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5話 違和感 その2
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「……」
「……」
シングマ侯爵令息は明らかに私達を睨んでいる。先ほどから、全然視線を逸らそうとしていないし……それでいて、こちらに近づいて来る気配もない。付き人は居るようだけれど、ボーエル王国のリディア・スー侯爵令嬢は一緒ではないみたいね。
「カルロス殿はこちらを見たまま、視線を外そうとしていないな。何か思うところがあるのだろうか? 何か心当たりはあるかい、フローラ?」
「いえ、特に思い当たることはないけれど……」
シングマ侯爵令息がなぜ、私達のことを睨んでいるのかは本当に分からない。婚約解消したばかりだから、それについて話したいけれど、グランと私が話しているから、近付きにくい……といったわけでもないだろうし。もしかすると、私達ではなくて、さらに後ろの貴族の誰かを見ているのかもしれないわね。
「まあ、シングマ侯爵令息に聞きに行くのも変なきがするし、向こうの方へ行ってみない? エグリゴイ地方のワインが提供されているらしいから」
「なるほど、ワインか……よし、行ってみるか」
「ええ、行きましょう」
私はとりあえずシングマ侯爵令息のことは考えないようにして、グランと久しぶりの再会を楽しむことにした。
---------------------------
「なかなかおいしいな、このワインは……流石はワインの名産地で作られているだけはある」
「アルコール度も控えめで嬉しいわ。私はあまりお酒は強くないから」
この国では15歳で成人としてみなされる為、私もワインを飲むことが出来る。でも私はそんなにお酒に強くはなかった。シングマ侯爵令息と婚約していた時に実感したことだ。
「あれ、シングマ侯爵令息……いつの間にか居なくなっているわ」
「そうなのか?」
「先ほど、会場から出て行かれた模様でございます」
付き人のジョセフが私達に教えてくれる。とうことは、私達がワインを飲んでいる間に出て行ったということか。
結局、舞踏会会場に入ってすぐに出て行ったことになる。彼は一体、何をしに来たのだろうか? なんとなくだけれど、嫌な予感が拭えなかった。私は別におかしなことをしたつもりはないけれど……。
なんだろう……違和感とでも言えば良いのだろうか?
「大丈夫か、フローラ? 酔っているとかはないよね?」
「ええ、大丈夫よ。酔ってしまったとかそういうのではないから……」
私はグランに心配を掛けまいとして、自分の中に生まれた違和感について話すことはしなかった。笑顔を彼に向けて、問題ないことをアピールした。グランと再会してせっかく楽しくなりそうなんだから、ちょっとした心配事で雰囲気を壊したくはないわ。
「……」
シングマ侯爵令息は明らかに私達を睨んでいる。先ほどから、全然視線を逸らそうとしていないし……それでいて、こちらに近づいて来る気配もない。付き人は居るようだけれど、ボーエル王国のリディア・スー侯爵令嬢は一緒ではないみたいね。
「カルロス殿はこちらを見たまま、視線を外そうとしていないな。何か思うところがあるのだろうか? 何か心当たりはあるかい、フローラ?」
「いえ、特に思い当たることはないけれど……」
シングマ侯爵令息がなぜ、私達のことを睨んでいるのかは本当に分からない。婚約解消したばかりだから、それについて話したいけれど、グランと私が話しているから、近付きにくい……といったわけでもないだろうし。もしかすると、私達ではなくて、さらに後ろの貴族の誰かを見ているのかもしれないわね。
「まあ、シングマ侯爵令息に聞きに行くのも変なきがするし、向こうの方へ行ってみない? エグリゴイ地方のワインが提供されているらしいから」
「なるほど、ワインか……よし、行ってみるか」
「ええ、行きましょう」
私はとりあえずシングマ侯爵令息のことは考えないようにして、グランと久しぶりの再会を楽しむことにした。
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「なかなかおいしいな、このワインは……流石はワインの名産地で作られているだけはある」
「アルコール度も控えめで嬉しいわ。私はあまりお酒は強くないから」
この国では15歳で成人としてみなされる為、私もワインを飲むことが出来る。でも私はそんなにお酒に強くはなかった。シングマ侯爵令息と婚約していた時に実感したことだ。
「あれ、シングマ侯爵令息……いつの間にか居なくなっているわ」
「そうなのか?」
「先ほど、会場から出て行かれた模様でございます」
付き人のジョセフが私達に教えてくれる。とうことは、私達がワインを飲んでいる間に出て行ったということか。
結局、舞踏会会場に入ってすぐに出て行ったことになる。彼は一体、何をしに来たのだろうか? なんとなくだけれど、嫌な予感が拭えなかった。私は別におかしなことをしたつもりはないけれど……。
なんだろう……違和感とでも言えば良いのだろうか?
「大丈夫か、フローラ? 酔っているとかはないよね?」
「ええ、大丈夫よ。酔ってしまったとかそういうのではないから……」
私はグランに心配を掛けまいとして、自分の中に生まれた違和感について話すことはしなかった。笑顔を彼に向けて、問題ないことをアピールした。グランと再会してせっかく楽しくなりそうなんだから、ちょっとした心配事で雰囲気を壊したくはないわ。
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