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予防接種

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「お…おに、ちゃ…今日、予防接種…?」

「よ、よぼ…ヨボヨボ…?」

ポチとシロがビビり散らかしている。

「大丈夫だよ、すぐ終わるし。じゃあ行こっか。」

2人と手を繋いで近所の病院に向かう。あそこの先生は優しいから大丈夫なはずだ。

「お兄ちゃん怖いよぉ…抱っこ…」

「お兄さん怖いよぉ…手ぎゅってして…」

こうしてみるとポチとシロはそっくりだ。そういえばシロは犬耳出しっぱなしだが周りの目は大丈夫だろうか。
きょろきょろ見回してみると、特にこちらの様子を気にしている人は居ない。
名前を呼ばれて診察室に入る。

「まずはポチくんからねー。怖くないからねぇ、」

「やぁぁぁ!!ぁああああん!!」

「ポチそんな大声で泣かないで…!病院だから、!大丈夫だから!」

大泣きで注射されるポチを撫でたりして宥める。案の定すぐに注射は終わった。

「うぅぅぅ…ひかげも同じ苦しみをぉ…」

「あ゛え、うう…おねがい…します…」

「シロくんだね。腕出して、…うん…よし、終わり。」 

シロはガクガク震えていた割にはポチのように騒がなかった。涙も出ていな…

「ううぅぅ……ぐすっ…お兄さん褒めてぇ…おれがんばったからぁぁぁ」

涙は出ていた。滝のようだ。

「うん、!2人ともすごい頑張ったね!じゃあご褒美になんか美味しいもの買って帰ろっか。」

「おいしい…?やったぁ!!」

「わぁーい!!」

美味しいものと聞いてすぐに2人は泣き止む。ずっと思っていたけど、この子達って凄い単純なのかな。いや、子供なんだから仕方ない。

「では、激しい運動は控えてくださいね。」

「はい。先生、ありがとうございました。」

病院の帰り道、ポチとシロの足取りは物凄く軽い。ルンルンで買ったお菓子を食べながら帰っている。

「ポチ、シロ。落とさないようにねー、あと気をつけてー。」

「んー!お兄ちゃんアイスおいひぃー!」

「うまうま…」

なんだか2人の笑顔を見ていると幸せになる。俺もちゃんと2人の保護者にならないと。
家の鍵を開け、中に入る。ポチとシロも食べ終わったお菓子のゴミを捨て、ベッドにダイブした。

「疲れたぁーーー!!」

「先生、優しかった。疲れたけど…」

「うんうん。2人ともちゃんと出来てたね。偉い。」

ポチの頭を撫でると、シロもすり寄ってくる。

「おれも撫で撫でしてほしい…」

「いいよ~。」

撫で続けていると、いつの間にか2人は眠ってしまった。
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