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太陽と月
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優子とひばりは年頃が近いのと、身を寄せ合う相手が2人しかいないので必然と関係性が深まる。
ひばりは献身的に優子の世話をし、優子は心遣いを裏切らまいと応えた。依然とし心に深い闇がありながらも自害は留まる。
優子の自死を防ぐ、これこそが徳増の狙い。
屋敷に在中できない徳増の気がかりは優子が自傷行為に至らないか、だ。
喉を潰され、読み書きの出来ないひばりが世話係としてうってつけであるのは、優しい優子の捨て置けない存在となるから。
仮に優子が自害したらどうなるのか、徳増はひばり越しの優子に示しもする。簡単に言うとーー殺す。良子を殺めた徳増がひばりに手をかけない保証などない、優子は充分心得ているだろう。
自死を選ばず、犯した罪を軟禁程度で償えると考えていない。毎夜うなされては悪夢を見続ける。
夢の中で丸井家の当主に乗り上げられながら、良子に罵られる度に舌を噛み切りたくなる。
それから秀人の再婚話が自己嫌悪に拍車をかけた。
秀人のような立場の男性が喪に服さず再婚するのはままある。暁月家を守っていくに再婚は必至だ。結果論とはなるが丸井の遠縁と結ばれれば、優子と結婚するより強い後ろ盾を手に入る。
優子に秀人を非難する資格は一切ないが、道理と分かっていても胸の痛みを誤魔化せない。幸せになって貰いたいと願う一方、まだ自分が生きていると教えたくなる。
当然、優子が生きているなんて秀人にとって不都合でしかないだろう。それも承知して尚、秀人の顔がちらつくのは率直に会いたい、会いたいからだ。
しかし徳増がそんな真似を許すはずなく、会いたいと思考を巡らせているのすら、ばれたら危うい。
徳増は変わらず優子を想ってくれるが、もう教育係ではない。そしてそれは優子にも言えること。
だから優子は心に仮面を付ける。
聖女の仮面をーー。
ひばりは献身的に優子の世話をし、優子は心遣いを裏切らまいと応えた。依然とし心に深い闇がありながらも自害は留まる。
優子の自死を防ぐ、これこそが徳増の狙い。
屋敷に在中できない徳増の気がかりは優子が自傷行為に至らないか、だ。
喉を潰され、読み書きの出来ないひばりが世話係としてうってつけであるのは、優しい優子の捨て置けない存在となるから。
仮に優子が自害したらどうなるのか、徳増はひばり越しの優子に示しもする。簡単に言うとーー殺す。良子を殺めた徳増がひばりに手をかけない保証などない、優子は充分心得ているだろう。
自死を選ばず、犯した罪を軟禁程度で償えると考えていない。毎夜うなされては悪夢を見続ける。
夢の中で丸井家の当主に乗り上げられながら、良子に罵られる度に舌を噛み切りたくなる。
それから秀人の再婚話が自己嫌悪に拍車をかけた。
秀人のような立場の男性が喪に服さず再婚するのはままある。暁月家を守っていくに再婚は必至だ。結果論とはなるが丸井の遠縁と結ばれれば、優子と結婚するより強い後ろ盾を手に入る。
優子に秀人を非難する資格は一切ないが、道理と分かっていても胸の痛みを誤魔化せない。幸せになって貰いたいと願う一方、まだ自分が生きていると教えたくなる。
当然、優子が生きているなんて秀人にとって不都合でしかないだろう。それも承知して尚、秀人の顔がちらつくのは率直に会いたい、会いたいからだ。
しかし徳増がそんな真似を許すはずなく、会いたいと思考を巡らせているのすら、ばれたら危うい。
徳増は変わらず優子を想ってくれるが、もう教育係ではない。そしてそれは優子にも言えること。
だから優子は心に仮面を付ける。
聖女の仮面をーー。
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