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44、朝礼

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「~であるからして~」

「ーーーふぁ~」

いよいよ始まった学園生活………ジパングだろうとガルシア国だろうと………朝礼というのは学院長とか教頭の長い話に付き合わせられるんだなぁ~……と風情を感じながら欠伸を噛み殺す私。

「貴女」

「へ?」

「はしたないですわよ」

「ああ、ごめんごめん」

私の欠伸を見かねたのか、隣の子が私を注意してくる、私は片手を立てて、軽く謝罪する………、ツリ目の金髪、ちょっとキツそうな雰囲気…………あれ、この子、どっかで見た覚えがある気がする。

「………見慣れない顔……平民ですの?」

見慣れない事と私の軽いノリに平民だと予想されてしまう……いや、一応貴族なんですけど…………。

「え?……ああ、いや、一応貴族ではあるんだけど、その……一身上の都合で遠くの国にいたんです」

「……へぇ?」

「ほ、ほんとだよ……えっ~~と………そう、高等騎士学部兵士科所属、1ーFクラス、コヨミ・ヴァーミリオン、ヴァーミリオン家の人間さ」

彼女の胡散臭そうな物を見る眼につい自己紹介をしてしまう私………少し思い出すの時間を要してしまうのはご愛嬌……という事で。

「ヴァーミリオン………確か、娘が二人いると、なるほど、それが貴女……………Fクラスですか………最低でもBクラスぐらいの実力はありそうだと思ったんですが……」

「ーー!!、あ、貴女の名前はなんて言うの?」

「これは失礼しました、高等騎士学部騎士学科所属、1ーAクラス、エリザベス・サバルですわ、以後お見知り置きを」

「エリザベスさんね……学部一緒なんだ………これからよろしく」

私の名前を教えると、納得した後、Fクラスと聞いて、訝しげな目線を送ってくる彼女、上からS、A、B、C、D、E、F、だ……なぜか私の実力をFにはそぐわないと看破され、ここでバレたらやばいと私は慌てて話を逸らす、どうやら彼女はエリザベス・サバルという名前らしい……ちなみに学部の頭についている高等部というのは年齢分けのことだ、16歳から上が高等部、13~15歳までが中等部、12歳までが初等部となっている………学科は違えど、学部は一緒みたいだ、少し親近感を覚えてしまう私……グランフィリア学院には大雑把に分けて二つの学部がある、すなわち、魔法学部と騎士学部の二つだ、魔法学部は簡単にいうならインドア派の学部、魔道具研究科や魔法研究科、魔法師科、etc……、騎士学部は逆にアウトドア派だ、兵士科、剣士科、傭兵科、騎兵科、etc………科の数では恐らく騎士学部の方が多いだろう、どっちの学部も魔力を使うが、魔法学部が魔法式や魔道具、魔法の詠唱などを研究するのに対し、騎士学部は体を魔力で鍛えたり、武器を魔力で強化したり、馬やグリフォンなんかの騎乗動物を魔力で強化したりと、基本的にはどうすれば魔力を効率よく効果的に、戦闘に生かせるかを学ぶ学部だ………この国では軍人や兵士も広い括りで騎士の一種として扱われるため、後々、軍に所属することを考えているのなら、騎士学部に所属して学んだ方が役立つ知識が多いし、就職も優位に進めるだろう……餅は餅屋というし、ボロが出ないよう兵士学科に配属されるよう手回しをしてくれたのだろう、幸い、軍部関連の学科は命の危険が常に存在するためそこまで人気な学科ではないので、元々定員割れしていたらしい。

「さて、自己紹介も済んだ事ですし、そろそろ静かにしましょうか……注意される前に」

「気にしすぎなんじゃない?、ちょっと話しててもそうそう名前を呼ばれる事なんてーーー」

「ーーの観点から、僕はコヨミ・ヴァーミリオンさんを生徒会執行部に推薦します!」

「………へ?」

「さぁ、コヨミ・ヴァーミリオンさん、壇上へどうぞ」

………私の発言がフラグだったのか、いきなり響き渡った私の名前、辺りが暗くなり、私にスポットライトが集中する………シラを切って座り続けるわけにはいかなそうだ、私は観念して、アナウンスの指示通り、壇上へと移動する。

「コヨミ・ヴァーミリオンさん、学園の秩序と平和を守るために僕達に力を貸してほしい」

「あ、はい、よろしくお願いします」

握手を求めてくるロイフォード様、私は適当な返事をしながら握手を握り返す………彼の手を握った瞬間、壇上の下の学生の群れ……いや、女生徒達の辺りから凄絶な殺気が私へと集まった気がした………チラ見でそちらの方を確認すると、熊のぬいぐるみをぶん殴っていたり、怒りで髪の毛が逆立って、金色に染まってたり、目が血走ってたりと………かなりの怒気を感じた。

「ーー制服、よく似合っていますよ」

「へ?\\\」

握手し終わった後、席へ戻ろうとした時、すれ違い様、耳元で囁かれる……。

(………びっくりした\\\)

私は顔を赤めながらを席へと戻る。
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