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「久世さん、将仁さんのお母さんと仲いいんでしょ?もしお母さんにまで俺達が付き合っていることが知られたら……。関係を話すのはもう少し時期を見てからに…」
「時期っていつだよ?そんなことを言っていたら、いつまで経ってもカミングアウトなんてできやしない」
「将仁さんが今まで普通に女性と付き合ってきたこと、お母さんご存じなんだよね?いきなり男と付き合い始めたって聞いたら、きっとすごくショックを受けると思う」
「それがどうした」
「息子がゲイになったって知って、喜ぶ親なんていないって言ってるの」
「俺はゲイになったわけじゃない。ただ春を好きになっただけだ」
俺は固い表情で言い返した。俺の気持ちを分かってくれない将仁さんに、苛立ちさえ覚える。
「その言葉、本当に理解してもらえると思う?俺は久世さんに関係をばらすのは反対」
「じゃあ、このまま黙ってろって言うのか?」
「だから、今すぐ言う必要はないって言ってるの」
どうやら将仁さんも俺の態度に腹を立てているらしい。気を落ち着かせようと息を吐いている。
「それで、お前がまた勝手に誤解して傷つくのを、俺は黙って見てろっていうのか?」
「…誰もがみんな将仁さんみたいに強いわけじゃない。お母さんや俺の気持ちも考えて欲しい」
「考えたよ。だからカミングアウトしようって言ってるんだ」
「そんな簡単なことじゃないでしょ」
俺は思わず叫んでいた。
「じゃあ、どうしろって言うんだよ」
将仁さんは俺から手を離すと、自分の頭を抱えた。
しばらく将仁さんはじっとしていたが、急にふっと息を吐き、席を立つ。
「将仁さんっ」
俺の呼びかけに将仁さんは振り向かなかった。
俺は冷めたカフェオレに口を付け、涙を懸命に堪えた。
「時期っていつだよ?そんなことを言っていたら、いつまで経ってもカミングアウトなんてできやしない」
「将仁さんが今まで普通に女性と付き合ってきたこと、お母さんご存じなんだよね?いきなり男と付き合い始めたって聞いたら、きっとすごくショックを受けると思う」
「それがどうした」
「息子がゲイになったって知って、喜ぶ親なんていないって言ってるの」
「俺はゲイになったわけじゃない。ただ春を好きになっただけだ」
俺は固い表情で言い返した。俺の気持ちを分かってくれない将仁さんに、苛立ちさえ覚える。
「その言葉、本当に理解してもらえると思う?俺は久世さんに関係をばらすのは反対」
「じゃあ、このまま黙ってろって言うのか?」
「だから、今すぐ言う必要はないって言ってるの」
どうやら将仁さんも俺の態度に腹を立てているらしい。気を落ち着かせようと息を吐いている。
「それで、お前がまた勝手に誤解して傷つくのを、俺は黙って見てろっていうのか?」
「…誰もがみんな将仁さんみたいに強いわけじゃない。お母さんや俺の気持ちも考えて欲しい」
「考えたよ。だからカミングアウトしようって言ってるんだ」
「そんな簡単なことじゃないでしょ」
俺は思わず叫んでいた。
「じゃあ、どうしろって言うんだよ」
将仁さんは俺から手を離すと、自分の頭を抱えた。
しばらく将仁さんはじっとしていたが、急にふっと息を吐き、席を立つ。
「将仁さんっ」
俺の呼びかけに将仁さんは振り向かなかった。
俺は冷めたカフェオレに口を付け、涙を懸命に堪えた。
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