上 下
25 / 39
2章 仕事仲間が出来ました。

第9話 いよいよ念願の……

しおりを挟む
 ふがふがと、鼻を鳴らす音が小屋を満たす。

 ぷりっとしたお尻から生えるくりんと丸まったしっぽがキュートなピンクい奴ら。
 子豚の頃には可愛い正面顔も、大人になると一気に魔物のオークっぽくなるのが地球の一般的な豚。

 が、ここでは成獣の豚ですらデフォルメされたイラストの如き愛らしさを供えた立派な豚が取り敢えず雄雌一頭ずつ、二頭、小屋に入れ、只今チョメチョメ中でございますので少々お待ち。

 そう、ようやく念願の豚を入手し、早速増やすための仕事を頑張って貰っているのですが。
 豚さんて思ったよりデカくて、ましてや興奮した雄豚なんて小娘の腕力じゃどうにもなりません。
 完全にユージーン君のサポートなしには到底なし得ない仕事でございます。

 ……うっかり私一人でやろうとしていたら、うっかりで死にかねないところだった。

 けどこれで子豚ちゃんが生まれるまでは普通に餌やりとブラッシングすればOKだ。
 うん、きっとリアルではもっと他に仕事あるよね?
 つか豚にブラッシングなんか某農業高校アニメの彼はやってなかったと思う。

 しかし、豚さんは一度に何頭も子供生んでくれるけど、牛さんは一度に一頭なんだよね。
 乳牛ならそれで良いけど、肉牛だとなかなか増やせない。
 ……牛肉、高いわけだよ。

 「そんな訳で、ここが貴方の主な分担になるから頑張って。あなたの頑張り次第で美味しい肉が食べられるかが決まるからね?」
 「ああ。命をいただくんだ、せめてその瞬間まではしっかり面倒見て可愛がってやるさ」

 「……それは良いけど、あんまり肩入れしすぎて食べられないなんて事にならないようにね?」
 「そこは、問題ない。とうに割り切りは出来てる。何でも食わなきゃ生きていけないのが当たり前だったからな」

 そうか、この人は自分で食べる家畜を自分で潰していたのか。
 なら、加減は心得てるのかな?

 「安心して任せてくれ」
 「分かった、じゃあ後はお願いするね」

 無事チョメチョメも終わり、雄豚が昼寝を始めた頃、私は彼にこの場を任せ、畑へ向かった。

 「これで肉の入手にも目処が立ったし……。さて、次は何に挑戦しようかな」

 取り敢えず綿と麻を植えるか……。
 いやその前に糸メーカーだの布メーカーやらを揃えるのが先か。
 人も増えたし、服、もっと必要だもんね?

 ポイント交換でも入手は出来るけど、作ればポイントが手に入る。

 「だけど布にした後の事はなぁ……」
 裁縫なんて多少のほつれやボタンの付け直し程度ならまだしも、それ以上の事は学校の家庭科以来だ。
 「ナップサックくらいなら何とか作れても、服は難易度高いよね」

 流石に洋服メーカーなんてのはリストにも無い。

 「さて、どうするかね……」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

EDGE LIFE

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:809pt お気に入り:20

桜天女

恋愛 / 完結 24h.ポイント:539pt お気に入り:1

記憶がないっ!

青春 / 連載中 24h.ポイント:1,988pt お気に入り:2

進芸の巨人は逆境に勝ちます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:1

お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:373

9歳の彼を9年後に私の夫にするために私がするべきこと

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,054pt お気に入り:105

不完全防水

BL / 完結 24h.ポイント:504pt お気に入り:1

処理中です...