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目を覚ましてからあれやこれやと私の心配をするリリノアと精霊達と、そんな彼女らの背後でこちらを見ながら苦笑を浮かべるウィング。

すると、唐突に部屋の真ん中に真っ黒な空間が生まれたかと思うとそこからホリーとネスの二人が姿を現した。

『やっほー、オリヴィア!』

『……やっほ』

満面の笑顔で片手を上げながら私の名を呼ぶホリーと、その後ろからひょっこりと顔を覗かせながら照れたように笑うネス。

ウィングはそんな二人を見ながらクスリと笑うと、ネスに近付いてから彼の頭に手を置きながら『久し振りだな、ネス』と一言口にした。

そうするば、少しだけ顔を俯かせて『うん』と言って私の後ろに張り付くネスと、そんなネスを見ながら顔を見合わせて微笑み合うホリーとウィングの二人。
 
私はそんな彼らに困惑しながらふとこちらの顔を覗き込みながらと不安そうな声色で「お嬢様……?」声を掛けてきたリリノアの方に目を向けた。

「……あぁ、大丈夫よ。ちょっとみんなのことを見ていただけ」

すると、リリノアは私の言葉に「そうですか」とほっとしたように微笑むと、続けて私にこんな事を聞いてきた。

「あの、お嬢様。少し聞き辛いことではありますが、いつから精霊達のことが見れるようになったんですか?それになんだか彼らもお嬢様を気に入っていたような気もするのですが……」

ほんの少しだけ申し訳なさそうな顔をして彼ら精霊達に関してのことを尋ねてくる目の前の彼女。

そして、それを聞いてどう答えるべきか悩んでいる私を見ていたなりホリーがリリノアに対して冷たい瞳を向けながらこんなことを言ってきた。

『オリヴィア、彼女の記憶を消して』

真っ直ぐリリノアを見てそういう彼と、出来ることなら今後の為にも彼女に手伝って欲しい私。

私は『早く』と言ってくるホリーに対して少し悩みながむらも首を横に振った。

「嫌よ。リリノアには今後私の手伝いを沢山して欲しいもの」

途端に『何を手伝ってもらうっていうのさ!』と私の言葉に噛み付くホリーと、そんなホリーに『落ち着け』と告げるウィング。

私はホリーがウィングに宥められて口を閉ざしたのを見ながらこう口にした。

「恐らく私がもう少し大きくなったらレザラード学園に入学する。その時に、学園のルールにメイドの同伴っていうものがあるのよ」

『メイドの同伴?オリヴィアはここから居なくなるの?』

こてりと不思議そうに首を傾けるホリーを含めたその場にいる妖精達。 

私はそんな彼らを見て頷いた。

「えぇ、私の記憶が確かなら私が行くことになる学園は寮制の学園だから卒業するまでは学園での生活になるわね」

すると、一斉に騒めき立つ妖精達と露骨に大口を開けて固まるホリーやウィング達。

そして、暫く間を開けたところでリリノアが気まずそうにしながら「あの……」と言ってきたので私はまず初めに彼女から聞かれた質問に答えることにした。

「私がいつから妖精が見えてどうして仲がいいって言うことよね?」

「あ、はい」

「まぁ、簡単にまとめると最初に彼らが見えるようになったのは赤ちゃんの頃。で、彼らに気に入られたのもその時からね。でも、その頃に上位妖精の炎と水を司っている上位妖精の二人が私に怪我をさせたらしくて記憶を司っている上位妖精が私の中から妖精という存在を消したの。それで私自身もつい最近までは妖精が見えなかったけど、何故かまた妖精が見えるようになって続々と上位妖精の彼らが私の前に現れて色々教えてくれてるのよね」

そうすれば、成程と相槌を打つリリノアと自身の後ろで『そうそう~!』と騒ぐホリー。

私は騒ぐホリーを無視しながら彼女に「このことは誰にも言わないで欲しいんだけどお願いしても大丈夫?」と尋ね、彼女が「分かりました」と言ったのを確認してから更に「あとこれは出来ればいいんだけど、私が学園に行く時に着いてきて欲しいんだけどそれもお願いしてもいい……?」と首を傾けてみれば迷いなく頷く目の前の彼女。

「リリノア、本当にありがとう!!」

私は苦笑を浮かべる彼女の両手を包み込みながら微笑むと、「大丈夫ですよ。それよりもこの事は他の人にはバレないように気を付けてくださいね」というリリノアの言葉にしっかりと頷いた。
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