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番外編
わたくしと婚約者〜フィーラ視点〜(1)
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設定として作っていたものなので、蛇足的な話になります。
•*¨*•.¸¸♬︎
アーシア様とカルゼ様が去ってわたくし達の間にはなんとも言えない空気の中に降りました。
「殿下、認めたくないお気持ちはわかりますが、婚約を継続されるならご自身だけの問題では無くなります。
お2人でよく話し合って下さい。
シリル様とマリン様も。」
アジス様は少し困ったようなお顔でわたくし達に忠告して下さいました。
思えばアジス様は見かけるたびにこのようなお顔をしていらっしゃいます。
お茶会や夜会、王立学園でも。
このお顔がデフォルトなのでしょうか?
そうだとしたら可愛い容姿が残念です。
「·····フィーラ、もし都合がつくなら三日後の学園が終わった後に会えないだろうか。」
殿下の弱々しいお声にアジス様から殿下の方に向くと、気弱そうな表情でわたくしを見ていました。
そのようなお顔が母性を擽るとわかっていて、わざとしているのかしら?
「承知致しました。」
ここで突っぱねる事が出来ないわたくしも甘いのかも知れません。
でもアーシア様の忠告やカルゼ様とアジス様のご様子を見るに、二人だけできちんとお話した方がよいのでしょう。
わたくしの了承に殿下は目に見えてホッとしておられます。
「アジス、申し訳ないがラゼントリオ邸を使わしてくれないか?」
えっ、なぜラゼントリオ邸なんですの?
「御意に。
香水の新商品が何点か入っております。
ラグナ殿下と婚約を継続されるフィーラ様がご一緒に選んで、王妃陛下にプレゼントされてはいかがでしょう。」
「ああ、今回の件で母上には心配をかけてしまったからな。
フィーラと二人で選んで詫びの品として送ろう。」
「良いお考えかと。
僕の邸にはネズミがいませんからね。
安心してお使い下さい。
シリル様とマリン様も是非お越しください。」
お二人のお話から王宮はもちろん、我がグラント公爵家にもスパイがいるというの?!
わたくしは殿下とアジス様を交互に見遣ると、どちらも同じような少し困ったお顔。
シリル様とマリン様はお二人の会話で自分の邸にスパイがいると気づいたようで顔色が優れませんが2人とも高速で頷いています。
えらく息があってますわね、この二人。
つまり敵?を欺くために〈王妃陛下のお詫びの品を選ぶ〉という名目でラゼントリオ邸に行くと思わせるのですね。
「フィーラ、三日後に母上のお詫びの品を選ぶのにラゼントリオ邸に行くとグラント公爵に伝えてくれ。」
「·····はい。」
それ以外に返事のしようがなかったのです。
わたくしとラグナ殿下の婚約が決まったのは殿下が14才、わたくしが12才の時でした。
ラグナ殿下は次男なので王太子殿下のスペアとして王室に残り、わたくしは王子妃となる事が決定していました。
ラグナ殿下は淡い茶色の波打つ髪に翡翠の瞳で、優しげな容姿。
対するわたくしは銀髪に紺碧の瞳で顔立ちのせいか、よく冷たい印象が持たれていました。
ラグナ殿下との初顔合わせでも殿下にそう思われたのか、あまりこの婚約に乗り気には見えませんでした。
わたくしだって別に好意を持って婚約した訳ではないけれど、失礼すぎます!
貴方と並ぶとわたくしがより冷たく見えてしまいますわ!
お互いの第一印象は最悪だったと思います。
両陛下や王太子殿下は優しく王子妃教育も順調でした。
国内最大派閥の公爵令嬢として充分な教育を受けておりましたし、ご教授して下さる王妃陛下や王太子妃殿下も厳しくもお優しい方でしたから。
ただラグナ殿下との関係はあまり進展はありませんでしたけど。
贈り物やお手紙は心のこもったものでしたが、本人にお会いするといつも微妙なんですわ。
視線を合わせず、何を言っても生返事。
向こうから話題を振ってくるなんてほとんどありません!
