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番外編
コルトはまた一つ新たな知見を得ました
しおりを挟む「童貞が初恋をこじらせるとセックスがねちっこくなるんですよね。こればっかりは成人を過ぎてしまうと直しようがありません」
いつだかケヴィンと飲んだ時にそんな事を言っていて、コルトは「へー、そんなものか」と思ったものだ。特に反応を示さなかったコルトの横で、エリックが真っ赤になって飲んでいたエールを盛大に吹き出していたが酒の席での話である、聞きながすべき内容だろう。
(それが、まさかこんなところで思い出すことになるとは……)
ルーティスと番になってから早二週間。
恐ろしいことに一日おきのペースで夜の営みに発展している。ルーティスとしては毎日でもしたいようだがさすがにコルトは連日回復薬のお世話になりたくない。そこでの妥協点が一日おきである。余りにも元気なので、いままでルーティスはそんなに精力旺盛だったのかと問えば、どちらかと言うと淡白な方だったらしい。
「コルトのフェロモンと私は相性がいいのかもしれない。こう、解き放たれる感覚というか……抑圧されているものがなくなるというか」
申し訳なさそうに話すルーティスの言葉に「なるほど」とコルトは思った。
もともとルーティスは性交渉というか、妻を持つということに抵抗感があり、それ故そういった事を忌避していた節がある。それがコルトのリラックスさせる、いうなれば眠りに誘うことで思考を奪うような状態にさせるフェロモンの効果でルーティスの隠れた性欲を引き出してしまっているのだろう。
決して悪いことではないが、正直今後の結婚式や何やらのスケジュールを考えると妊娠するのは時期尚早だ。ゆくゆくはルーティス似の可愛い子どもがたくさん欲しいけど、あと半年くらいは待って欲しい。
コルトは早速、「精力減退の魔法薬」の研究に取り掛かることにした。Ωのフェロモンに影響されにくくするα用の魔法薬はすでに存在している。相性が良すぎる相手には効きは悪いという話だが、それでもαの精力を減退させるヒントになるだろう。
コルトは持ち前の才能を発揮して、第二性関係なく精力が減退する魔法薬を開発した。理論上はいつもならムラムラして男根が反応してしまう事態に陥っても冷静でいられる、そんな薬だ。精力がなくなるというか、どちらかというと冷静でいられる薬という方が正しいかもしれない。
さすがに辺境伯に試飲してもらうのはどうかとコルトは思ったが、イヴェルザに「別に変なものも入ってないし、ルーティス様がいいって言うならいいんじゃない?」と軽く言われてしまい、試飲をお願いしてみることにした。
コルトのお願いを当然のごとく聞いたルーティスはその日の夜、魔法薬を飲んだ。その日は二日に一度の繋がる日であったけど、ルーティスも一日おきとはいえ毎回抱きつぶしているので、己の欲望を少しでも抑えられるならと思ったのだ。
「……アッ、アッ、だっめぇ、おくぅ、ふぁ、ふかっ、ふかぃい…ひゃ、あっ、んぁっ」
実験に失敗はつきものである。
「ハッ……この位の効果では、私には、まったく、意味が、なかっ、た、なっ!」
薬も飲んでもらったし、少しならくっついて話してても平気かな? なんて、己の技量を過信したコルトの落ち度もある。ソファーでくっつきながら会話をしていたはずなのにいつの間にやらいつものように押し倒されて、「失敗かぁ、薬の効き目が悪い理由はなんだろう?」などと一瞬、本当に一瞬コルトが思考を飛ばしてしまったがゆえに、普段よりも激しい状態に陥っている。
なんとコルトと繋がったままルーティスが寝室内を歩き回ってあるのだ。抱き上げられて、なんとかルーティスにしがみついているコルトだが、ルーティスが歩くたびに振動で奥にズドンと熱い猛りが打ち込まれる。いつもより深くめり込み不安定な体勢で繋がっているため、コルトの腹の中もうねりまくり手足同様ルーティスにしがみつく。
「はっ、コルトはここが気持ちよかった、なっ!」
「ひぃっ!!」
しかもルーティスは物凄い筋力と体幹を駆使して、常人ならこんな体位で出来ないような腰の動きすらする。もはやコルトに逃げ場などなく、ひたすら絶頂に追い詰められ快楽を叩き込まれて善がり狂うしかない。
ズリュンズリュンと気持ちのいいところをゴリゴリこすられ、さらに奥の奥へずちゅんとルーティスの亀頭がめり込めば、コルトは声にならない悲鳴をあげてそのまま意識を手放してしまった。
翌朝。コルトが目を覚ますとベッドに正座している英雄の姿があった。
「るー……でぃずざま?」
「す、すまないコルト! 抑えなくてはと頭ではわかっていたんだが、冷静になればなるほどコルトを孕ませなくてはと……妙に頭が冴えてしまって、追い詰めることばかりしてしまった……本当にすまない!!」
(それは、どういうことなのーっ???)
土下座する愛しいαにコルトは呆然としてしまう。
結果、ルーティスは冷静になればなるほどコルトへの愛を自覚してしまい、歯止めが利かなくなるという。とことん一般人とは違うルーティスが相手では、理屈は何も通用しないのだろう。いや、これがもしかしたら童貞の拗らせというやつなのかもしれない。
親しくなる前はまさかこんなに雄臭い南の英雄が童貞なんてこと考えもしなかったが、ルーティスを知ってしまうとその可能性も高いのではないだろうか。
「つかぬことをお伺いしますが、もしかしてルーティス様の伽の相手は俺が初めてですか?」
「…………ああ、そうだが」
「さらに、もしかしたら俺が初恋だったりします?」
「!? ……たぶん、そうだな」
コルトが研究のためにどんなことでも臆せず聞いてくることに慣れたルーティスは、少々頬を染めつつも素直に答えた。
(なるほど。ケヴィンさんが言ってたこともあながち嘘ではなかったんだな)
『童貞が初恋をこじらせるとセックスがねちっこくなる』
あまり必要とする人がいなさそうな知識を、コルトは体験とともに手に入れたのだった。
◆ おわり ◆
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