今宵、閨で

(それがしの働きが、わが国、須賀の繁栄を支える礎となる)
 唇を引き結んだ康頼は、見えぬ相手に目を据えて城内へ運ばれた。
 桑倉時代。八代将軍の足柄通時が治める世の中は、各国の国主同士が流通の契約を円滑にするため、賄賂のように見目のいい男児を色夫として他国に贈る風習ができていた。
 戦乱の世にできた男女の結婚は政略的なもの、男同士の恋愛は純粋な行為とされたことがはじまりとされている。そのなかで、男同士の絆に対する信仰が高じすぎ、国同士の結びつきのために、恭順を示す人質の側面も持った色夫を大国に渡すことが国交の重要手段となった。色夫となったものは、自国の繁栄や交易をつなぐために、輿入れ先の相手に文字通り心身ともに尽くさなければならない。
(かならずや、寵愛を勝ち得て須賀に繁栄をもたらさねば)
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