デートの誘いもなくお茶会や夜会も殆どお出ましにならないので、王族の婚約者となったわたくしも当然出席できず、許されるのは女性だけのお茶会だけ。必然的に殿下との交流は二人のお茶会のみ!
なのにそのお茶会は最悪な雰囲気。
そんな感じなのでお手紙を見る度に代筆かと思ったくらいですわ。
それにしては内容がお会いした時に言ったお話や、贈り物もわたくしの好みを捉えて贈って下さるから、二重人格の疑いまで持ってしまいましたわよ(今でも少し疑ってますが)
それに贈り物がいつもラゼントリオの関係する商品だったので、そちらでも疑惑がありました。
わたくしと殿下が婚約するまではアーシア様とご一緒におられるのを何度かお見かけしていましたし(カルゼ様やシリル様やアジス様もいましたが)、アーシア様と三人の誰かが婚約するのでは?と噂になっていた時期もありましたもの。
アーシア様は伯爵令嬢で王子妃になるのにギリギリの爵位でしたが、ラゼントリオは大陸に服飾や食料、生活全般の大商会を展開しており、王太子妃にもなれる権力がありましたから。
結局アーシア様はカルゼ様とご婚約なさり、わたくし達も婚約してからはアーシア様と殿下が一緒にいる姿を見る事はなくなりました。
父は「アーシア嬢は傍若無人、コホン、自由闊達な方だが弁える所は理解っているからな。
今までは幼なじみの気安さがあっただろうが、婚約者がいる異性との距離を間違えたりはしないだろう。
だから決してお前から喧嘩を売るような真似はするな!」と必死に言ってきましたけど。
·····お父様、ラゼントリオと何がありましたの?
お父様に言われなくてもあちらもわたくしも親交を深めようとはしてませんわよ。
お茶会で会っても特に二人だけでお話する訳でもなく、アーシア様はラゼントリオの商品を身に付けてさりげなく令嬢方にアピールしてますのよ。
そしてお茶会で出ているお菓子をさりげなく胃袋に収めておりますわ。
あの方のテーブルのお菓子の消費の速さと、いつ食べたのかわからない高度な食事の仕方に驚いています!
話が脱線してしまいましたが、わたくしが学園に入園した時は殿下とシリル様は三年、カルゼ様とアーシア様とマリン様は二年でした。
わたくしとアーシア様の弟君アジス様は同じ学年で、殿下はアジス様には特Aに入るのを許したのに、わたくしにはお声がけすらなく、ひと月経った頃に同じ一年のシフォン・ハウゼン男爵令嬢が特Aに通っていると噂が流れてきました。
そしてそれは事実で三月もするとあの勘違い女はわたくしやシリル様の婚約者のマリン様に勝ち誇った顔でこちらを見てくるようになったんですわ!
あのお馬鹿さんは誰に喧嘩を売っているのか分かっているのかしら。
そして迂闊殿下、貴方の婚約者は国内最大派閥のグラント公爵家の娘ですのよ。
貴方がそういう態度ならもうお好きになさったら宜しいわ。
後で後悔するのは殿下なんですから。
学園生には同情や哀れみ、嘲笑を向けられ、わたくしが黙って耐えているなんて思ったら大間違いですからね!
お父様に殿下と勘違い女の事を話すと頭を抱え呻いております。
「殿下は何を考えているのだ。」
「わかりませんわ。
学園では殿下だけでなくシリル様やカルゼ様、アジス様も勘違い女の虜になっているともっぱらの噂です。」
わたくしの言葉にお父様がガバッとお顔を上げて鬼気迫る形相でわたくしを見てきました。
「アジス殿も?!」
「そ、そうですわ。」
なんですの?
「本当にアジス殿もその女の虜なのか?!」
お父様、ちょっと怖いですわよ!
「特Aで殿下、シリル様、カルゼ様、アジス様が勘違い女と一緒にお昼を過ごしているのは確かです。
だから皆がシフォンを取り合っているとか噂になっていますの。」
「お前から見て四人ともそう見えるのか?」
「·····」
四人ともシフォンを取り合っている?
