スキルを極めろ!

アルテミス

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137 夢は大きく

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#137 夢は大きく

珍しく、メアリーが屋敷に来ていた。
前はよく来ていたのだが、ヤパンニ王国の件の後、あまり来なくなったのだ。訓練したくないのかと思ってたのだが。

お茶をするようで、裏庭に案内されていた。
どうやら俺も参加するらしい。リリアに呼ばれた。

「それでジン様、私を娶るという話は、、、」

「いや、断っただろう」

「それは残念。それよりも、そろそろ旅の話をしておきたいと思ってきましたの」

「そうだな。リリアも卒業が近いしな」

「私の研究は中途半端に終わりそうですが。。。学生では限界がありますね」

リリアは研究が途中なのを気にしているようだ。

「リリア、研究していたいなら旅についてこなくても良いんだぞ?」

「ダメです!それでは私が捨てられたように見られてしまいますわ」

確かにそうだな。婚約者が女性を放っておいて宛のない旅に出るなんて、捨てられたと思われても仕方ないな」

「それは私にも言えることですわ。ビッチと呼ばれた私ですもの。ジン様に連れて行ってもらいませんと」

「まあ、それは置いといてだ。旅に関してか。とりあえずは、こないだの温泉からだな。あの後どうなったかも気になるし」

「ああ、あそこは良い宿でしたね」

メアリー的にも良かったらしい。

「なら最初の目的地は決まりだ。その後はアズール帝国の首都だな。帝都っていうのが正しいのか?とにかくそこが目的地だな。目的は観光だ」

「最終的な目的地もあるんですの?」

リリアが鋭いところを聞いてくる。

「ああ、魔族や獣人がいるという、他の大陸も回りたくてな」

「魔族の大陸に行くんですの?!」

そんなに驚くことかね?旅するなら徹底的にあちこち行かないと。

「魔族とは相容れぬと聞きますわ。私は知りませんが、家庭教師からはそう教えられましたわ」

「まあ、それも含めて体験してみたいんだな」

相容れないというならそれでも良い。それを知ることが大事なんだ。実体験は大事だよ?
スキル上げるのに時間制限がないなら、その時間は有意義に使わないとな。旅の最中にカンストとかなしだよ?今更途中で止められても困るからね?

「まあ、交易があるのかすら知らないからな。とりあえずこの大陸を回って、その辺の事も調べながらって感じだな。船が出てないと話にならないし」

「そ、そうですね。船がないかもしれませんよね」

「ん?リリア、怖いなら残ってても良いんだぞ?」

「こ、怖くなんかありませんわ。ええ、ばっちこいです」

リリアは魔族が怖いらしい。何か逸話でもあるのかな?

「魔族に関して何か伝承でもあるのか?」

「遠い昔にこの大陸に攻め込んできたとされていますわ。魔王と呼ばれる王がいて、その魔族が倒されるまでは兵士は死ぬ事も恐れずに突撃してきたと。
また、特殊な能力を持つものが多いそうで、対処が難しかったらしいですわ。戦闘力も高く、今でいうSランクが束になってようやく撃退したとか。
当時はまだ冒険者ギルドがなく、魔物の強さも曖昧ですが、当時の最高戦力を結集して戦ったとあります。当時の生き残りが、強さをわかりやすくする必要があるといって、冒険者ギルドをランク制にして発足したそうです」

「ほう、それは面白い。魔王を倒して後はどうなったんだ?」

「船に乗って魔族の大陸に帰っていったとか。当時は人間の国も疲弊していたので、追撃はできなかったそうですわ」

「それはどのくらい昔なんだ?」

「さあ?でも古文書でもないと書かれていない内容ですので、相当昔ですわね」

「なら、向こうもこちらを覚えてない可能性もあるな」

「まあ、可能性としてはありますが、魔族は長寿だという噂もあります。まだ生き残って良いるかもしれませんよ?」

「その時はその時だな。戦闘になれば応じれば良い。負けたらそれまでだ」

「負けてはいけませんわ!」

まあ、負けるつもりはないけど、最初から喧嘩腰じゃダメだと思うんだよね。具体的な事例が残ってないのに最初から決めつけは良くない。それに戦うならそれでも良いと思ってる。最近レベルの上がりが鈍くなっているので、もっと強い相手を戦う必要を感じている。

「まあ、後々の話だ。まずはこの大陸を一周してみよう」

そういえば、獣人の話が出なかったな。

「それと、獣人はどうなんだ?戦争でもしたのか?」

「いいえ、獣人はいたと言われてはいますが、確認されてません。魔族と一緒に攻めてきたとか、実は魔族の種族の一つだとか。色々と言い伝えはありますが、どれも噂の域を出ません」

「ならそれも知りたいな。イングリッド教国あたりなら資料もあるかもしれないな。当時、どの辺から攻められたとかわかってないのか?」

「それも載ってませんわ。イングリッド教国なら古文書が残ってる可能性もありますね。他のどの国よりも古い国ですから」

「なら北のアズール帝国から、東のヤパンニ王国経由で南のべスク王国、そしてイングリッド教国だな」

「ジン様、それほど魔族のことを知りたいんですの?」

メアリーは俺がなぜそれ程興味があるのかわからないようだ。

「ああ、正確にはこの世界が知りたい。この大陸しかないのか、人間しかいないのか、最終的には神の存在も確認したいな」

「イングリッド教国に異端審問されますわよ?」

「まあ、ここだけの戯言だ。夢は大きくってな」

神様がいるのはわかっているが、イングリッド教国が崇めているのと同じ神様なのかがわからないんだよな。あの神様が地上に何かしたとも思えないし。
予定は未定。神のみぞ知るってな。

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