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プロローグ

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 ーーーざああぁぁぁ、

 大粒の雨が地面を叩きつける音が、さくらの耳にどこか遠い異国の言葉のように入ってくる。目の前には、掘り返されたためか少し周りと色の違うお庭の土と、真っ白な石。石にはさくらの親友『もか』の名前が刻まれている。

(私は、いつ間違えたの?)

 自問自答を誰も返事をくれない。けれど、さくらは尋ねずにはいられなかった。誰かに答えて欲しかった。

「ねえ、帰ってきてよ、もか」

 真っ白な愛くるしいもじゃもじゃの小型犬に思いを馳せながら、さくらは雨のしんしんと降りしきるお庭の床に、崩れ落ちた。ベシャッという音と共に紺色のワンピースに泥が跳ねる。

 帰ってこない親友。
 遠い場所へと旅立ってしまった親友。

 さくらはどうしてと叫びたいのを必死に我慢して、涙に濡れた瞳を擦る。

「ごめんなさい、もか。ごめんな、さいっ、」
(嫌いって言って、ごめんなさい。
 いなくなれって言って、ごめんなさい。
 勝手におもちゃを取り上げて、ごめんなさい。
 勝手におやつを取り上げて、ごめんなさい。
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!
 ちゃんと、ちゃんと謝るから、帰ってきてよっ)

 自分が嫌いと叫んだ瞬間に、しゅんと尻尾と耳を下げて泣き出した子供のように走り去ったもか。
 そして、そのまま道路に飛び出して車とぶつかってしまったもか。
 冷たくなって帰ってきたもか。

 全部全部が走馬灯のように頭の中を流れてくる。
 さくらはぎゅっと拳を握りしめて泣き続ける。

「帰ってきてよ、もか」

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

ブラッキー開始ですが、もうちょっと明るくなる(予定)です。

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