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2、宮廷魔術師採用試験1
しおりを挟む人間側で生きていくことを決めた私、早速魔族領から人間領に転移の魔法を駆使してきたわけだけど………。
「さすがにこの格好じゃ駄目か………変装」
そうすると私の頭から生えた角や、背中から生えた翼などは消える………それだけでは不安だったので少し体や顔を人間の十代くらいまでに幼くする。
「よし、これで大丈夫………なはずッッーーー!!!?」
街に入ろうとしたら手が弾かれる、………そうか、魔族除けの結界が貼ってあるみたいだ。
「………偽装」
私は偽装魔法を自分にかけ、結界に私を人間だと誤認させる、ちなみにだが転移や偽装、変装などは私、魔女王だからこそできるものだ、他のものがやろうとしたら何十もの補助の魔法道具が必要かつクソ長い詠唱をする羽目になる。
そんなこんなで街に入った私は人間社会で生きていくため、とっとと良いところへ就職してしまおうと決意し門を潜ると門番に待ったをかけられた。
「お前、見ない顔だな、どこから来た?」
「へっ?、い、いやぁ~私は旅のものでして、決して怪しいものではありませんよ~」
「………まぁいい、通行証を持っていないのなら銅貨一枚を出す決まりになっている」
「あ、わかりました、収納魔法、どうぞ」
私は収納魔法でしまっていた銅貨を門番に差し出す。
「な、な、今何をした?!!?」
「へ?、収納魔法から銅貨を出しただけですけど………もしかして人間って収納魔法にアイテムを入れないんですか?」
「あ、アイテムボックスですら超貴重なのに、収納魔法だと!!!?神々の時代の魔法ではないか!、さ、更に詠唱もしてないように見えたが………」
「あはは、それなんてジョーク、私に詠唱が必要な魔法なんて存在しないっつーの、面白こと言うな~門番さんは~」
「あ、貴方様は……もしかして大賢者様なのですか?」
「うん?、何言ってんの、大賢者なんかじゃなくもちろん魔女ーー、あっぶねぇ、うっかりばらしちまうところーー」
「ま、魔女ですと!!?聖女や勇者にすら引けを取らない最強の職業の一角ですか!!?」
「へ?、あーー、うん、そんな感じ」
「そ、それはすごい……」
「あの~とりあえず入っても大丈夫ですか?」
「あ、これは失礼しました!、どうぞ!」
「お勤めご苦労さ~ん」
私は適当に門番を労いながら町へ入っていく。
そんなこんなで様々な求人票を漁っているとかなり良い職場を見つけた。
運の良い事に今日がその採用試験の当日だった、そのまま地図に従い試験を受けにいく私。
その場所の名前は宮廷魔術師採用試験会場。
「あ、そこのお兄さんちょっと聞きたいんだけど良いかな?」
私は近くにいた試験を運営する側らしき人間に声をかける。
(………え、何この子、めっちゃ可愛い)
「………あの、お兄さん?」
「え、あ、すいません、な、なんでしょうか?!!」
「えーーと、宮廷魔術師採用試験を受けたいのですが、どうすれば良いでしょうか?」
「え?………あーーー、ではこちらの用紙を記入後、提出していただき、あの部屋で待機しててください」
「はい、わかりました」
用紙をもらい、適当に空欄を埋めていく、そして提出。
(………………名前はエヴァじゃバレるからイヴって名乗るか………)
「これでいいですか?」
「はい、おや?魔女……失礼しました、なるほど、たしかに承りました、ではあちらの部屋へどうぞ、ご健闘をお祈りします」
「ありがとうございます、まぁ程々に頑張りますよ」
一瞬意外そうな顔を出し仕事用の仮面が崩れかけたすぐに締め直す。
無機質な定型文と彫像のように浮かべている笑顔、そうしてなんのトラブルなく終わり、待機室へ入り、順番を待っていると………。
「おい、お前平民だな、平民如きが宮廷魔術師を目指そうなどとと………ふっ滑稽の極みだな」
「……ふぁ~………早く始まんないかね~」
「おい、貴様、俺が仕方なく話してやっているのになんだその態度は、何無視している!!」
なんか話しかけてきた、ていうかこれ私に話してたんだ、キーキーうるさいな、猿かこいつは。
「うん?、あ、もしかして私に話してた?、ごめん、ボソボソ言ってて何喋ってんだかてんでわかんなかった、もう一回最初からゆっくり言ってくれる?」
「貴様………いいだろう、格の違いを見せてやろう!!、『我望む、火種のーー』
ゴテゴテに装飾された高価な服に身を包む貴族風の男が魔法で攻撃しようとしてきた瞬間ーー私は一言呟く。
『………拘束』
「なっーーー!?」
光の拘束具で男の自由を封じる。
「…………ハァッーー、たく、こんな所で何ぶっ放そうとしてるのよ………….うん?」
ため息混じりに私は呟く…………なんだか周りが騒がしい気がする。
「な、なんだ今の………まさか無詠唱!!?」
「い、いや、あり得ないぞそれは……大賢者や賢王クラスじゃなきゃとても………」
「どうしよう………採用枠が一つ潰れた」
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