「···殿下とシリル様とは楽しそうにお話している姿は何度か見たのですが、他の方はちょっと自信がありませんわ。」
学園の噂を鵜呑みにして自分の目での確認を怠っていたのを痛感しました。
わたくしがシュンとしているとお父様が優しい声で慰めてくださいます。
「いや、お前が殿下しか見てなかったのも当然だ。
婚約者が不貞をしているんだからな。
こちらから王家に伝えて殿下に注意してもらおう。」
お父様の言葉にわたくしは不満を表情に出してしまいました。
「不服か?
だが昼休みを一緒に過ごしているだけではフィーラが望むようにはできないんだ。
二人だけで会っているわけでもなく、昼休み以外を過ごしているのでもないからね。」
「そうですが、わたくしは学園で皆から馬鹿にされ、勘違い女には得意気に見下されてますのよ。」
お父様は男性ですからわたくしがどれだけ屈辱を受けているかわからないのですわ。
「婚約を解消したいのかい?」
わたくしは答えられずに手をきつく握りしめました。
ここで解消したいと言えればいいのですが、そう言うにはグラント公爵令嬢としての立場や王族に嫁ぐ覚悟を軽く考えていると思われます。
それに殿下とは微妙な関係で恋愛感情はありませんが、何年も婚約者として過ごしたので情は残っているのです。
そんなわたくしの心情をわかってくださったのか、お父様は苦笑されました。
「フィーラが本当に婚約の解消を望むなら王家に働きかけるよ。
だから確り自分の目と耳と心を開いて周りを観察して決めなさい。」
「お父様·····」
殿下有責の破棄ではなく解消ではグラント公爵家も無傷ではいられないでしょう。
それでもお父様がわたくしの気持ちを優先してくれるのが嬉しい。
「ただ噂に踊らされないようにしなさい。
アジス殿がいるなら尚更に。」
お父様·····
「アジス殿は腐ってもラゼントリオだ。」
アジス様は腐ってもいませんし、本当にラゼントリオと何がありましたの?!
•*¨*•.¸¸♬︎
アーシア様とカルゼ様が去ってわたくし達の間にはなんとも言えない空気の中に降りました。
「殿下、認めたくないお気持ちはわかりますが、婚約を継続されるならご自身だけの問題では無くなります。
お2人でよく話し合って下さい。
シリル様とマリン様も。」
アジス様は少し困ったようなお顔でわたくし達に忠告して下さいました。
思えばアジス様は見かけるたびにこのようなお顔をしていらっしゃいます。
お茶会や夜会、王立学園でも。
このお顔がデフォルトなのでしょうか?
そうだとしたら可愛い容姿が残念です。
「·····フィーラ、もし都合がつくなら三日後の学園が終わった後に会えないだろうか。」
殿下の弱々しいお声にアジス様から殿下の方に向くと、気弱そうな表情でわたくしを見ていました。
そのようなお顔が母性を擽るとわかっていて、わざとしているのかしら?
「承知致しました。」
ここで突っぱねる事が出来ないわたくしも甘いのかも知れません。
でもアーシア様の忠告やカルゼ様とアジス様のご様子を見るに、二人だけできちんとお話した方がよいのでしょう。
わたくしの了承に殿下は目に見えてホッとしておられます。
「アジス、申し訳ないがラゼントリオ邸を使わしてくれないか?」
えっ、なぜラゼントリオ邸なんですの?
「御意に。
香水の新商品が何点か入っております。
ラグナ殿下と婚約を継続されるフィーラ様がご一緒に選んで、王妃陛下にプレゼントされてはいかがでしょう。」
「ああ、今回の件で母上には心配をかけてしまったからな。
フィーラと二人で選んで詫びの品として送ろう。」
「良いお考えかと。
僕の邸にはネズミがいませんからね。
安心してお使い下さい。
シリル様とマリン様も是非お越しください。」
お二人のお話から王宮はもちろん、我がグラント公爵家にもスパイがいるというの?!
