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11話 話し合い? その1
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「ドール・ジストン侯爵……ようこそ、いらっしゃいました……歓迎いたします」
「おいおい、随分な口調じゃないか。いつも通り、ドール様と呼んではくれないのか?」
「……ジストン侯爵。本日はどのようなご用件でしょうか?」
私はドール様の言葉を無視して、早急に用件の話に切り替えた。無駄話はしたくない。婚約者に対して苗字で呼ぶのはどうかと思うけれど、はっきり言って今のドール様に親しくするつもりはなかった。私の隣にはファラウの姿もある。後ろにはウィルガさんも立ってくれていた。
「そちらにいるのは、ファラウ・トーチカ伯爵令息だな。久しぶりに見たが」
「ジストン侯爵、お久しぶりでございます」
「うむ、まさか貴殿が私のエレナと一緒に出て来るとは思わなかったよ」
「いえ、それは……」
ファラウもあまり話したくはないのか、さっきから視線を合わせていなかった。
「エレナと私は幼馴染の仲になりますので」
「ほう、そうだったのか。それは初耳だった。確かなのか、エレナ?」
ドール様は私に真偽の質問を掛けて来た。私は彼に頷く。
「そうです、ジストン侯爵。私とファラウは幼馴染の関係になります」
「ふ~む、そうだった。ウィルガよ、お主も知っていたのなら定時報告の際に、なぜ話さなかったのだ?」
「申し訳ございません、ドール様。なにぶん、プライベートな内容でしたので、報告するかどうか迷っておりまして……」
「ふん、そういうことか。今度からは気を付けるのだぞ? どんな些細な事柄も報告するように」
「か、畏まりました。ドール様……」
ウィルガさんはやや言葉を詰まらせていた。彼は私の味方をしてくれているけれど、主を前にするとなかなか難しいのだと思う。
「それにしても、ファラウ殿……ふふふ、幼馴染か。面白いことだ」
「……?」
「ジストン侯爵、本日のご用件をお聞かせいただけますか?」
「なに、愛しのエレナの様子を見に来ただけだよ。元気そうで何よりだ」
優しい言葉遣いが逆に胡散臭かった。私は騙されたりはしない。ドール様は本当に最悪な人なのだから……。
「ファラウ殿はおそらく、エレナに恋心を抱いているのだろう? でなくはこんな場所に同席するとは思えないからな」
「なっ……いきなり何を……!」
ファラウは急に取り乱した。ドール様はなんてことを言うの?
「しかし残念なことだな、ファラウ殿。エレナは私と婚約している。いわゆる相思相愛というやつだな。今後は結婚をして完全に私の物になるのだ」
「……!」
ドール様はファラウを煽り出した。しかも、気持ちの悪いことを言っているし……ふざけないで! 相思相愛? あり得ないわ……。
「おいおい、随分な口調じゃないか。いつも通り、ドール様と呼んではくれないのか?」
「……ジストン侯爵。本日はどのようなご用件でしょうか?」
私はドール様の言葉を無視して、早急に用件の話に切り替えた。無駄話はしたくない。婚約者に対して苗字で呼ぶのはどうかと思うけれど、はっきり言って今のドール様に親しくするつもりはなかった。私の隣にはファラウの姿もある。後ろにはウィルガさんも立ってくれていた。
「そちらにいるのは、ファラウ・トーチカ伯爵令息だな。久しぶりに見たが」
「ジストン侯爵、お久しぶりでございます」
「うむ、まさか貴殿が私のエレナと一緒に出て来るとは思わなかったよ」
「いえ、それは……」
ファラウもあまり話したくはないのか、さっきから視線を合わせていなかった。
「エレナと私は幼馴染の仲になりますので」
「ほう、そうだったのか。それは初耳だった。確かなのか、エレナ?」
ドール様は私に真偽の質問を掛けて来た。私は彼に頷く。
「そうです、ジストン侯爵。私とファラウは幼馴染の関係になります」
「ふ~む、そうだった。ウィルガよ、お主も知っていたのなら定時報告の際に、なぜ話さなかったのだ?」
「申し訳ございません、ドール様。なにぶん、プライベートな内容でしたので、報告するかどうか迷っておりまして……」
「ふん、そういうことか。今度からは気を付けるのだぞ? どんな些細な事柄も報告するように」
「か、畏まりました。ドール様……」
ウィルガさんはやや言葉を詰まらせていた。彼は私の味方をしてくれているけれど、主を前にするとなかなか難しいのだと思う。
「それにしても、ファラウ殿……ふふふ、幼馴染か。面白いことだ」
「……?」
「ジストン侯爵、本日のご用件をお聞かせいただけますか?」
「なに、愛しのエレナの様子を見に来ただけだよ。元気そうで何よりだ」
優しい言葉遣いが逆に胡散臭かった。私は騙されたりはしない。ドール様は本当に最悪な人なのだから……。
「ファラウ殿はおそらく、エレナに恋心を抱いているのだろう? でなくはこんな場所に同席するとは思えないからな」
「なっ……いきなり何を……!」
ファラウは急に取り乱した。ドール様はなんてことを言うの?
「しかし残念なことだな、ファラウ殿。エレナは私と婚約している。いわゆる相思相愛というやつだな。今後は結婚をして完全に私の物になるのだ」
「……!」
ドール様はファラウを煽り出した。しかも、気持ちの悪いことを言っているし……ふざけないで! 相思相愛? あり得ないわ……。
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調査は上手くいき事実確認もできたが何らかの理由で国王様が裏切りませんように🙏
国王陛下が裏切ったらそれは……