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第27章 最後の聖獣きたーっ!

173.コンプリートしてた(2)

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「ボスがボスを撫でまわしてるぞ」

「意外とイケる」

 なにやら不穏な言葉が聞こえるが、そこへ白トカゲが足元から飛び出した。チビドラゴン姿で、何かを掴んでいる。

「手伝うよ」

 フルーツ狩りに行ったオシャレ竜を手伝うため、彼が掴む枝を引っ張った。果物を狩りに行った彼の茶色い枝は、先端に果物が実ってるのが常識だ。オレは間違ってない。

 ずるりと引き出した枝の先に、大量の虫がついてた。もぞもぞ動く姿に悲鳴をあげて放り出す。

「スノー! 何やってんのさ!! 虫じゃん、果物じゃないだろ、これ」

「「「ボス、これは果物だぞ」」」

 口を揃えて嘘つくな、この傭兵どもが……って、え? この虫もどきが果物枠なの??

 スノーが枝を地面に落とす。それをよく見ると、イモ虫系に見えた。ゆさゆさ揺れる枝を受け取ったジャックが手に持ち、他の傭兵連中は目を輝かせて虫を収穫していく。いや、虫だから捕獲? 果物だから収穫であってるのか。

 混乱しながら、ノアが渡す1匹を手のひらに乗せた。柔らかそうなイモ虫だ、薄い緑色で、こげ茶の目が2つ、頭の方に赤い部分があって、逆さにしても転がしてもイモ虫だった。

「本当に果物なの?」

「間違いない。動いているように見えるが、皿の上に置けば動かないとわかるぞ」

 言われて皿の上に置くと、確かに動かなかった。枝についていた時はわさわさ蠢いたのに。ジャックはご馳走だと喜ぶし、ノアも食べる気でいるらしい。

 オレが用意したマンゴーと苺の器に、容赦なく果物と言い張るイモ虫っぽいのを放り込まれた。

「うう……絶対騙されてるよな、オレ」

 嘆くオレの肩に飛び乗ったスノーが首をかしげ、手にしたイモ虫を見つめる。何を思ったのか、オレの口に押し付けた。文句を言えば口に虫が入ると引き締めたため、無言の攻防が繰り広げられる。

 柔らかなイモ虫が唇を柔らかく押した。無理に拒むと潰れそうで怖いが、口に入ったらもっと怖い。スノーの小さな手が片方鼻に伸ばされ、ひょいっと摘んだ。

 呼吸が出来なくなるっ!! 文句を言うために開いた口に、イモ虫がするりと入り込んだ。

「こらっ……うわぁあああ!! ん? え? 何これ」

 口の中でイモ虫が弾け、甘酸っぱい味が広がった。あれだ、食感はゼリーが近い。柔らかすぎず少し硬いゼリーで、飲むより噛むタイプ。でもグミほど硬くない。味はブルーベリーとキウイフルーツを足して割った感じで、酸味が強かった。

「だから言っただろ、果物でキベリだ」

 キウイとベリーを混ぜた名前に、乾いた笑いが漏れた。この世界って、意外と前世界の知識で切り抜けられるように出来てるんだな。カミサマが拐ってきた異世界人の多さを思いながら、名付けたのが異世界人であると確信が持てた。
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