わたくしは殿下とアジス様を交互に見遣ると、どちらも同じような少し困ったお顔。
シリル様とマリン様はお二人の会話で自分の邸にスパイがいると気づいたようで顔色が優れませんが2人とも高速で頷いています。
えらく息があってますわね、この二人。
つまり敵?を欺くために〈王妃陛下のお詫びの品を選ぶ〉という名目でラゼントリオ邸に行くと思わせるのですね。
「フィーラ、三日後に母上のお詫びの品を選ぶのにラゼントリオ邸に行くとグラント公爵に伝えてくれ。」
「·····はい。」
それ以外に返事のしようがなかったのです。
わたくしとラグナ殿下の婚約が決まったのは殿下が14才、わたくしが12才の時でした。
ラグナ殿下は次男なので王太子殿下のスペアとして王室に残り、わたくしは王子妃となる事が決定していました。
ラグナ殿下は淡い茶色の波打つ髪に翡翠の瞳で、優しげな容姿。
対するわたくしは銀髪に紺碧の瞳で顔立ちのせいか、よく冷たい印象が持たれていました。
ラグナ殿下との初顔合わせでも殿下にそう思われたのか、あまりこの婚約に乗り気には見えませんでした。
わたくしだって別に好意を持って婚約した訳ではないけれど、失礼すぎます!
貴方と並ぶとわたくしがより冷たく見えてしまいますわ!
お互いの第一印象は最悪だったと思います。
両陛下や王太子殿下は優しく王子妃教育も順調でした。
国内最大派閥の公爵令嬢として充分な教育を受けておりましたし、ご教授して下さる王妃陛下や王太子妃殿下も厳しくもお優しい方でしたから。
ただラグナ殿下との関係はあまり進展はありませんでしたけど。
贈り物やお手紙は心のこもったものでしたが、本人にお会いするといつも微妙なんですわ。
視線を合わせず、何を言っても生返事。
向こうから話題を振ってくるなんてほとんどありません!
デートの誘いもなくお茶会や夜会も殆どお出ましにならないので、王族の婚約者となったわたくしも当然出席できず、許されるのは女性だけのお茶会だけ。必然的に殿下との交流は二人のお茶会のみ!
なのにそのお茶会は最悪な雰囲気。
そんな感じなのでお手紙を見る度に代筆かと思ったくらいですわ。
それにしては内容がお会いした時に言ったお話や、贈り物もわたくしの好みを捉えて贈って下さるから、二重人格の疑いまで持ってしまいましたわよ(今でも少し疑ってますが)
それに贈り物がいつもラゼントリオの関係する商品だったので、そちらでも疑惑がありました。
わたくしと殿下が婚約するまではアーシア様とご一緒におられるのを何度かお見かけしていましたし(カルゼ様やシリル様やアジス様もいましたが)、アーシア様と三人の誰かが婚約するのでは?と噂になっていた時期もありましたもの。
アーシア様は伯爵令嬢で王子妃になるのにギリギリの爵位でしたが、ラゼントリオは大陸に服飾や食料、生活全般の大商会を展開しており、王太子妃にもなれる権力がありましたから。
結局アーシア様はカルゼ様とご婚約なさり、わたくし達も婚約してからはアーシア様と殿下が一緒にいる姿を見る事はなくなりました。
父は「アーシア嬢は傍若無人、コホン、自由闊達な方だが弁える所は理解っているからな。
今までは幼なじみの気安さがあっただろうが、婚約者がいる異性との距離を間違えたりはしないだろう。
だから決してお前から喧嘩を売るような真似はするな!」と必死に言ってきましたけど。
·····お父様、ラゼントリオと何がありましたの?
お父様に言われなくてもあちらもわたくしも親交を深めようとはしてませんわよ。
お茶会で会っても特に二人だけでお話する訳でもなく、アーシア様はラゼントリオの商品を身に付けてさりげなく令嬢方にアピールしてますのよ。
そしてお茶会で出ているお菓子をさりげなく胃袋に収めておりますわ。
あの方のテーブルのお菓子の消費の速さと、いつ食べたのかわからない高度な食事の仕方に驚いています!
