婚約者に捨てられた訳ありΩは辺境でしたたかに生きることにしました

和泉臨音

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51.甘く蕩けて重なり合って

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「んっ」
「コルトは綺麗だな」

 どこかうっとりとした顔でルーティスがささやく。鍛錬はしていたが戦闘に参加をしないコルトの肌にはほとんど傷はない。逆にルーティスの体には上半身だけでも古傷が多数あった。確かに傷の多さだけを基準にするならコルトの肌は綺麗だろう。しかし人の美醜というのはそういったことだけで決まるものではない。
 コルトは有名芸術家が手がけた彫刻のような、無駄のない筋肉に覆われたルーティスの体に魅入る。数多く残る魔獣との戦いで受けた傷の跡も、痛そうではあるがこれまでルーティスが頑張ってきた証なのだと思えばどんな勲章よりも輝いて見えた。

(ルーティス様の体……本当にかっこいいなぁ)

 思わずコルトの腹の奥がキュンとなる。

「……怪我の跡が気になるか? 何か羽織るか」
「え? いえ、その必要はないです! かっこいいので是非そのままで!!」

 あまりに見つめすぎていたからだろう。ルーティスの優しい気遣いにコルトが首を左右に振りながら大慌てで答える。コルトのそんな小さな子どものような行動に、ルーティスは何度か瞬くと噴き出して笑いだした。

「ククッ……この傷をかっこいいだなんて初めて言われた。本当にコルトは肝がすわっているというか、なんというか。さすがだな」

 ルーティスはそれはもう楽しそうに笑うと、ご機嫌な笑顔のままコルトの顔中にキスの雨を降らせる。

「……それって褒められてるんでしょうか?」
「ああ、もちろん」

 コルトが少しばかり拗ねたように言えば、ルーティスは再び声をあげて笑いながら答えた。

 不思議な時間だった。
 いや、普通の恋人や夫婦、つがいはこういった他愛もない会話をしながら夜を共に過ごし、愛を確かめ合うのかもしれない。
 だけど、コルトには初めての体験で、それはルーティスも実は同じで。
 言葉通り手探りではあったけど、二人はゆっくりと距離を縮めていく。
 お互いの体に触れ合ってコルトはルーティスの古傷に愛し気に舌を這わせ、ルーティスはコルトのすべやかな肌を慈しむように甘噛みした。
 コルトのフェロモンはさらに強くなりルーティスは軽い目眩を覚えたが、不安そうに見上げてくる涙で濡れる黒い瞳を見れば、体にも頭にも血が戻る。
 予想通りルーティスにとって、コルトのフェロモンは何の問題もなかった。むしろ、途中から妙な心地よさを感じ、夢中になってしまった。
 ルーティスがコルトの体を余すことなくむさぼり始めれば、ルーティスのαのフェロモンも強くなる。

(……あまくて、おいしそうな……匂い)

 蜜に呼び寄せられる蝶のように、コルトはルーティスのフェロモンを強く感じる場所に引き寄せられる。

(あ……大きくなってる……べとべと……ふふっ、嬉しいなぁ)

「っ……コルト」
「はぁ……ルーティスさまの……これ、ほしぃ」

 コルトはうっとりとした表情でルーティスの熱く硬く大きくそそりつ立派すぎる男根に顔を寄せると、赤い舌を出して子猫がミルクを飲むように先端をチロチロと舐める。甘い汁がじわじわと湧き出てくるのが嬉しくて、口に含むと優しく吸い上げた。

「ぐっ……」

(がまんするルーティスさま、かわいいなぁ)

 口を離すと両手で今にも爆発しそうなルーティスの熱に触れたまま、コルトはへにゃリと幸せそうに笑う。

「くっ、もう限界だ」
「はぇ?」

 言うやいなや、ルーティスはコルトに覆い被さったまま両足首を掴むと折りたたむようにしてベッドに押し付け開脚させる。次の瞬間、ルーティスの熱いたけりがコルトを一気につらぬいた。

「ぅぐっ……ルー、ティ……ひゃ、あ、あっ、まっ、あぎゃん、そんなおくぅっ、ひゃっ、あっ、ぁうっ……」

 コルトは突然体の中を突き上げられて視界に星が散る。それでもΩとしての本能なのか、すぐ近くに感じるルーティスの獣じみた呼吸と、フェロモンの匂いと、体に穿うがたれた熱い欲望に心も体も歓喜する。ルーティスの男根にコルトの肉壁が逃すまいと涎を垂らしながら淫らに絡みついていく。

「つっ……はぁ…はぁ、コルト、コルト、あいしてる」
「まっ、あっ、おれも、すき、すきっ」

 容赦なく上からベッドに打ち付けられるように揺さぶられ、激しくなる二人の呼吸と卑猥な水音が寝室に響く。歴史あるベッドはルーティスの激しすぎる動きに悲鳴を上げることもなく、二人のいとなみを受け止める。コルトの伸ばした手にルーティスは指を絡めてベッドに縫い止めると、さらに激しく挿送を繰り返す。コルトもそれに応えるよう中へ中へとルーティスを導いて、最奥に到達すればルーティスもコルトも絶頂に達した。

 そこからもはや何がどうなったのかコルトはよく覚えていない。
 同じように向かい合わせで上から押しつぶすように貫かれたし、抱き合いながら絡み合うように横向きでもしたし、なんなら寝転がるルーティスの上にまたがってコルト自ら激しく腰を振った記憶もある。
 そしてもうコルトの男根からは何もでず、揺さぶられるたびにただ無意味に揺れるようになってから何度目かのルーティスの絶頂の時、うなじを噛まれた。

 ゾワリと全身が粟立あわだち、血液が激しく流れるような衝撃。だけどそれ以上に繋がった部分から熱いモノを、魔力を感じて、それが一気に体中に巡っていくのをコルトは実感した。
 その瞬間、先ほどまでの快楽よりももっと強い絶頂感と多幸感に包まれる。幸せで嬉しくて良くわからないけどふわふわとしていて、空中に投げ出されたようで怖い。痙攣けいれんするように震えるコルトの体を、力強い腕が抱きしめた。

「すごいな。幸せすぎて……怖いくらいだ」

(すっごくわかります。俺もです……)

 コルトの言葉は声にはならなかったが、ルーティスにこの気持ちは伝わっているだろう。

(ああ、ルーティスさまの腕の中……安心する。このままずっと抱きしめてもらいたい……)

 コルトが甘えるようにルーティスに体を擦り付ければ、髪にまぶたに頬にと優しい唇が触れてくる。ルーティスが触れる部分すべてが暖かくて気持ちいい。
 コルトはぬくぬくとした幸せに包まれながらも、体力をすべて使い果たして眠るように気を失った。
 
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