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パラレル【サポート特典SS】※2022/12/28公開
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ゲーティアの城の庭に作った池を覗き込む。僕の毎日の習慣だった。お魚がたくさん食べられるように、パパ達と作った池なの。ベロが隣で一緒に覗き込んだ。ベロはケルベロスという種類の犬で、僕のお友達だよ。虹色のお魚や青いお魚、赤いのもいる。手を入れて呼ぶと、皆寄ってきた。
食べるのが可哀想になっちゃう。近くのお魚を撫でて、遠くのお魚も撫でてあげようと手を伸ばした。届かなくて身を乗り出す。あっ! つるっと足が滑った。つま先に掛かっていた力が抜けて、僕は逆さまになって池に落ちる。
ぼちゃん……ひやっとして、目を開けたら知らない場所だった。
「ここ、どこ?」
パパのお城がない。池も僕達が作った丸いのじゃなくて、森にある本物の湖みたい。僕が座ってるのは浅い場所で、一緒にベロも付いて来ていた。
くーんと鼻を鳴らし、僕の顔をぺろぺろと舐める。よかった、僕もベロもケガしていないし、一人じゃないから怖くないね。パパがお迎えに来るまで、この近くにいよう。遠くへ歩いていくと、パパが見つけづらくなっちゃうから。
以前に言われたアガレスの注意を思い出す。逸れたら動かない。お迎えが来るまで近くにいること。それから、知らない人に付いて行かない。指を折って繰り返した僕は、唸るベロに気づいた。
「どうしたの? ベロ」
僕の前で唸り続けるベロが「ばぅ!」と吠えた。その先の茂みが揺れて、パパと同じ黒髪の男の子が顔を見せる。真っ赤な色の目がすごく綺麗。苺みたいな色だ。ベロが飛び掛かろうと姿勢を低くしたので、慌てて「ダメだよ」と止めた。
いきなり知らない人を噛んだらダメ。パパに言われたでしょ。そう話しかけて、ベロの頭を撫でてあげる。しょんぼりした様子だけど、大人しく座ったベロをたくさん褒めた。尻尾がいっぱい振られてる。ベロのご機嫌、直ったね。
「どうしたんだ? カイ」
後ろから綺麗な女の人が現れた。最初に来た黒髪の子は、カイと言うお名前なんだね。くるっと振り向いたカイは、お姉さんに抱き着いた。
「アスティ、この子と遊びたい」
「きちんとお願いしておいで」
大きく頷いたカイは、ベロを抱き締める僕の近くまで来た。真っ赤な目と僕の青い目が見つめ合う。にこっと笑ったのは、僕は君を嫌いじゃないよと伝えるため。
「僕、カリスって言うの」
「カイだよ。その犬も一緒に遊ぼう?」
「うん。パパがお迎えに来るから、それまででいい?」
時間がいつまでか分からない。まだお日様が天辺にあるけど、夕方までお仕事してから来るかも知れないし、すぐに迎えに来るかも。そう伝えたら、カイはいいよと手を伸ばした。触れると僕より指先が温かい。あ、僕は水に座ってたから冷えてるんだ。
ざばっと湖の端で立ち上がり、手を繋いで走った。少し先に花畑があるんだって。ベロも後ろを駆けてくる。湖が見える距離なのを確かめて、一緒に花畑で遊び始めた。風が吹いて「くしゅん」とくしゃみをしたら、さっきのアスティお姉さんが魔法で乾かしてくれた。
「ありがとう」
お礼を言って、また遊ぶ。たくさん花を摘んで、僕は編み始めた。アモンが上手なんだ。教えてもらったんだよ。やり方を見せたら、カイも花を丸く編んでいく。冠くらいの大きさにして留める。僕が作ったのはベロの頭に乗せた。それを見てカイはアスティに渡す。
仲のいい二人に、ちょっとだけ寂しくなった。パパ、まだかな。ぎゅっとベロを抱き寄せて鼻を啜る。
「カリス!」
「パパだ」
大好きなパパの声に振り返り、走り出す。後ろをベロが付いてきて、途中で鼻を使い、器用に僕を背中へ乗せた。跨ったベロがパパの足元に到着し、脇に手を入れたパパに抱き上げてもらう。
「パパが来たから、またね」
「うん! またね、カリス」
アスティに抱っこされたカイが手を振ってくれる。僕も目いっぱい振ってパパに抱き着いた。パパが魔法で移動したら、すぐにアガレスやマルバスが駆け寄り、ミカエルも涙ぐんでいた。何かあったのかな? でも皆は「もう大丈夫」って僕を撫でる。よく分からないけど、頷いた。
空はいつの間にか夕暮れ。夜のご飯を食べる間、僕は今日できたお友達の話をした。とても楽しかったこと、でもパパ達がいなくて寂しかったこと。皆はうんうんと聞いてくれた。
カイ、また会えるといいな。
*********************
カクヨム有料ユーザー様のリクエストでした。
虐待された幼子は魔皇帝の契約者となり溺愛される & 世界を滅ぼす僕だけど、愛されてもいいですかのパラレル世界です。