話が脱線してしまいましたが、わたくしが学園に入園した時は殿下とシリル様は三年、カルゼ様とアーシア様とマリン様は二年でした。
わたくしとアーシア様の弟君アジス様は同じ学年で、殿下はアジス様には特Aに入るのを許したのに、わたくしにはお声がけすらなく、ひと月経った頃に同じ一年のシフォン・ハウゼン男爵令嬢が特Aに通っていると噂が流れてきました。
そしてそれは事実で三月もするとあの勘違い女はわたくしやシリル様の婚約者のマリン様に勝ち誇った顔でこちらを見てくるようになったんですわ!
あのお馬鹿さんは誰に喧嘩を売っているのか分かっているのかしら。
そして迂闊殿下、貴方の婚約者は国内最大派閥のグラント公爵家の娘ですのよ。
貴方がそういう態度ならもうお好きになさったら宜しいわ。
後で後悔するのは殿下なんですから。
学園生には同情や哀れみ、嘲笑を向けられ、わたくしが黙って耐えているなんて思ったら大間違いですからね!
お父様に殿下と勘違い女の事を話すと頭を抱え呻いております。
「殿下は何を考えているのだ。」
「わかりませんわ。
学園では殿下だけでなくシリル様やカルゼ様、アジス様も勘違い女の虜になっているともっぱらの噂です。」
わたくしの言葉にお父様がガバッとお顔を上げて鬼気迫る形相でわたくしを見てきました。
「アジス殿も?!」
「そ、そうですわ。」
なんですの?
「本当にアジス殿もその女の虜なのか?!」
お父様、ちょっと怖いですわよ!
「特Aで殿下、シリル様、カルゼ様、アジス様が勘違い女と一緒にお昼を過ごしているのは確かです。
だから皆がシフォンを取り合っているとか噂になっていますの。」
「お前から見て四人ともそう見えるのか?」
「·····」
四人ともシフォンを取り合っている?
「···殿下とシリル様とは楽しそうにお話している姿は何度か見たのですが、他の方はちょっと自信がありませんわ。」
学園の噂を鵜呑みにして自分の目での確認を怠っていたのを痛感しました。
わたくしがシュンとしているとお父様が優しい声で慰めてくださいます。
「いや、お前が殿下しか見てなかったのも当然だ。
婚約者が不貞をしているんだからな。
こちらから王家に伝えて殿下に注意してもらおう。」
お父様の言葉にわたくしは不満を表情に出してしまいました。
「不服か?
だが昼休みを一緒に過ごしているだけではフィーラが望むようにはできないんだ。
二人だけで会っているわけでもなく、昼休み以外を過ごしているのでもないからね。」
「そうですが、わたくしは学園で皆から馬鹿にされ、勘違い女には得意気に見下されてますのよ。」
お父様は男性ですからわたくしがどれだけ屈辱を受けているかわからないのですわ。
「婚約を解消したいのかい?」
わたくしは答えられずに手をきつく握りしめました。
ここで解消したいと言えればいいのですが、そう言うにはグラント公爵令嬢としての立場や王族に嫁ぐ覚悟を軽く考えていると思われます。
それに殿下とは微妙な関係で恋愛感情はありませんが、何年も婚約者として過ごしたので情は残っているのです。
そんなわたくしの心情をわかってくださったのか、お父様は苦笑されました。
「フィーラが本当に婚約の解消を望むなら王家に働きかけるよ。
だから確り自分の目と耳と心を開いて周りを観察して決めなさい。」
「お父様·····」
殿下有責の破棄ではなく解消ではグラント公爵家も無傷ではいられないでしょう。
それでもお父様がわたくしの気持ちを優先してくれるのが嬉しい。
「ただ噂に踊らされないようにしなさい。
アジス殿がいるなら尚更に。」
お父様·····
「アジス殿は腐ってもラゼントリオだ。」
アジス様は腐ってもいませんし、本当にラゼントリオと何がありましたの?!
応援ありがとうございます!
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