スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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 俺は教室でカバンを手に取ると、すぐ寮に戻った。どうせ今日はもう授業もない。気分は最悪だった。

 寮の部屋に戻ると、西がスナック菓子を食べながらテレビを見ていた。

 部屋なんて言っても、ベットが部屋の両端に据え置かれていて、カーテンで仕切れるだけのプライバシー皆無の作りだった。部屋の真ん中にはこたつ用の机が置かれていて、西はそこでこたつに入って、こちらを見上げた。

「おかえりー。ってお前酷い顔色してるぞ。体調悪いのか?」
「いや、三人にレイプされそうになったから返り討ちにしてやった。」

 西の顔を見たら安心してしまい、先ほど起こったことを俺は早口ですべて話した。
 俺が小松と末永を無理やりセックスさせた辺りは西の気分を害したんじゃと話し終えた後に、少し落ち込む。

「あー。小松と末永って知ってるわ。帰宅部でちょっと悪ぶって制服着崩してる三人だろ。たぶんお前がぼこぼこにしたやつ片山っていってどっかの代議士の息子だぜ。なに、あいつらそんなことしてんのか。最低だな。」
「西、俺にひいてない?」
「なんで?」
「俺、ほら無理やり小松と末永やらせたりとか、かなり酷いことしたじゃん。西はやりすぎだっておもわん?」
 自分で聞いておいて西の反応が怖くてうつむく。せっかく西とは同室でかなり仲良くなれたのに、その仲も今日までかもしれないと唇をかんだ。
「いや、むしろ俺はよくやったって思うけど。」
 顔を上げると西の笑顔が見えた。西は俺の頭をくしゃっとなでて言った。

「そりゃさ。そういう目にあったことないやつからしたらやりすぎって思うかもしれない。だけど、お前まじで怖かったんだろ。んで、その時はそれしかやり返す方法思いつかなかった。そんなお前を誰が責められるんだよ。俺だってレイプされそうになったら死にもの狂いで抵抗してもっとひどい目相手に合わすかもしれねーし。話聞くとそいつらまだ余罪ありそうじゃん。今まで酷い目にあったやつらからしたら、お前ヒーロなんじゃねえの。」
「ヒーローなんて。俺は・・・。」
 俺に対する西の気遣いに涙が出そうになった。

    今更自分のしでかした事の大きさに罪悪感を覚えている俺の気持ちを、西は少しでも軽くしようとして話してくれている。

 こんな時他の奴じゃなく西が傍にいてくれてよかった。
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