一緒にどうぞ」
アガレスに言われ、帰ろうとしたセーレを僕も引き止めた。せっかくだから一緒に食べたらいいよ。パパのお膝に座る僕の正面にセーレの席が用意される。アガレスとマルバスもテーブルについた。
「これは蹄の形で、これはお花。それから……こっちは何だろう」
説明の途中で首を傾げる僕に、セーレが残りを引き受けた。猫に兎、剣や星もあったんだね。皆で一緒に食べるお菓子は、いつもより美味しかった。
「材料を測りましょう。今日は焼き菓子ですよ」
セーレが教えてくれる粉を、言われた量だけ別の器に入れる。それを繰り返したら、次は粉を混ぜていく。それから玩具みたいな道具で細かくした。卵を割るんだけど、すっごく大きい。僕が抱えてる縫いぐるみくらいで、全部は多過ぎるんだって。
割った卵の中身は青くて、でも混ぜたら黄色くなった。それを半分だけ粉に入れる。あとは両手でこねこねした。べとべとする粉が少しずつ固まって、それを平らにする。この辺は難しいからセーレに頼んだ。平らになった卵色のを、生地と呼ぶんだよ。お洋服みたい。
生地にいろんな型を押す。隣とくっつかないようにして、ぐっと重さを掛けた。蹄の形や丸、それからお花の型もあった。あとは知らない形だね。後で教えてもらおう。周りをセーレが捲ると、綺麗な形が残る。焼いたら終わりなんだ。
簡単だけど、きっと僕だけじゃ出来ない。セーレが用意してくれないと、粉も分からないし、卵だって全部入れたかも。焼いている間に時間があるから、僕は違うお菓子も挑戦した。
残った卵に牛さんのお乳入れて、混ぜてからガラスの器に注ぐの。いっぱい溢れちゃったけど、セーレが拭いてくれたら綺麗になった。これは別の方法で温めるんだよ。僕が前に食べたプリンになるの。
「さすがカリス様だ。上手に出来たよ」
ちょうど焼き菓子が出来て、僕はセーレと一緒にジャムを乗せた。半分はジャムで色をつけて、半分はそのままにする。甘いジャムを僕は好きだけど、アガレスはあまり好きじゃないの。皆が美味しく食べるには、たくさんの種類を作る方がいいよね。
「プリンはまだ?」
「蒸した後で冷やしますから、夜のデザートにしましょう」
「わかった! パパと楽しみにしてる」
綺麗に包んだお菓子を入れた籠を持って、僕はセーレと階段を登る。抱っこしてくれると言ったんだけど、今日は頑張るんだ。途中でセーレが籠を預かってくれた。疲れちゃった僕だけど、階段は全部登れたんだよ。
「カリス様がこんなに頑張り屋さんだと、陛下はご存じなのかしら」
「僕はまだ出来ないことばかりだから、いっぱいお勉強してパパのお手伝いするの」
「おや。陛下は愛されてますね」
「違うよ、僕が愛されてるの」
パパは僕に大好きだ、愛してるって言う。すごく嬉しい。僕のこと大切にしてくれて、褒めてくれるんだもん。でもね、もしパパが僕を褒めてくれなくても、僕はパパを好きだよ。あんなに優しい目で僕を見る人、いないから。
部屋の前で、セーレが差し出した籠を受け取る。大人みたいに、コンコンとノックして。アガレスが開けた扉をくぐる。すぐに立ち上がったパパが僕を抱き寄せた。ちょっと汗掻いてるから離れて。
「歩いてきたのか」
「うん! ちゃんと一人で歩いたよ」
ねっ? と振り返った僕にセーレも頷いた。僕がどれだけ頑張ったのか、パパやアガレスに話してくれる。その間にマルバスがお茶を用意した。
「さあ、セーレも一緒にどうぞ」
アガレスに言われ、帰ろうとしたセーレを僕も引き止めた。せっかくだから一緒に食べたらいいよ。パパのお膝に座る僕の正面にセーレの席が用意される。アガレスとマルバスもテーブルについた。
「これは蹄の形で、これはお花。それから……こっちは何だろう」
説明の途中で首を傾げる僕に、セーレが残りを引き受けた。猫に兎、剣や星もあったんだね。皆で一緒に食べるお菓子は、いつもより美味しかった。
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