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第29章 貴族連合って何?

197.夜営なら森だろ(1)

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 あきらかに股間とか濡れてるから、漏らしちゃったんだろうな~。他人事なので冷めた感想でそんなことを呟く。傭兵達は「自業自得」と突き放した感想だった。

 この辺はサバサバしている。ひとまず下ろすように言わないと、彼らが再起不能になりそうだ。

「コウコもスノーもお疲れさん。降ろしていいよ」

 オレの言葉に彼と彼女は素直に従った。掴んでいた爪や指をぱっと離したのだ。人間は聖獣と違い、空を飛べない種族だというのに。そしてこの世界は落下する重力が存在した。

「うわぁあ!」

「助け……っ」

「ぐぎゃあ、うっ」

 一気に落下する襲撃犯に傭兵が駆け寄る。てっきり助けるのかと思ったら、落ちて骨折するまで放置した。あの高さから落ちて骨が折れない奴の方が少なく、無事だった奴も痣や打身は避けられない。全身が痛み呻く男達は、あっという間に後ろ手に拘束された。

 見ているだけで何もすることなかったよね、オレ。こういう場面では、本当に役立たずですまない。

「なんだろう、手際がいい」

「慣れてるからな」

 ぼそっと指摘したら、ノアが苦笑いした。傭兵は正規兵が嫌がる荒事に駆り出されるため、暴徒の鎮圧や騒動の中へ突っ込むことに慣れているそうだ。

『ちゃんと降ろしたわ』

 しゅるりと蛇サイズに戻ったミニ龍が腕に絡みつく。赤い舌をちらちらさせながら、ご機嫌そのものである。

「あれは降ろしたんじゃなくて、落としたんだろ」

『あっは、主様は面白いこと言いますね』

 なぜかツボに入ったスノーに褒められた。冗談言ったつもりはないが、言葉尻を捉えた物言いが気に入ったんだろう。肩に飛び乗ったスノーもチビドラゴンに戻っていた。

 彼らは変温動物系だから、子供体温のオレに張り付くのが好きみたいだ。冷たい鱗を手のひらで何度も撫でてやり、尻尾を振りながら近づくヒジリの喉も掻いた。

「こっちの損害あったら報告」

 声を張り上げると、ユハから答えがあった。

「ジークさんのところの新人がケガ。かすり傷だ」

「絆創膏貼っとけ」

 収納から取り出して放り投げる。受け止めた近くの傭兵が、顔をしかめる新人の肩にぺたりと乗せた。血を拭き取らずに貼れるのは便利だ。これぞ異世界の魔法だよ、オレの夢見てた世界とはちょっと違うが。

「キヨ、進軍するのか?」

「情報戦始まったから、数日足踏みかな。街中と森だったら、どっちがいい?」

 夜営場所を問うと、口々に「森」と帰って来た。そうだよな、結界があって襲われる心配なく寝れるなら、人が多い街中より森の方が安全だ。何しろ近づいてくるのは動物か、魔物だからな。片っ端から倒して問題なし。
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