食べるのが可哀想になっちゃう。近くのお魚を撫でて、遠くのお魚も撫でてあげようと手を伸ばした。届かなくて身を乗り出す。あっ! つるっと足が滑った。つま先に掛かっていた力が抜けて、僕は逆さまになって池に落ちる。
ぼちゃん……ひやっとして、目を開けたら知らない場所だった。
「ここ、どこ?」
パパのお城がない。池も僕達が作った丸いのじゃなくて、森にある本物の湖みたい。僕が座ってるのは浅い場所で、一緒にベロも付いて来ていた。
くーんと鼻を鳴らし、僕の顔をぺろぺろと舐める。よかった、僕もベロもケガしていないし、一人じゃないから怖くないね。パパがお迎えに来るまで、この近くにいよう。遠くへ歩いていくと、パパが見つけづらくなっちゃうから。
以前に言われたアガレスの注意を思い出す。逸れたら動かない。お迎えが来るまで近くにいること。それから、知らない人に付いて行かない。指を折って繰り返した僕は、唸るベロに気づいた。
「どうしたの? ベロ」
僕の前で唸り続けるベロが「ばぅ!」と吠えた。その先の茂みが揺れて、パパと同じ黒髪の男の子が顔を見せる。真っ赤な色の目がすごく綺麗。苺みたいな色だ。ベロが飛び掛かろうと姿勢を低くしたので、慌てて「ダメだよ」と止めた。
いきなり知らない人を噛んだらダメ。パパに言われたでしょ。そう話しかけて、ベロの頭を撫でてあげる。しょんぼりした様子だけど、大人しく座ったベロをたくさん褒めた。尻尾がいっぱい振られてる。ベロのご機嫌、直ったね。
「どうしたんだ? カイ」
後ろから綺麗な女の人が現れた。最初に来た黒髪の子は、カイと言うお名前なんだね。くるっと振り向いたカイは、お姉さんに抱き着いた。
「アスティ、この子と遊びたい」
「きちんとお願いしておいで」
大きく頷いたカイは、ベロを抱き締める僕の近くまで来た。真っ赤な目と僕の青い目が見つめ合う。にこっと笑ったのは、僕は君を嫌いじゃないよと伝えるため。
「僕、カリスって言うの」
「カイだよ。その犬も一緒に遊ぼう?」
「うん。パパがお迎えに来るから、それまででいい?」
時間がいつまでか分からない。まだお日様が天辺にあるけど、夕方までお仕事してから来るかも知れないし、すぐに迎えに来るかも。そう伝えたら、カイはいいよと手を伸ばした。触れると僕より指先が温かい。あ、僕は水に座ってたから冷えてるんだ。
ざばっと湖の端で立ち上がり、手を繋いで走った。少し先に花畑があるんだって。ベロも後ろを駆けてくる。湖が見える距離なのを確かめて、一緒に花畑で遊び始めた。風が吹いて「くしゅん」とくしゃみをしたら、さっきのアスティお姉さんが魔法で乾かしてくれた。
「ありがとう」
お礼を言って、また遊ぶ。たくさん花を摘んで、僕は編み始めた。アモンが上手なんだ。教えてもらったんだよ。やり方を見せたら、カイも花を丸く編んでいく。冠くらいの大きさにして留める。僕が作ったのはベロの頭に乗せた。それを見てカイはアスティに渡す。
仲のいい二人に、ちょっとだけ寂しくなった。パパ、まだかな。ぎゅっとベロを抱き寄せて鼻を啜る。
「カリス!」
「パパだ」
大好きなパパの声に振り返り、走り出す。後ろをベロが付いてきて、途中で鼻を使い、器用に僕を背中へ乗せた。跨ったベロがパパの足元に到着し、脇に手を入れたパパに抱き上げてもらう。
「パパが来たから、またね」
「うん! またね、カリス」
アスティに抱っこされたカイが手を振ってくれる。僕も目いっぱい振ってパパに抱き着いた。パパが魔法で移動したら、すぐにアガレスやマルバスが駆け寄り、ミカエルも涙ぐんでいた。何かあったのかな? でも皆は「もう大丈夫」って僕を撫でる。よく分からないけど、頷いた。
空はいつの間にか夕暮れ。夜のご飯を食べる間、僕は今日できたお友達の話をした。とても楽しかったこと、でもパパ達がいなくて寂しかったこと。皆はうんうんと聞いてくれた。
カイ、また会えるといいな。
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カクヨム有料ユーザー様のリクエストでした。
虐待された幼子は魔皇帝の契約者となり溺愛される & 世界を滅ぼす僕だけど、愛されてもいいですかのパラレル世界です。
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ヽ(=´▽`=)ノカリスちゃん、新しいお友達ができて 良かったね。とても、ほっこりしました。お年玉ありがとうございます(>ω<)
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お久しぶりです(^ω^)
カリスとカイ !(((o(*゚∀゚*)o)))
すっごいコラボ!
ありがとうございます!
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